【中山金杯】4歳世代は苦戦の傾向 ディープボンドは人気に応えられるか? 

山崎エリカ

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4歳世代のディープボンドはここで通用するか?

昨年末の有馬記念では、昨年のラジオNIKKEI賞とセントライト記念を優勝したバビットが13着に、昨年の青葉賞とアルゼンチン共和国杯を優勝したオーソリティが14着に敗退した。また、皐月賞でコントレイル、サリオスに次ぐ3着となり、セントライト記念でも3着と好走したガロアクリークも有馬記念の前週のリステッド競走、ディセンバーSに出走して3着に敗れている。

そもそもホープフルS3着、弥生賞ディープインパクト記念2着のワーケアが、昨夏のサマー2000mシリーズで人気を裏切ったあたりから、多くの競馬ファンから「4歳世代の全体のレベルが低いのでは?」とささやかれるようになった。降級制度の廃止により、古馬がレベルアップしているのもあるが、それを差し引いても4歳馬は古馬と対戦しての勝ち上がり率が低い。クラシック戦線の指数は致命的に低くもないが、成長を見せている馬が少ないのも事実。

一方、3冠馬コントレイルはジャパンCの3冠馬対決で2着に健闘。皐月賞、日本ダービーと2着だったサリオスも、毎日王冠で3馬身差の完勝を決めている。つまり、明け4歳馬でも上位馬は古馬の一線級が相手でも通用しているのだ。しかし、今回出走のディープボンドは前記の2頭と比較するとやや見劣る。

コントレイル、サリオス、菊花賞で3着馬サトノフラッグを3馬身半差引き離し、コントレイルにクビ差まで迫ったアリストテレスをグループAとすると、京都新聞杯1着、日本ダービー5着、神戸新聞杯4着、菊花賞でもサトノフラッグとクビ差の4着だったディープボンドはグループBの代表馬といったところ。実際にディープボンドはここでは能力値4位タイで、GⅢなら通用する実力を持っている。

確かにディープボンドは、今回と同距離コースの昨年の皐月賞では10着に敗れている。しかし、それはキメラヴェリテが大逃げを打って先行馬に厳しい流れに持ち込んだことと、外差し馬場が影響している。4コーナーまで馬場の悪い最内を先行して、4コーナーで下がってくる馬の影響で進路がなく、そこからブレーキをかけて立て直しては負けて当然の内容だった。一方、今回は何が何でも逃げにこだわる馬がおらず、逃げ、先行馬が手薄。他の能力値上位馬が差し、追い込み馬ということもあり、今回の本命候補としたい。

その他の能力値上位馬

2021年中山金杯PP指数

【能力値1位 バイオスパーク】
重馬場でタフな芝で行われた4走前の都大路Sで最高値を記録。好位の最内で流れに乗り、直線で一旦先頭に立って、押し切りを図ったところで、ベステンダンクに差されてクビ差の2着。前走の福島記念は例年と比較をするとペースが遅く平均ペースの範囲内だったが、4コーナーまで最内と、内でしっかりと脚をためたことが最後のしぶとさにつながった。同馬は時計の掛かる芝が得意で、展開に応じて動ける自在性のある脚質が売り。ただし、前走はかみ合っての好走だけに上積みは?また、ロスなく立ち回ってこその面があるので、8枠17番も減点材料だろう。

【能力値2位 ヴァンケドミンゴ】
福島で3勝クラスを勝って、七夕賞3着、福島記念2着と、福島では安定して好成績を残せている。しかし、京都芝1800mの前々走、前々カシオペアSでも4コーナー12番手からメンバー最速タイの上がりを駆使して3着に追い上げているように、決して福島巧者というわけではないが、前記レースは全てタフな馬場という共通項はある。現在の中山は時計を要しているだけに、これはいい傾向。

また、前走の福島記念ではうまく最内を立ち回ったバイオスパークに対して、同馬は3~4コーナーの外々からバイオスパークとクビ差。レース内容が良かったことから、バイオスパークよりも重い印を打ちたい馬。いい脚を長く使えるタイプなので、大外枠でも大幅減点材料にはならないはず。

【能力値3位 カデナ】
昨年の小倉大賞典で弥生賞以来、約3年ぶりの勝利を挙げ、その次走の大阪杯でも4着と存在感を見せた。同馬は二の脚が遅く、常に後方からの競馬になる点がネック。前走の天皇賞(秋)も高速寄りの馬場で超スローペース。後半のスピードの速さが問われたために8着に敗れた。ただし、トップクラスと比較をすると、末脚が見劣るだけであって、GⅢなら決め手上位だ。実際に昨春の大阪杯ではイン強襲だったにせよ、メンバー最速の上がりを駆使して4着に追い込んでいる。後半の競馬が予想される今回で、あまりに序盤で置かれすぎると厄介だが、末脚比べのレースでは確実に上位に食い込んでくるだけにここも要注意だ。

今回の穴馬は?

【シークレットラン】
もともとデビュー3戦目の葉牡丹賞をレコード勝ちしたように、中山芝2000mには適性があり、素質も高い馬。前走の古都Sはスタミナが不足する休養明けながら2Fの距離延長、時計の掛かる馬場でもあったが、好位の内から抜け出して完勝した。しかし、前走は距離延長だったせいか、指数上、能力全開とまでいかずの勝利。今回に向けての余力を残せた点で大きい。勢いを見せながらも、前走で最高値を更新していないパターンは、高い確率で馬券圏内に突入してくるので要警戒。

【マウントゴールド】
2018年も夏の小倉記念でスピードの違いでハナに立って3着に粘ったことから逃げの手を打つようになった。その他にもオープンで逃げて2度の連対実績がある。しかし、その後は2~3番手でも折り合う競馬でも結果を出せており、2018年のチャレンジCでは3番手からの競馬で2着と好走。1年4ヵ月の休養明けとなった前走、ディセンバーSでは、この馬の型の競馬ができずに12着荷大敗したが、楽に前に行けさえすれば、巻き返しがあって当然の馬だろう。

※パワーポイント指数(PP指数)とは? ●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例) バイオスパークの前走指数「-19」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.9秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


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