【キーンランドC】斤量52㎏のメイケイエールは芝1200mで変われるか? 揉まれない競馬が条件のロードアクアが穴

山崎エリカ

2021年キーンランドCPP指数,ⒸSPAIA

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先行型が手薄なメンバー構成

先週の札幌記念当日は例年Cコース→今年はAコースで行われたため、例年より馬場の内が良く、札幌記念のソダシをはじめ、4角内を通った馬でも頑張れていた。ただ、やっぱり外よりも内は荒れているので、今週からCコースに変わることでより内が有利になる可能性が高い。また、洋芝は全体的に開催が進むにつれ時計が掛かっていくものだが、このコース替わりで先週よりは高速化するだろう。

また、今回は逃げ、先行型多数で激流となった函館スプリントSから一転、芝1200m戦としてはかなり先行型が手薄なメンバー構成となった。前半のスピードを生かしてこその馬はレイハリアしかいない。ただ同馬も必ずしもハナにこだわる馬ではない。また揉まれるのが苦手で、前に行く競馬をしているロードアクアも、このメンバーなら楽に好位を追走できるだろう。確かにメイケイエールが早仕掛けして展開をぶち壊す可能性もゼロではないが、前有利の想定で予想を組み立てたい。

能力値1~5位馬の紹介

2021年キーンランドCPP指数,ⒸSPAIA



【能力値1位 ミッキーブリランテ】
今年に入って本格化。ニューイヤーS勝ち、阪急杯2着。近2走も好走している。ただ同馬は3走前の高松宮記念では、大外枠から出遅れ&二の脚で置かれ、終始外々を追走するロスが生じて10着大敗したように、芝1200mでは忙しい面がある。前走の函館スプリントSも出負けし、押して中団内目まで押し上げる競馬だった。

前走は超高速馬場であったが、大外枠からビアンフェが二の脚の速さで楽に内に切り込んで、激流に持ち込み、ラスト1F12秒3まで減速したことで、同馬が3着まで追い上げることができた。芝1200mでは展開の助けが欲しい面があるだけに、今回の先行型が手薄なメンバー構成がどう出るか?前有利な馬場&展開になった場合には届かない可能性もある。

【能力値2位 ロードアクア】
同馬は揉まれることなく、スムーズに競馬をすることが好走条件の馬。前々走のオープンTVh賞では、一番速いスタートを切ったものの、内からハナを主張するケイアイサクソニーに行かせて2番手外を追走。揉まれることなく、楽に先行できたことで、自己最高指数「-20」で勝利した。

前走のUHB賞では内枠にテンの速い馬が集った状況下の外枠で、終始外々から位置を押し上げて行く競馬になってしまったため11着敗退。しかし、勝ち馬と0.3秒差なら悪くない。今回は最内枠。揉まれるのが苦手な馬が最内枠に入った場合、選択肢は積極的に出していくこと一択だが、先行馬が手薄な点では恵まれた。マイペースの競馬ができればチャンスは十分にある。

【能力値3位 カツジ】
昨秋のスワンSを逃げ切り勝ちした実績馬。しかし、スワンSは時計の掛かる京都で、ハナを主張したのはロケットのみ。また最初の直線の長さを活かして3角で先頭に立つ展開だった。重賞初制覇のニュージーランドT勝ちをはじめ、もともとマイル路線で差し、追い込みで活躍していたように、スプリント戦ではややスピード不足な面がある。

前走の函館スプリントSは激流となったため、大外から追い込み5着と善戦。しかし今回は先行有利な展開が濃厚。ややスピード不足のこの馬は中団の位置しか取れない可能性があり、先行し展開を活かせるかは微妙だ。後ろからの競馬になり、なおかつ流れが遅くなった場合はミッキーブリランテ同様、差し届かない可能性がある。

【能力値4位 マイネルアルケミー】
2勝クラスで好走と凡走を繰り返し足踏みしていたが、今年に入って急上昇。前々走のオープンTVh賞では、超高速馬場の最内枠から押して押して3番手のラチ沿いを立ち回り、4角で外目に出しながら、先に抜け出したロードアクアを追って伸びてきた。内からルッジェーロに差されたが、勝ち馬と0.1秒差の3着なら上々。

前走のUHB賞は10着に敗れたものの、着差は0.3秒差とそこまで負けていない。ただ前走も内枠から中団内目で上手く脚をタメ、4角ではラチ沿いを通した鞍上の好騎乗だったわりに、掲示板に載れなかったあたりやや不安が残る。レースを順調に使われている強みはあるが、さらなる強化となると疑問が残る。

【能力値5位 タイセイアベニール】
昨年の鞍馬S勝ちの実績があるように、もともとの能力は高い馬。3走前の函館スプリントSは、差し馬有利の流れではあったが、4角の中団中目で進路が狭くなり、接触する不利があって本来の能力を出し切れなかった。また前々走のTVh賞は4角中団の内で包まれ、直線序盤で進路が確保できない不利があった。しかし、こういった不利を受けるのは、エンジンの掛かりが遅く、鞍上の指示にすぐに反応できない弱みでもある。

前走のUHB賞は全体的にペースが遅く、前が有利の流れとなった中、3~4角の外からロングスパートしての2着。これは外からひと追いごとに伸び、ゴール直前で差し切った一昨年の鞍馬Sと同じで、同馬の好走パターンでもある。つまり、2~3走前のように、序盤から押して押して中団の位置を取って不利を食らうよりも、後方で脚を温存して、3~4角から動くのがベスト。その上で内々をロスのない競馬ができれば理想的だろう。ただ今回そういう競馬ができたとしても、さらなる相手強化になることと、中間の動きがひと息だったことが課題。

今回の穴馬は、3歳馬のメイケイエール

3歳馬のメイケイエールはCBC賞2着馬ピクシーナイト同様、上位人気に支持される可能性が高いが、指数上は穴馬である。先週の北九州記念でもヨカヨカが重賞初制覇を達成したように、特にスプリント戦では斤量の軽い3歳馬が有利だからだ。

これは重さがギアチェンジに影響を及ぼすからであり、斤量が軽いとスタートダッシュが付き、後半勝負の馬でも楽にトップスピードに乗せられる優位性があるからだ。また、この時期の3歳馬は成長期にもあたるため、これまでの指数最高値を記録することが多い。

メイケイエールは折り合い難ながらも、新馬戦、小倉2歳S、ファンタジーSと3連勝。前々走のチューリップ賞でも、最内枠から好スタートを決め、鞍上が抑え込んだら、引っ掛かって突進開始。道中で進路を無理矢理こじ開けて進み、ロスの多い無茶な競馬。1着同着とはいえ、勝ってしまう辺り恐ろしさを感じさせた。

前走の桜花賞は横山典騎手への乗り替わりだったこともあり、制御不能となり18着と惨敗。気性面での課題を浮き彫りにした一戦だったが、スムーズならば古馬重賞でも通用する能力は持っているはず。また、そういう馬であるだけに、距離が1200mになるのも好ましいだろう。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ミッキーブリランテの前走指数「-20」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.0秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


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