【クイーンC】総合力を問う東京マイルで好走する可能性がある馬とは?

勝木淳

イメージ画像ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

キーは菜の花賞の後半800mラップ

歴代勝ち馬はホエールキャプチャ、ヴィルシーナ、メジャーエンブレム、クロノジェネシスとGⅠホースが居並ぶクイーンC。これは東京マイルという総合力が問われる舞台だからこその結果といえよう。今年は例年主役になる前走阪神JF組の登録がなく、混戦模様。2歳重賞の2着馬、マジックキャッスル、ミヤマザクラが出走し、人気の中心になるだろうが、前後半のラップ差が少ない東京マイルが舞台であれば、アールクインダムにも逆転の可能性は十分にある。

その根拠はやや重の中山マイル戦で行われた菜の花賞の後半800mラップにある。同時に前走距離や前走頭数など上位人気馬にとって危険なデータを示す。

過去10年の傾向から

同じ東京マイルの2歳牝馬重賞アルテミスSは出世レースであり、しばしば牝馬クラシックの起点となるようなケースが多い。リアアメリアはGⅠ惨敗だが、今年も2着サンクテュエールがシンザン記念V、3着ビッククインバイオが先週の春菜賞を勝った。

同舞台となるクイーンCも勝ち馬にはのちのGⅠ馬がズラリと並ぶ出世レース。昨年の勝ち馬クロノジェネシスも秋華賞を勝った。桜花賞では結果は出なくても勝ち馬はぜひとも覚えておきたいレース、注目したい。 で、過去10年のレース傾向を探ると、東京マイル戦らしいスローペースの上がりだけの競馬というケースが少ない。

クイーンC過去10年成績

やはりこの舞台ではスピード+持続力+スタミナという総合力がなければ勝てない。前後半の800mを比較すると、昨年の48秒4-45秒8という後傾ラップは少なく、前後半をざっくり47秒-47秒、46秒5-47秒ぐらいのミドルペースになる傾向がある。

単純な切れ味比べではないことは、勝ち馬の4角順位は10番手以内、上がり3ハロン記録が出走中2、3位といった馬が多い。上がり最速でこのレースを勝ったのは最近10年ではアドマイヤミヤビのみである。 そこそこ切れてそこそこの位置にいるような馬、先週の東京新聞杯プリモシーン(上がり3ハロン記録は5位)のような馬を探す、それがクイーンCの予想の起点となる。

ズバリ、アタマで狙うなら

総合力を問われる東京マイルで好走できるような馬を探すべく、まずはクイーンCの前走クラス別成績(データはすべて過去10年)を調べると、前走が新馬や未勝利だった馬はあわせて【0-2-3-34】で39頭の出走で複勝圏内は5頭、格上げ緒戦で東京マイルを好走するのは難しいと言わざるを得ない。

前走クラス別成績(過去10年)

好走例が多いGⅠ組(阪神JF)が今年は不在なので、GⅢ組【3-2-4-22】や1勝クラス組【3-1-1-36】を中心に考えるべきだろう。GⅢ組であれば前走着順2着【2-1-2-2】が好走率であり、1勝クラス組は前走1着馬【3-0-0-8】が目立つ。

出走馬で照合すると、マジックキャッスル(前走ファンタジーS2着)、ミヤマザクラ(京都2歳S2着)、アールクインダム(菜の花賞1着)、シャンドフルール(千両賞1着)、ホウオウピースフル(百日草特別1着)の5頭に絞られる。 いずれも東京マイルの出走経験がないので、このなかでもっとも東京マイルに適合しそうな馬を想像してみなければならない。

ホウオウピースフルの百日草特別は5頭立ての2000m戦で前後半1000m61秒9-60秒0自身の上がりは33秒6、スローのマイルであれば可能性はありそうだが、クイーンCのモデルケースには当てはまりそうにない。シャンドフルールの千両賞も前後半800m48秒2-46秒5と同様。

一方、アールクインダムの菜の花賞はやや重で48秒4-48秒4、中山のやや重だったため全体時計は遅いが、ラップバランスはモデルケースに近い。初角10番手から3角5番手、4角6番手と機動性も兼備(クイーンCは過去10年4角10番手以下の勝利がない)。東京マイルが未経験である以上、ここから先は想像の世界になるが、菜の花賞の後半800mは12秒2-12秒0-11秒9-12秒3、急激な加速はないが、一定のラップを好位が伸びたレース内容に可能性を感じる。このメンバーであれば上位に来ても不思議はない。

前走距離別成績(過去10年)

残る重賞2着の2頭だが、気になるデータがある。前走1400m組【0-0-0-12】と距離延長は厳しい結果。ただし、前走がファンタジーSだった馬は過去10年で出走ゼロ。ファンタジーS2着のマジックキャッスルをここに当てはめてばっさり切るのは危険だ。

昨年の同レースの勝ち馬は2歳女王レシステンシア、レースは前後半600m33秒7-35秒1とハイレベル。特に前半ハイラップから後半3ハロン11秒7-11秒5-11秒9は秀逸だった。

ミヤマザクラの京都2歳Sも勝ち馬マイラプソディは翌日の共同通信杯で主役級であり、人気に大きく影響しそうだ。前走2000m戦【2-0-0-3】で距離短縮は問題ないが、前走少頭数組は厳しく、10頭立て未満だった馬は【0-1-0-3】。クイーンCは登録14頭でフルゲートではないが、ここから先クラシックを戦うためには多頭数の経験は意外と重要である。こことは関係ないが、弥生賞が皐月賞と直結しない要因は少頭数→多頭数で道中のペースもスペースも一変するあたりにあるのではないだろうか。

以上のことから、予想は以下とする。

◎アールクインダム
〇マジックキャッスル
▲ミヤマザクラ
△シャンドフルール
×ホウオウピースフル

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて「 築地と競馬と」でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌「優駿」にて記事を執筆。

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