かわいいだけじゃない!単勝回収率150%のデータも 白毛のシラユキヒメ一族は馬券においても注目

鈴木ショータ

白毛年齢別データⒸSPAIA

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白毛馬はどれくらい珍しいのか

白毛馬が日本で初めて認められたのは、1979年のハクタイユー。その約20年後の1996年に、今回の主役であるシラユキヒメが誕生した。両馬の父と母は、ともに白毛馬ではなく、突然変異によって白毛になったとされている。

では、この白毛馬はどれほど数が少ないのだろう。2020年の2歳世代を分析したところ、たった3頭、割合にして0.1%しかいなかった。

2020年の2歳世代の頭数ⒸSPAIA

突然変異では1~2万頭に1頭ほどの確率でしか白毛馬は生まれないと言われているが、白毛のシラユキヒメから広がる遺伝子のおかげで、今年は3頭もいる。その3頭中2頭は、血統表にシラユキヒメの名がある。

重賞も勝っちゃう強い白毛一族

シラユキヒメの2番目の子、ホワイトベッセルが2007年、白毛馬として初めてJRAで勝利した。その後も勝利を重ね、計3勝を挙げている。

1つ下の妹、ユキチャンも同じく白毛馬としてデビュー。2008年の関東オークスでは、史上初の白毛馬としての重賞勝利を飾った。後にGⅠ秋華賞で3着と好走するプロヴィナージュに8馬身の差をつける圧勝で、走破タイムもレースレコードとなる文句なしの強さを見せつけた。その後もクイーン賞とTCK女王盃を制し、白毛馬であることを忘れるほどの活躍。

シラユキヒメの孫にあたるハヤヤッコは、2019年にレパードSを制し、白毛馬として初のJRA重賞勝ちも決めた。

芝よりもダート向き

シラユキヒメの血を引く馬は、ダートでの活躍が目立っている。これまで一族が挙げたJRA30勝のうち芝の6勝に対し、 ダートは24勝。

芝・ダート別成績ⒸSPAIA

最初は期待され芝を使われることもあるが、最終的に多くがダートに落ち着く傾向。そのため、芝からダートに替わる時が馬券的にも狙い目。【4・3・1・10】と複勝率は約45%、単勝回収率130%、複勝回収率も125%ある。

早い時期から活躍!

一族の年齢別成績を調べると、若いときほど勝率が高いことがわかった。

年齢別成績ⒸSPAIA

特に2歳時は勝率33%、連対率50%と安定して走るだけでなく、単勝回収率150%、複勝回収率106%と馬券的にも非常に優秀な成績を残している。

昔は「白毛は珍しいから、新馬戦の記念に単勝馬券を買おう」というファンも多かったが、今はそういった記念馬券も減っていると考えられ、馬券的な妙味もある。

今年の2歳馬は3頭とも新馬勝ち!

8月22日の小倉競馬場では2頭のシラユキヒメ血統の馬がデビューし、立て続けに勝利を飾った。小倉5Rでは、メイケイエール(曾祖母シラユキヒメ)が芝1200mの新馬戦を勝利。続けて小倉6Rでは、白毛を継ぐダノンハーロック(祖母シラユキヒメ)がダート1700mで初陣を勝利で飾った。

メイケイエールは父ミッキーアイルの血を継ぎ鹿毛だが、祖母は重賞ウィナーのユキチャンだ。デビュー前の調教から破格のタイムを出していたが、レースもほぼ馬なりで勝利。潜在能力はかなり高いが、レースでも抑えがきかない場面が目立っており、気性が課題になってきそうだ。また、歩様も少しダート馬のようなところがあるので、上記のデータのように今後ダート替わりでおいしい馬券を届けてくれるかもしれない。

ダノンハーロックは526キロと少しまだ余裕がある体つきではあったが、それでも見事に新馬勝ちを決めた。前年の同時期の新馬戦より2秒以上速い好タイムもマークした。前年の勝ち馬コパノマーキュリーはすでに2勝を挙げていることから、それよりも2秒も速いタイムで勝ったダノンハーロックは2勝、3勝と軽く通過していくことが期待できる。白毛のニュースターの誕生が今から楽しみだ。

少しさかのぼると、7月の新馬戦でもの白毛のソダシ(祖母シラユキヒメ)が新馬勝ちをした。芝の1800m戦を上がり35秒3の脚を使い勝利。それもラップは12.0→11.7→11.6と加速しており、この一族にしては珍しい瞬発力を見せた。次走は9月5日の札幌2歳Sへの出走が予定されており、重賞戦線での活躍に注目したい。

ライタープロフィール
鈴木ショータ
競馬伝道師。競馬エイトトラックマンを経てフリーに。オリジナルのweb競馬新聞「PDF新聞」を毎週発行。根っからの大穴党で、馬券格言は「人の行く裏に道あり”穴”の山」

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