【エリ女】オークスは展開に泣いただけ 京大競馬研の本命はクロノジェネシス

京都大学競馬研究会

本命に推されたクロノジェネシスⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

京都芝2200m外回りはやや特殊な条件

秋のGⅠ戦線も中盤に突入してきて、競馬の世界は一層盛り上がりが増してきている。今週末はエリザベス女王杯(GⅠ 芝2200m外回り)。やはり京都でのGⅠは、私たち京大競馬研究会は地元の利もあって生で観戦しやすく喜びを感じる。京都開催が終わるまで予想と観戦をじっくり堪能したい。さて予想に入っていこう。

京都芝2200外回りというコースについて見ていく。 まずは過去のエリザベス女王杯のラップを確認する。

2016 12.5 - 11.2 - 12.8 - 12.7 - 12.6 - 12.6 - 12.5 - 11.9 - 11.5 - 11.2 - 11.4
2017 12.5 - 11.3 - 12.7 - 12.8 - 12.7 - 12.8 - 12.9 - 12.2 - 11.6 - 11.2 - 11.6
2018 12.3 - 11.2 - 12.9 - 12.7 - 12.3 - 12.5 - 12.5 - 12.0 - 11.6 - 11.4 - 11.7

ご覧の通りラスト800mまでほとんど12秒台後半が続くゆったりとしたラップ、かつラスト800~600mでもペースはそこまで速くならずラスト600mから一気に加速、そしてラスト400m~200mのラップが最も速くなるいわゆる瞬発力勝負のレースである。

これだけ見ると瞬発力に自信のある馬を選べばいいと考えるが、もうひとつポイントがある。それは直線の馬群だ。毎年頭数が多いというのもあり、直線で馬群が縦長になる傾向にあるため、瞬発力があるといっても後ろ過ぎては厳しい。それを表すデータが次のものだ。

京都芝2200m良馬場(2014~)馬番別成績ⒸSPAIA

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このデータは2014年からの京都芝2200m外回りコースでの馬番別の成績である。先述したようにスローの勝負になり、各馬の上がりの差が小さくなる。ということは、4コーナーから直線までの位置取りが大事になってくる。内でロスなく回って上がり33.6秒を出すのか、外を大きく回して上がり33.6秒を使うのかでは、当然前者の方が良いに決まっている。なので、なるべく内でロスなく立ち回れる馬を狙うべきだろう。

秋華賞でオークスの答え合わせが完了

◎クロノジェネシス
秋華賞を華麗に差し切ったこの馬を本命にする。オークス馬、ラヴズオンリーユーと人気を分け合うことになるだろうが、そのオークスについて考察することがカギとなってくる。オークスのレースラップが

12.5 - 10.9 - 11.7 - 11.9 - 12.1 - 12.2 - 12.3 - 12.2 - 11.7 - 11.4 - 11.6 - 12.3

1000m通過が59.1秒で、かつラスト800メートルから11秒台を刻む展開で、先行馬にとってはかなり厳しかった。このレースはラヴズオンリーユーが後方から差し切って勝利したが、展開が向いた。

かたやオークスで先行して2、3着に粘ったカレンブーケドール、クロノジェネシスはその後の秋華賞で2頭のマッチレースとなった。ここで答え合わせが完了した。オークスは間違いなく先行勢には厳しいレースだったということを。ラヴズオンリーユーとはオークス以来の再戦となるが、今回はあの時のようなペースになるとは考えづらく逆転できるとみた。

クロノジェネシスの持ち味は何といっても類まれな瞬発力である。デビュー2戦目のアイビーステークスのレースラップが

12.9 - 12.0 - 12.3 - 12.8 - 12.9 - 12.3 - 11.3 - 11.0 - 11.1

と1000m通過が62.9と十分逃げ馬も粘ることのできるラップであっても、中団からどの馬も止まっていない中で突き抜けて圧勝した。人間でもそうだが、バテている人を追い抜くのと、トップスピードに乗っている人を追い抜くのとではわけが違う。

クロノジェネシスのラスト3ハロンの個別ラップは推定11.1-10.9-10.5、直線で先頭に立ったトーラスジェミニのラスト3ハロンの個別ラップが推定11.8-11.0-11.2と、この馬が残ってもいい展開だった。このレース3着だったエメラルファイトは後にスプリングステークスを勝利しており、この馬を子ども扱いしたクロノジェネシスのすごさがわかる。

桜花賞に関しては直線で前が壁になってしっかり追えたのがラスト200mしかなかった中でも、3着に持ってきただけに、一番強い競馬をしたといっても過言ではないだろう。秋華賞も着差以上に余裕のある勝ち方で、春から成長も見られた。能力・適性・ローテンションともに全くスキがなく、不動の本命としたい。

その他注目馬は?

〇クロコスミア
リピーターが台頭することが多いのもこのレースの特徴である。このレース2年連続2着で、今年は人気薄にはならなさそうだが、先述した前目のポジションが有利という条件には適しているだろう。 前走の府中牝馬ステークスのラップは

12.4 - 10.9 - 11.6 - 11.8 - 11.6 - 11.9 - 11.3 - 11.2 - 11.8

で1000m通過58.3秒のハイペースかつ、馬場が渋っていたことを考えると、差し馬にとっては好条件だったのは間違いない。その中で先行して5着に粘ったのは立派。今回は前走より展開が恵まれそう。2走前の札幌記念では、直線で他馬に寄られる不利を受けてしまった。それでもG1級がそろったレースで7着なら悲観することはないだろう。

▲フロンテアクイーン
この馬も府中牝馬ステークス組。ヴィクトリアマイルでは15着に惨敗しているが、これは高速馬場だったのがすべて。高速馬場かつ、外枠ではノーチャンスだった。この馬の持ち味は末脚。条件戦での勝利(2017年初音ステークス)のラップを見ると

12.6 - 11.4 - 12.0 - 12.5 - 12.3 - 12.0 - 11.4 - 11.0 - 11.5(36.0-33.9)

と中盤が緩んでの瞬発力勝負で勝利。このレース2着馬ワンブレスアウェイは2019年の愛知杯勝ち馬、3着馬ミエノサクシードは京都金杯3着・阪神牝馬ステークス3着・関谷記念2着とのちに重賞で好走する馬たちを寄せ付けなかった。今回は京都の外回りコースということもあり、中盤が緩む流れで、ある程度時計のかかる馬場が予測されるのでぴったり当てはまる。

2018年の府中牝馬ステークスではリスグラシュー、ディアドラといったトップクラスの牝馬と0.1秒差の3着とこれも推したいポイントだ。最近は前目のポジションを取れるようにもなってきており、距離不安で人気が落ちれば、馬券的に妙味もある1頭。

△ラヴズオンリーユー
デビュー2戦目の白菊賞で出した1.33.6というのは、あの日の京都の馬場を考えるとタイム、上がりとも優秀だった。ディープインパクト×ストームキャットはリアルスティールやサトノアラジンのように瞬発力自慢の馬が多い。この馬も例に漏れていない。極端な位置取りでもロスがなければ、持ち前の瞬発力と直線の長いこのコースとのシナジーを見込めるだろう。 (文ケータロー)

エリザベス女王杯2019予想
◎クロノジェネシス
〇クロコスミア
▲フロンテアクイーン
△ラヴズオンリーユー

推奨買い目
馬単◎→〇▲△、ワイド◎‐〇▲

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《ライタープロフィール》
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。

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