【ラジオNIKKEI賞】確かな先行力と内枠を高く評価 東大HCの本命はプレイイットサム

東大ホースメンクラブ

ラジオNIKKEI賞インフォグラフィック1ⒸSPAIA

先行力ある軽ハンデ馬には要注意

7月4日(日)に福島競馬場で行われるラジオNIKKEI賞(GⅢ・芝1800m)。夏競馬の幕開けを告げるハンデ重賞に、秋に向けて飛躍を誓う3歳馬16頭が集結した。

人気の中心はNHKマイルC4着のリッケンバッカーや春のクラシック路線を歩んできたアサマノイタズラ、シュヴァリエローズといった実績馬たち。波乱傾向の強い一戦を制するのはどの馬なのか。今週もデータを踏まえて検討する。


過去9年斤量別成績ⒸSPAIA


〈過去9年のラジオNIKKEI賞・斤量別成績〉
51kg以下【0-0-0-15】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/複回収率0%
52・53kg【1-2-6-35】勝率2.3%/連対率6.8%/複勝率20.5%/複回収率155%
54・55kg【6-7-2-39】勝率11.1%/連対率24.1%/複勝率27.8%/複回収率94%
56kg以上【2-0-1-17】勝率10.0%/連対率10.0%/複勝率15.0%/複回収率32%

まず過去9年(11年は中山開催のため除く)のラジオNIKKEI賞の斤量別成績を表にした。ラジオNIKKEI賞では軽ハンデを活かした人気薄の馬が馬券に絡むことが多く、斤量を特に重視する必要がある。そこで以下では斤量別に分析していき、それぞれの好走パターンを探ってゆく。

まず51kg以下の超軽ハンデの馬は真っ先に消し。3着以内はおろか掲示板に載った例もなく該当馬はヒモに含める必要すらない。また52・53kgを背負った馬のうち、4角3番手以内の馬が【1-2-2-3】と好走馬の大半がこれに該当。番手で運ぶことが好走に必須となっている。中団から差す競馬を得意とするスペシャルドラマ、ロードトゥフェイム、ワザモノは評価を下げざるを得ない。

次いで馬券の中心を占める54・55kg組。この組でも先行力は重視すべきで、4角2~5番手が【4-4-2-11】とやはり好走馬が集中。また今年は4頭が該当する前走重賞組について詳しく見ると、このうち唯一狙えるのは東京重賞組。その成績は【1-2-1-3】で複回収率は290%に達する。前走二桁着順からの巻き返しも見られ、ヴェイルネビュラ(NHKマイルC)とノースブリッジ(青葉賞)にはチャンスがある。対して東京以外の重賞組は【1-0-0-10】と大苦戦で、シュヴァリエローズとボーデンは狙いづらい。

最後に56kg以上の斤量を背負う馬について。重いハンデを課されるのは大抵実績馬であり、それ故人気こそするものの回収率は低調。馬券に絡んだ3頭はいずれもキャリア6戦以内で、デビューから直ぐに結果を残した馬のみが走ってくる。今年はアサマノイタズラとリッケンバッカーがトップハンデとなる56kgを背負うが、後者はキャリア7戦で好走パターンから外れており危険な人気馬といえる。


内枠は馬場状態問わず高い水準で安定

過去5年同時期福島芝1800m戦枠別成績(新馬・未勝利除く)ⒸSPAIA


〈過去5年の2回福島開催1~4日目芝1800m戦(新馬・未勝利戦除く)〉
1枠【2-6-2-13】勝率8.7%/連対率34.8%/複勝率43.5%/複回収率145%
2枠【3-0-3-17】勝率13.0%/連対率13.0%/複勝率26.1%/複回収率50%
3枠【4-2-3-15】勝率16.7%/連対率25.0%/複勝率37.5%/複回収率99%
4枠【3-1-0-26】勝率10.0%/連対率13.3%/複勝率13.3%/複回収率28%
5枠【0-4-2-27】勝率0.0%/連対率12.1%/複勝率18.2%/複回収率54%
6枠【0-3-2-28】勝率0.0%/連対率9.1%/複勝率15.2%/複回収率50%
7枠【4-0-3-26】勝率12.1%/連対率12.1%/複勝率21.2%/複回収率42%
8枠【2-2-3-28】勝率5.7%/連対率11.4%/複勝率20.0%/複回収率62%

次に過去5年の2回福島開催の1~4日目に行われた芝1800m戦の枠順成績を調べた。なお新馬・未勝利戦は出走馬間の力の差が大きく枠順が勝敗に及ぼす影響は少ないと考え、参考レースから除外している。

開幕から日が経っておらず内外で馬場状態に差がないため、距離ロスなく立ち回ることのできる内枠が有利。データを見ても1枠~3枠が中・外枠と一線を画す好成績を誇り、特に1枠の複回収率は145%と抜けている。またこの表からは2枠がイマイチに映るが、過去9年のラジオNIKKEI賞では2枠が【2-3-3-7】で複勝率53%と嫌う必要はない。地震の影響で春に予定されていた開催がなくなり例年以上に馬場が綺麗なことも併せて考えると、内枠に収まった馬を中心視すべきだ。

そして内有利の傾向は馬場が渋っても変わらない。上の表で参考にした18レースのうち、良馬場以外で行われた8レースにおける1~3枠の成績は【4-5-3-18】で複勝率40%・複回収率116%という堅調ぶり。開催1~4日目という芝が使い込まれていない段階で雨が降っても、枠順バイアスが変わるほどに馬場が悪くなることはないのだろう。今週末はレース当日含め雨が続く模様だが、だからといって外枠各馬に色気が出てくるわけではないということは覚えておきたい。


とにかく先行力重視

◎プレイイットサム
前走は初めて控える形となったが4角前から捲ってしっかりと勝ち切っており小回りコースへの適性を見せた。内枠に人気馬が収まったが先行力ではこの馬が抜けており、内目の馬場を使えそうな点は大きなアドバンテージとなる。また54kgを背負う前走1勝クラス組のうち、キャリア4戦以内と比較的順調に勝ち上がってきた馬が【2-1-0-6】とデータ的にも十分アタマで狙える成績。時計勝負には強くないようなので雨が降って時計のかかる馬場になればより楽しみが増す。

◯タイソウ
プリンシパルSは不利な大外枠から3番手を確保しにいく厳しい競馬をしながらの3着で、内枠からすんなり先行した1・2着馬と比べると内容は濃い。もう少し内目の枠が欲しかったが、5戦して全て番手につけているように高い先行力を備えており軽ハンデ馬の好走パターンに合致。師をして「サダムパテック以来の大物」と言わしめる大器で、キャリアを積んでの重賞再挑戦に期待したい。

▲アサマノイタズラ
トップハンデである56kgを課され見込まれた感が否めないが、キャリアは5戦で56kg以上背負う馬の好走条件は満たしている。重馬場で行われたスプリングSで2着という実績があるように渋った馬場も苦にしないタイプで、2枠という枠からも評価を上げたい。短期放牧でスプリングS・皐月賞の疲れがとれた状態なら好勝負だ。

△ノースブリッジ
青葉賞は4番人気に支持されながら13着と人気を裏切ったが、残り2F地点で失速しており初の2400mが堪えたよう。キレる脚を使うタイプではないので持続力が求められる小回りコースは合っており、距離短縮も明らかにプラス。逃げ馬だけにもっと内目の枠が理想な分評価を下げたが、前走大敗からの巻き返しには十分期待できる。

以下、プリンシパルSで展開に泣いたヴァイスメテオールと外枠ながら先行力ある軽ハンデ馬のグランオフィシエまで印を回す。ワールドリバイバルも先行力とハンデは満たすものの、2勝はともにスローペースを利してのもので、ペースが流れそうな今回は見送りたい。

▽ラジオNIKKEI賞予想▽
◎プレイイットサム
〇タイソウ
▲アサマノイタズラ
△ノースブリッジ
×ヴァイスメテオール
×グランオフィシエ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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