【京都大賞典】瞬発力勝負ならヒートオンビート! 参考レース分析からの注目馬は?

坂上明大

2021年京都大賞典の参考レース,ⒸSPAIA

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純粋なスタミナ勝負

今年は阪神競馬場を舞台に行われる京都大賞典。京都芝2400mよりも直線指向が強い阪神芝2400mだけに終盤の瞬発力が勝負の鍵となりそうだ。今後のG1戦線に向けても可能性を探りたい一戦で、まずは参考レースから各馬の特徴を整理していきたい。

【天皇賞(春)】
ディアスティマが坦々としたラップで逃げて前半1000m59.8秒。2周目1~2角でペースを落としたが、向正面からはまたペースを上げ、純粋なスタミナが問われる非常にタフな競馬となった。

4着馬アリストテレスは随所で敏感な面を見せるも、阪神大賞典時よりは断然落ち着きがあった。Sadler's Wellsの4×4が特徴のエピファネイア産駒で、底力が活きる内回り中距離戦はベストだろう。

8着馬マカヒキ、13着馬オセアグレイトは後方で脚をタメたが、直線も目立った脚を使えず。ただ、マカヒキは明らかに距離が長かったため距離短縮による上昇が見込め、相手関係も楽になる今回は展開次第で上位入線があっても驚けない。

超スローペースの瞬発力勝負

【目黒記念】
逃げたトップウイナーで前後半1000m63.9-58.0の超スローペースだったが、3番手以降においては同65.0-57.0の後傾8.0秒という壊滅的な遅さ。後方勢にはノーチャンスの超前有利の競馬であった。

2着馬ヒートオンビートは好位追走から上がり3F32.4秒の末脚で馬群から抜け出した。展開の分、ウインキートスには追いつかなかったが、抜群の瞬発力は母マルセリーナ譲りといえるだろう。今回も直線勝負になればチャンスありだ。

敗戦のなかに見える弱点

2021年宝塚記念の馬場/展開バイアス,ⒸSPAIA



【宝塚記念】
天気が心配されたが、小雨が降った程度で競馬に大きな影響を与えるほどではなかった。午前中は内目を開ける競馬が多く実際に外目が伸びていた印象だが、9Rでは内前のワンツー決着だっただけに極端なトラックバイアスも感じない。

レースはユニコーンライオンが最内枠から主張し、前後半1000m60.0-58.5の後傾1.5秒。ラップとしては中盤で12秒台中盤まで緩んだ流れではあったが、東北東から強めの風を受けていたことを考慮すれば極端なスローペースという流れでもない。そもそも勝負に参加できていたのは実質9頭程という地方交流G1のようなレースであったから、ポジションによる有利不利もさほど考える必要はないだろう。

5着馬キセキは大外枠から折り合い重視で好位追走。ペースが落ち着いた向正面では行きたがる面を見せており、やはり1F12秒前後で淡々と流れるペースがベストだろう。自らペースを作れば押し切る可能性は十分にあるが、スローペースを控えるとなると今回も折り合いに苦労しそうだ。

8着馬モズベッロは3角からマクリに入ったが、カレンブーケドールに内から張られて大外を回る形に。スムーズなら5着争いを制していた可能性は高く、G2級なら地力上位の1頭だろう。ただ、外回りに替わる点はプラスとはならないか。

9着馬アリストテレスは1角手前で挟まれてポジションを下げ、その後も馬群で力み気味の追走。勝負どころでは脚が残っておらず、直線は見せ場なく失速した。外目をリラックスして走れていれば掲示板内はあったかもしれない。今回も道中の運びがポイントだ。

瞬発力勝負ならヒートオンビート

先行勢が少なく、スローペースの直線勝負になりそうな顔ぶれ。持続力型が多く、瞬発力勝負ではヒートオンビートに分がありそうだ。反対にキセキはマイペースでは引っ張れば地力上位の一頭。前哨戦のため期待薄ではあるが、積極策ならチャンスはあるだろう。

注目馬:ヒートオンビート、キセキ

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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