【中山金杯】上位人気勢に不安要素あり お年玉ゲットを狙える本命馬は?

三木俊幸

2021年中山金杯馬場分布図

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かなりタフな馬場状態

牡馬・牝馬ともに無敗の3冠達成、史上初のGⅠ9勝という偉業達成が相次いだ2020年。アーモンドアイ、ラッキーライラックといった面々はターフを去ったが、現役を続ける馬たちや新たにデビューする馬たちは、私たちにどのような感動を与えてくれるのだろうか。そんな期待に胸を躍らせ、2021年も毎週末の競馬を楽しんでいきたい。

年明け最初の重賞レースとなるのは、1月5日(火)に中山競馬場で行われる中山金杯(GⅢ・芝2000m)。今回も馬場傾向と出走各馬の適性からレースを占っていく。

2020年最終週の中山競馬場の芝コースのクッション値は土曜日が10.5、日曜日が9.8。雨が降っていないこともあり、乾燥した状態の馬場だった。開幕週から時計がかかる馬場状態となっていたが、開催4週目を迎えてよりタフなコンディションだったという印象を受けた。

12/26・27の中山芝コース タイムと上がり

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土曜日に行われた2歳GⅠ・ホープフルSは2:02.8というタイムで決着。GⅠに昇格して以降の過去3年よりも1秒以上遅かった。翌日に行われた有馬記念も2:35.0、近5年は2:30.5〜2:33.6の間で決着していたことを踏まえると時計がかかっていたことが見てとれる。

上がりタイムを見ても、土曜日に行われた2000mの2歳未勝利戦では前後半5Fのタイムが62.0-61.0(+1.0)のスローペースだったにも関わらず、3着以内の馬は37.1、38.2、38.5。GⅠのホープフルSも上がり最速は勝ち馬ダノンザキッド、3着ヨーホーレイクなどがマークした36.4とかなり上がりを要する馬場状態だった。

レースが進むごとに外有利に

12/26・27の中山芝コース タイムと上がり

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通過順位では、土曜日は対象馬15頭中13頭が4角4番手以内と極端な先行有利だったが、日曜日は4角9番手以下からでも5頭(1勝、2着2回、3着2回)が馬券に絡んでおり、直線一気が決まることもあった。レースが進むごとに傷みが大きくなっていたのだろう。

3着内馬が直線で通ったコース

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その傾向が顕著に現れていたのが、各馬が直線で通ったコース取り。土曜日は全体の80.0%にあたる12頭が4頭目より内のコースを通っていたが、日曜日は60.0%にあたる9頭が内から5頭目より外を通って伸びてきていた。

開催が変わり、今週からCコースが使用される。これまでより5、6頭分のスペースが仮柵で保護されるので、再び内を通った馬が有利な馬場状態になると考える。

馬場適性からは波乱の要素あり

これらの傾向をもとに、出走馬の馬場適性や脚質等から条件の合う馬を探していく。

なお、チャートの縦軸は高速馬場を得意とするスピード型か時計のかかる馬場に強いパワー型かを示す指標、横軸は上がりの速い馬場に強い瞬発力タイプか上がりのかかる馬場を得意とする持続力タイプのどちらに分類できるかを表している。

2020年中山金杯馬場適性チャート

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【ディープボンド】
昨年のクラシック戦線でも日本ダービー5着、菊花賞4着と健闘。これまでの9戦で使った上がり最速は34.9という数字からも分かるように、上がりのかかる舞台向き。加えて先行力があり、内を通ることもできるので適性は高いと言えるだろう。

【ヒシイグアス】
中山コースでは2勝しているが、3走前と4走前で2着に敗れているレースぶりから、器用に立ち回れるタイプというよりは広いコース向きの印象。

【ダーリントンホール】
上がりのかかる馬場向きという点では今の馬場は合っているが、近2走のように後方からレースを進め、大外に持ち出すという形では厳しい。

【ヴァンケドミンゴ】
時計のかかる福島コースで4勝。一見すると中山も合っている印象だが、[0,1,1,4]とイマイチな成績ということからも、信頼度はやや下がる。

【バイオスパーク】
前走の福島記念では内をロスなく立ち回り、接戦を制した。時計・上がりともかかる条件は合っており、器用に立ち回れる点も魅力。あとはハンデ57kgでどこまでやれるかだ。

【ココロノトウダイ】
この馬も福島巧者。そして急坂のある中山コースでは、期待しているほどのパフォーマンスが発揮できていない印象を受ける点でもヴァンケドミンゴと似たタイプ。ハンデ53kgは魅力だが、疑ってかかりたい。

【シークレットラン】
2歳時には葉牡丹賞でレコード勝ちをしているが、本質的には時計・上がりともかかる舞台が合っている。距離はもう少し長い方が良いタイプかもしれないが、馬場適性はピッタリ。前走でオープン入りしたばかりだが、5走前の潮来特別では後に重賞を勝利するキングオブコージと僅差のレースをしていることからも、通用する素質は秘めている。

【テリトーリアル】
昨年の中山金杯ではスローペースの中、中団から差して3着となっているが、上がりはかかる条件の方が合っている印象。前走の中日新聞杯は上がり勝負で展開が向かなかったが、上がりがかかる条件なら2走前の福島記念くらいやれていい。

▽中山金杯予想▽
◎シークレットラン
○テリトーリアル
▲バイオスパーク
△ディープボンド
×ヴァンケドミンゴ

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。


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