【オークス】ソダシは「信頼できる」桜花賞馬 忘れな草賞、フローラS組の好走パターンは?

高槻とおる

オークスの過去10年、前走別成績ⒸSPAIA

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当然、前走桜花賞組を中心にした検討が必要

桜花賞とオークスの距離差は800mもある。例年、オークス前には桜花賞馬の距離適性を不安視する声が聞かれるものだが、過去、多くの桜花賞馬が初めての2400mを克服して好走を果たしている。もちろん、競馬での距離適性は重要なファクターだが、短距離路線を中心に歩んできた牝馬の3歳春という時期の戦い。距離適性以上に、素質やオークス時点での完成度が問われるレースなのだろう。

まずは、過去10年のオークス出走馬の前走別成績を確認しておこう。

過去10年のオークス前走レース別成績ⒸSPAIA



出走頭数の多さで連対率こそ目立たないが、前走桜花賞組が10年中8年で連対。3着以内で見ると10年すべてに前走桜花賞組が入っており、変にひねるよりも、素直にここから軸馬を選ぶべきだろう。当然、その年の桜花賞馬の出走があれば、その取捨が予想の大きなカギを握るわけだが、実際のところ桜花賞馬の信頼性はどのくらいあるのだろう。ここは年数を広げて、2000年から桜花賞馬のオークス成績を確認してみよう。

2000年から昨年までの21頭の桜花賞馬のうち、オークスに出走した馬は16頭いる。見事に二冠を制した馬は2003年スティルインラブ、2009年ブエナビスタ、2010年アパパネ、2012年ジェンティルドンナ、2018年アーモンドアイ、2020年デアリングタクトの6頭。全体の成績は【6-2-2-6】で、複勝率は62.5%になる。やはり、簡単に軽視できる存在ではないようだ。

桜花賞を上位人気で制した馬はオークスでも強い

かなり信頼度の高い桜花賞馬だが、桜花賞時の人気も判断材料に加えると、信頼できる桜花賞馬と、そうでもない馬に選別できるようだ。

桜花賞での人気別、桜花賞馬のオークス成績ⒸSPAIA



桜花賞を1、2番人気で勝った馬は【6-1-1-2】、3~5番人気で勝った馬はオークスへの出走なし、6番人気以下は【0-1-1-4】。人気を背負って勝った馬と伏兵評価で優勝した馬とでは、同じ桜花賞馬でもオークスでの信頼感にはかなりの差があるようだ。ちなみに1~2番人気の着外2頭は2004年ダンスインザムードと2011年マルセリーナだが、それでも4着には踏ん張っている。

2012年以降ではジェンティルドンナ、ハープスター、アーモンドアイ、デアリングタクトと連対確保が続いていて、今年の桜花賞を2番人気で制したソダシには非常に心強いデータといえるだろう。

血統的に距離に不安はあるソダシだが、過去データからも、この時期の3歳牝馬の戦いならマイラーでも十分に好勝負が可能とみる。桜花賞で高速馬場に高い適性を見せたことも、いまの東京コースでは大きなプラス材料になるはずだ。

忘れな草賞、フローラS出走馬は上がりをチェック

忘れな草賞組、フローラS組の好走パターンも探っておこう。まずは忘れな草賞から。過去10年で忘れな草賞からは11頭の出走があり、3勝、3着1回の成績を残している。オークス好走馬に共通していることは、出走メンバー上位(1~3位)の決め手を発揮して、4角4~8番手の位置取りで差し切り勝ちを決めていること。

さらに上がり35秒を切った馬で絞り込むと、2015年ミッキークイーン、2019年ラヴズオンリーユー、2020年ウインマイティーの3頭が残る。この3頭のオークス成績は1・1・3着だ。好走した馬の条件で絞り込んだだけと思われるかもしれないが、内回りの阪神コースの中距離戦で、鋭い決め手を発揮して勝ち切った馬こそが、東京の2400m戦で一発大駆けの可能性を秘めた馬とはいえないだろうか。

気になる今年の忘れな草賞勝ち馬のステラリアは、4角6番手、上がり34秒3はメンバー最速。まさに過去の好走パターンにドンピシャで、本番での走りが楽しみな1頭だ。

続いてフローラSだが、このレースは過去10年中7年で前半3Fより後半3Fのラップが1秒7以上速いスロー傾向の強いレースになっている。クールキャットが勝った今年も前後半の3Fラップ差はマイナス1.4秒のスローだった。

フローラSがスローだった7年で、オークスを3着以内に好走した前走フローラS組は2012年3着アイスフォーリス、2013年2着エバーブロッサム、3着デニムアンドルビー、2017年2着モズカッチャンの4頭。

アイスフォーリスこそ2番手からの粘り込みだったが、残る3頭は上がり33秒台、メンバー1・2番手の上がりで連対を果たしている。スローのフローラSで狙うなら、メンバー上位の決め手を発揮した馬になりそうだ。今年のメンバーでは、メンバー3位の上がり33秒4で1着のクールキャット、メンバー1位の上がり33秒2で3着のユーバーレーベンには注目が必要だろう。


ライタープロフィール
高槻とおる
グリーンチャンネルで結果分析、レース分析番組の構成作家を担当していた。現在は経営者取材などライターとして幅広く活躍中。ラップを長年研究しているが、実は馬券はパドック派。


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