武豊騎手は個人馬主から大人気 2019年の騎乗依頼に変化は見られたのか?
三木俊幸
ⒸSPAIA
2年連続でキーファーズがトップ
前回のコラムでは、競馬界のレジェンド武豊騎手の厩舎別成績について、2018年と2019年にどのような変化がみられたのかについて分析。エージェント変更により、須貝厩舎や国枝厩舎など2018年にはあまり騎乗機会のない厩舎からの依頼が増えていたことを紹介した。その第2弾として、今回は馬主別成績について調べてみた。
まずは馬主別の騎乗回数について見ていく。2018年が46回、2019年は52回でともにトップだったのはキーファーズ。近年のセリで高額馬を次々と落札し、代表の松島正昭氏は「武豊騎手で凱旋門賞を勝つのが夢」と公言しているほどの武豊ファンだ。2018年は出走62回中46回で全体の74.2%を、2019年は82回中52回で全体の64.3%を武豊騎手に依頼しており、競馬ファンの間ではお馴染みのコンビだと言ってもいいだろう。
さらに2018年には当時500万下だったジェニアルをフランスに遠征させ、武豊騎手とのコンビでメシドール賞(GⅢ)を、2019年にはアイルランドの名門厩舎であるエイダン・オブライエン厩舎のブルームを購入して、凱旋門賞に挑戦(結果的には体調が整わずに回避)しようとするなど、ヨーロッパにおいても積極的に騎乗機会を与えている。
それ以外の2位〜4位までを見ても、馬主の顔ぶれは2年連続で変わらずという結果となっており、オーナーから絶大なる信頼を得ていることは言うまでもない結果となっている。
唯一変化があったのは、2018年はわずか3回の騎乗依頼しかなかったゴドルフィンが2019年には16回に増加したこと。ただ回数が増えただけでなく、勝率も30.8%を超えており、馬質も高かった。
今年は“レッド”とのコンビに注目
続いて馬主別の勝利数についても触れておく。ここでも騎乗数の多かったキーファーズ、メイショウの冠名でおなじみの松本好雄氏、スマートの冠名の大川徹氏が2年連続でトップ5にランクインしていた。
注目したいのは8位に入った東京ホースレーシング。トップ10まで広げてみても、クラブ馬主で唯一のランクインとなった。2018年は6回騎乗して1勝のみだったが、2019年は騎乗数も8戦3勝、勝率37.5%、連対率と複勝率は50.0%という成績を残していた。
レッドの冠名でおなじみの東京ホースレーシングは、ルメール騎手への騎乗依頼数6位に入っている馬主なだけに、騎乗数の増加と馬質のアップは、エージェント変更による関係強化という見方をすることもできる。しかし、ただ乗せてもらうだけでなくしっかりと結果を残すのが武豊騎手のすごいところ。8月24日には、レッドアステルに騎乗してルスツ特別を勝利すると、続く山中湖特別でも連勝して信頼に応えてみせた。
そして11月9日に行われたデイリー杯2歳Sでは、騎乗停止で来日が延期となったデットーリ騎手の代打としてレッドベルジュールに騎乗。後方からレースを進めると、直線では鮮やかに差し切って重賞勝利に導いた。
年が明けても、先週の日経新春杯で1番人気に支持されたレッドジェニアルの騎乗依頼を受けている。結果は7着に終わったが、昨年以上に騎乗依頼が増えそうな予感もある。2020年は既存の個人馬主に加えて、“レッド”とのコンビにも注目していきたい。
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