【フィリーズレビュー】大混戦、超難解、トリガミ恐れずシンプルに!

勝木淳

フィリーズレビューインフォグラフィックⒸSPAIA

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多頭数+前半が速い乱戦

桜花賞最終トライアル(アネモネSは同日施行)のフィリーズレビューは過去5年で勝ち馬の人気8、2、8、3、12番人気。同じトライアルのチューリップ賞が5、2、1、1、1番人気とは対照的な波乱要素満載のレース。

本番と同じ阪神競馬場でも外回り芝1600mとは異なり、内回り1400mで行われるフィリーズレビューは過去10年つねにフルゲート。桜花賞で勝負になるか否かというより、桜花賞出走への望みをつなぐレース。ゆえに実力伯仲の超難解だ。

フィリーズレビュー過去10年勝ち馬成績ⒸSPAIA

前後半の600mを比較すると、まず前半の方が速く34秒台後半とそれなりに流れる。場合によっては33秒台になる年もある。これは先にふれたような状況が原因のひとつだろう。多頭数、桜花賞出走をかけるシチュエーションが自然と前がかりな展開を生む。

また1400m戦ということでスプリント戦から挑戦する馬が多いことも原因であろう。勝ち馬の4角順位はほぼバラバラだが、10番手以下からの追い込みも決まる舞台。正直、脚質では傾向が計れないレースである。

なんだかんだとGⅠ組に警戒

もう少し傾向を見極めたい。そこで前走クラス別成績を調べる。

前走クラス別成績(過去10年)ⒸSPAIA

過去10年で前走1勝クラス出走馬【5-3-5-54】。10年11頭の勝ち馬のなかで約半数がこのクラス。格下からここで一気に桜花賞出走を決める組が多く、混戦に拍車をかける。

ただし、前走1勝クラス出走馬の着順別成績では1着馬【3-3-5-34】とほぼ勝ち馬に狙いを定められる。

前走1勝クラス出走馬の前走着順別成績(過去10年)/前走オープン特別出走馬の前走着順別成績(過去10年)ⒸSPAIA

なお前走オープン特別出走馬は【2-1-1-27】と1勝クラスには劣るが、この組は勝ち馬は【0-0-1-7】と冴えず、5着以下から馬券に絡む馬が出現する。そうはいっても過去10年で2頭で狙いづらいところだ。

では狙いはどこなのか。それが前走GⅠ出走馬【2-3-3-18】だ。チューリップ賞ほど信頼はおけないが、GⅠ大敗馬の巻き返しが目立つのだ。

前走GⅠ出走馬の前走着順別成績(過去10年)ⒸSPAIA

GⅠ4着【0-1-1-0】、GⅠ5着【0-1-0-1】、10着以下【1-1-1-15】と多く馬券にはならないが、分母が少ない分、確率でいえば高く、警戒を怠れない。大混戦、超難解という言葉に踊らされずにGⅠ出走歴がある馬に冷静に目配せする必要がある。

今年の出走予定馬ではヤマカツマーメイド(阪神JF5着)、ボンボヤージ(阪神JF10着)、ルーチェデラヴィタ(阪神JF16着)がいる。後ろ2頭は人気薄になる可能性もあり、おいしい馬券にありつけそうだ。

マイル戦出走馬は着順不問

別の角度からも掘り下げてみる。前走距離別成績を調べると、前走1400m組【4-3-5-54】と前走1600m組【7-6-5-54】に絞られる。桜花賞出走をかけスプリント戦から転戦する馬も多いと述べたが、前走1200m組【0-0-0-29】は壊滅。

展開のカギは握るかもしれないが、結果には関係ないようだ。前走1400m組と1600m組、注意すべきはその着順である。

前走1400m戦出走馬の前走着順別成績(過去10年)/ 前走1600m戦出走馬の前走着順別成績(過去10年)ⒸSPAIA

1400m組は掲示板以下は気にしなくてよさそうだ。とくに5着馬は【1-1-0-4】。抽選突破が必須条件だが、出走予定馬ではフェアレストアイルが該当する。前走1勝クラス芝1400m戦5着はデータから狙いたい一頭だ。

もっと楽チンなのは前走1600m戦組。1着~10着以下まで万遍なく馬券に絡んでいる。そう、前走1600m戦出走でありさえすればいいのだ。細かく取捨選択することはせず、シンプルに前走1600m戦出走馬をピックアップするのもおもしろい。

とにかく人気がアテにならない難解、大混戦なのだから、それぐらい思い切って簡潔に攻めるのも手であろう。トリガミになるような馬券はまず出現しないレースなので、たとえ多点買いになっても気にしなくていい。

前走GⅠ組に警戒しつつ、それ以外のマイル戦出走馬に目を光らせる。1400m組からは掲示板以上の馬を評価する。これが基本スタンスではなかろうか。

フィリーズレビューインフォグラフィック

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて「築地と競馬と」でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌「優駿」にて記事を執筆。

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