【毎日王冠・京都大賞典】東西に実績馬大集結! 「GⅡ」の傾向分析とアラカルト

東大ホースメンクラブ

ルメール騎手GⅡ競走詳細成績,ⒸSPAIA

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東西で実績馬が始動

今週は東京芝1800mを舞台にGⅡ毎日王冠、阪神芝2400mを舞台にGⅡ京都大賞典が行われる。東は安田記念で三嶋牧場にGⅠ初制覇をプレゼントしたダノンキングリー、NHKマイルC覇者シュネルマイスター、西は古豪キセキに、巻き返しを狙うアリストテレスなど、秋GⅠの主役級が顔を連ねている。

GⅠへ向けて重要な前哨戦となるGⅡ・2レースだが、本番を見据えての仕上げなど複雑に要素が絡み合い、馬券検討に迷いが生じることも多いだろう。今週は「GⅡ」の傾向を分析し、データから狙える馬をピックアップしていく(データは特記ない限り2011年以降)。

ケイデンスコールの一撃

GⅡ・2011年以降の騎手別成績,ⒸSPAIA


<GⅡ・2011年以降の騎手別成績>
ルメール【35-21-10-69】勝率25.9%/連対率41.5%/複勝率48.9%
吉田隼人【5-3-1-44】勝率9.4%/連対率15.1%/複勝率17.0%
岩田康誠【17-29-19-122】勝率9.1%/連対率24.6%/複勝率34.8%
戸崎圭太【11-17-18-88】勝率8.2%/連対率20.9%/複勝率34.3%

まずはGⅡの騎手別成績を見ていこう。

最多の35勝を挙げているのはもちろんルメール騎手。東京では【12-6-2-17】と過半数の馬を好走に導いている。毎日王冠では上位人気濃厚のシュネルマイスターに騎乗予定だ。

ただし本当の狙い目は伏兵への騎乗時。4番人気以下で【10-2-2-27】勝率24.4%、単勝回収率328%ととにかく勝ち切る。今年のフローラSでも5番人気のクールキャットを勝たせており、該当条件は自動的に購入するべきだ。

その他、毎日王冠に騎乗予定のジョッキーでは川田将雅騎手の【31-16-22-104】複勝率39.9%が目を引く。岩田康誠騎手も前走GⅠ組では【9-7-8-30】複勝率44.4%、ケイデンスコールの一撃にも警戒が必要だ。一方、ポタジェとコンビを組む吉田隼人騎手は2000m未満で【0-0-0-16】と馬券圏内がなく、札幌記念のソダシ、神戸新聞杯のステラヴェローチェのイメージで人気を集めるならば軽視したい。

京都大賞典組はアリストテレスのM.デムーロ騎手が【25-17-15-78】複勝率42.2%。戸崎圭太騎手は乗り替わりのGⅡで【8-12-12-57】複勝率36.0%、2019年以降では【3-4-4-6】複勝率6割超えと近年のトレンド。ヒートオンビートの初重賞制覇なるか注目だ。

2強からはシュネルマイスター

GⅡ・2011年以降の調教師別成績,ⒸSPAIA


<GⅡ・2011年以降の調教師別成績>
手塚貴久【8-10-8-34】勝率13.3%/連対率30.0%/複勝率43.3%
萩原清【4-3-4-15】勝率15.4%/連対率26.9%/複勝率42.3%
友道康夫【10-22-11-85】勝率7.8%/連対率25.0%/複勝率33.6%
森田直行【1-2-0-15】勝率5.6%/連対率16.7%/複勝率16.7%

次に調教師データをチェックする。

素晴らしい結果を残しているのはシュネルマイスターを手がける手塚貴久調教師。2番人気以内では【2-4-3-3】複勝率75.0%で、19年AJCC・フィエールマンから該当条件6戦連続馬券圏内だ。2強からはこちらを軸に据えるべきだろう。

ダノンキングリーの萩原清調教師もほぼ同レベルの複勝率だが、関西の騎手が騎乗した場合は【1-1-1-5】とやや信頼度が落ちる。同馬のGⅡ・2勝はいずれも関東のジョッキーで(毎日王冠:戸崎圭太騎手、中山記念:横山典弘騎手)、札幌記念をノームコアで勝ったのも横山典弘騎手。アタマはないと見て馬券を工夫するのも一つの手だ。

東西どちらの重賞にも管理馬を送り出す栗東の名伯楽・友道康夫調教師は阪神で【4-6-2-14】複勝率46.2%と数字を上げ、2016年以降では【4-5-1-5】複勝率66.7%にアップ。このうち「前走連対した馬」に限ると【3-1-1-0】のパーフェクトを達成しており、目黒記念2着からここに臨むヒートオンビートに期待できる。

一方、上位人気想定の中ではモズベッロの森田直行調教師が低調。4歳4月以降の出走では【0-0-0-8】で、モズベッロ自身も今年のAJCCと京都記念で敗れている。阪神コースの大阪杯でコントレイルとグランアレグリアに先着した実績はあるものの、データ上は推奨が難しい。

GⅡといえばバランスオブゲーム

GⅡ・勝利数ランキング(平地のみ),ⒸSPAIA


<GⅡ・勝利数ランキング(平地のみ)>
バランスオブゲーム【6-3-0-3】勝率50.0%/連対率75.0%/複勝率75.0%
ナリタトップロード【5-3-2-2】勝率41.7%/連対率66.7%/複勝率83.3%
カンパニー【5-2-0-5】勝率41.7%/連対率58.3%/複勝率58.3%
マツリダゴッホ【5-1-1-5】勝率41.7%/連対率50.0%/複勝率58.3%
メジロマックイーン【5-0-0-0】勝率100.0%/連対率100.0%/複勝率100.0%

最後に1986年以降まで範囲を広げ、GⅡで活躍した馬をランキングで確認する。

栄えある最多勝はバランスオブゲーム。田中勝春騎手とのコンビで2000年代初頭から半ばまでターフを駆けた名脇役。弥生賞、セントライト記念の両クラシックトライアルを勝ち、2003年には毎日王冠も制覇している。GⅠでは3着が最高とビッグタイトルには縁がなかったが、引退レースとなったオールカマーを勝ってGⅡ・6勝の金字塔を打ち立てた。この翌年、同じくGⅠ勝利が遠かった田中勝春騎手がヴィクトリーで皐月賞を制覇したのには奇縁を感じる。

続く5勝には4頭がランクイン。菊花賞馬ナリタトップロードはGⅠの舞台ではテイエムオペラオー・メイショウドトウの激闘の後ろで涙を飲み続けたが、ラストイヤーの2002年はGⅡだけを3戦3勝。古豪としての矜持を感じさせる走りでファンを魅了した。

毎日王冠つながりでは、8歳で同レースを勝ち、GⅠ連勝という大団円へつないだカンパニー、京都大賞典2勝の実績があるメジロマックイーンもGⅡ・5勝。特にメジロマックイーンはGⅡ全勝、うち4レースで2着に3馬身半差以上をつけ、後続馬に格の違いを見せつけた。

残る1頭はマツリダゴッホ。サンデーサイレンス産駒最後のJRA・GⅠ馬にして有馬記念覇者としておなじみだが、何といっても無類の強さを誇った中山での走りが印象的。GⅡでも遺憾なく適性を披露し、落馬競走中止となったセントライト記念以外は【5-0-1-0】。2008年シーズンは59kgを背負いながら日経賞とオールカマーを番手抜け出しの強い競馬で快勝するなど、中山に愛し愛された馬だった。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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