オグリキャップが歴代最高得票数 ファン投票から見る宝塚記念

門田光生

イメージ画像ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

期待に応えるファン投票上位馬

上半期の締めくくり、宝塚記念までもう少し。ご存じの通り、宝塚記念は有馬記念と同様にファンによる投票が行われ、人気上位の馬に優先出走権が与えられるドリームレースなのだが、梅雨の時期に行われること、そして中・長距離路線のGⅠ路線である天皇賞・春から間隔があきすぎるのもあって、ファン投票上位馬がよく回避する、そんな印象を持っていた。

ただ、思い込みとは恐ろしいもので、実はここ10年で実に7頭のファン投票1位を獲得した馬が出走している。1位が出走しなかった年も2位の馬が出走。それどころか、2003年からずっと1位か2位の馬が出走しているのだ。今年は残念ながら1位のアーモンドアイが出走回避しそうだが、2位のラッキーライラックは出走予定。この記録は今年も継続しそうだ。

また、1960年の第1回から調べると、ファン投票最上位の馬(1、2位に限る)の勝率は約35%、連対率は約65%と抜群の数字である。

優勝馬のファン投票の順位を見てみよう。一昨年のミッキーロケットをはじめとしてファン投票が2桁の馬もよく勝っている。ちなみに、最もファン投票順位が低い勝ち馬は1986年のパーシャンボーイ。何と165位だった(しかし、レースでの人気は3番人気)。

バブルの時代はすごかった

下記の表はファン投票の得票率ベスト5であるが、2000年以降の馬で占められている。

最多得票率ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

理由は正直、分からない。ただ、もしかすると以前ほど個性的な人気馬が少なくなって、一定の馬に集中しやすくなっているのかもしれない。ちなみに、歴代得票率10位のうち、本番に出走したのは8頭。その成績は【2-3-1-2】の成績。そうそうたる名前の馬ばかりということを考えると、少し物足りない数字かもしれない。

また、得票率はあくまでもその時のもので、同時期に強力なライバルがいれば票が分散して得票率が落ちる。得票率=歴代で最も人気のある馬、とは一概にいえない。票にはないが、面白いのが2016年。キタサンブラックが歴代6位の得票率でファン投票のトップに輝いたが、実際レースでの人気は2番人気だった(1位はドゥラメンテ)。

最多得票数ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

こちらはファン投票の得票数ベスト5。得票率とは対照的で、こちらは1990年代の名馬がズラリと並んでいる。

空前の年間4兆円を売り上げたのが1997年。まさに競馬の絶頂期で、当然ながら投票した人数も今とは比べ物にならないぐらい多かったのだろう(1位のオグリキャップが152,016票、今年の1位アーモンドアイは111,842票)。

今年はファン投票上位馬が実力を見せつけるのか、はたまた近年の傾向通り波乱があるのか。本番まであと少し。衰えの見え始めている脳ミソをフル回転して勝ち馬を探し出したい。

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬などの予想・記事も執筆中。

2020年宝塚記念ファン投票

おすすめ記事