【阪急杯】割引データ該当も京都で消せないダノンマッキンリー 昇級組ではフォーチュンタイムに注目
勝木淳

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神戸線から京都線へ
阪急電車といえば、競馬ファンにとって大阪梅田と西宮、神戸、新開地を結ぶ神戸線と阪神競馬場の最寄り駅・仁川を通る今津線が思い浮かぶ。
だが、十三で分岐する宝塚線、京都線も阪急電車の大動脈。京都線は淡路で千里線に接続し、摂津、茨木、高槻を経て桂で嵐山線とわかれ、京都河原町に達する。
京都河原町から少し歩くと鴨川に出るが、そこにかかる四条大橋を渡ると、京阪本線の祇園四条駅がある。京都の西から進む阪急京都線と京都の南北を結ぶ京阪本線は、祇園四条でもっとも近づく。
阪急杯が仁川の阪神から淀の京都に舞台を移すのは違和感があるが、神戸線から京都線に乗り換えたと思えば、それも和らぐ。
この2路線が分岐するのは、前述の十三駅。阪急杯は馬番「13番」が過去10年【3-0-1-5】で最多勝。仁川から京都に移っても“十三の法則”は変わらないのではないか。
データは阪神で行われた過去10年分を使用し、ローテーションを中心に探っていく。
阪神から京都に舞台を移した理由は、高松宮記念との間隔にある。中3週ではなく、中4週にするために一週繰り上げて行われる。
昨年まではどちらかというと、1400mのスペシャリストによるスワンS、阪神Cから続くシリーズの一環だった。1番人気【4-1-1-4】勝率40.0%、複勝率60.0%や2番人気【2-1-2-5】勝率20.0%、複勝率50.0%と人気サイドが堅実なのは、シリーズで好走した1400m巧者という主軸の存在が大きい。ついで6、7番人気の成績がよく、馬券的にはひねりも必要だ。
年齢の傾向は、ほぼないに等しい。4歳【2-3-1-21】(勝率7.4%、複勝率22.2%)5歳【3-3-5-32】(勝率7.0%、複勝率25.6%)、6歳【3-2-2-40】(勝率6.4%、複勝率14.9%)と横一線だ。
なんなら7歳以上も【2-2-2-41】(勝率4.3%、複勝率12.8%)と悪くない。年齢の差がないことも、混戦になりやすい重賞の特徴といえる。
昇級組ならフォーチュンタイム
ひと口に阪神から京都に替わるといっても、内回りから外回り、開幕週から最終週と状況はかなり違う。直近は阪神Cとのつながりが強いレースだったが、もしかするとスワンSの成績が予想のキーになる可能性がある。ただし、こればかりはやってみないとわからない。今年の結果を踏まえ、来年にいかすよりない。
GⅠ前哨戦的な位置になかったせいか、前走3勝クラス【2-1-0-9】勝率16.7%、複勝率25.0%と挑戦者であっても勢いで太刀打ちできる。
前走GⅠは【1-1-1-5】勝率12.5%、複勝率37.5%となっていて、頭数が少ないことも前哨戦ではなかったことを物語る。正直、今年も秋のGⅠ以来になる実績馬はいないので、そこまで立ち位置は変わっていない。
前走マイルCSは【1-0-1-4】勝率16.7、複勝率33.3%だが、6~9着馬が【1-0-1-1】。マイルで適度に負けた馬の巻き返しがある。12着だったオオバンブルマイは距離短縮こそ悪くないが、反転できるだろうか。
前走阪神Cは【2-3-1-20】勝率7.7%、複勝率23.1%で、今年も6着ソーダズリングなど複数が参戦。予想のかなめとなる。
着順の傾向をみると、二桁着順【0-0-0-7】でなければチャンスあり。好走した馬はそのまま力をみせ、そこそこ負けた馬も再浮上する。だが、舞台が変わり、同じ距離でも適性は変わる。このデータの傾向が引き継がれるかは微妙だ。
そして、11着ダノンマッキンリーはマイナスデータに一致してしまう。消しと言いたいところだが、2走前はスワンS1着。京都の阪急杯なら一変したっていい。
前走3勝クラスは距離に注目。1400m1着は【2-1-0-6】勝率22.2%、複勝率33.3%で、フルメタルボディーやフォーチュンタイムは好走候補となる。
もう少し絞るなら、2番人気以内【2-1-0-2】。3勝クラスで主役級の評価を受け、きっちりそれに応える実力が重賞につながる。これに当てはまるのがフォーチュンタイムだ。
前走東山Sは同じ京都芝1400mで行われ、前半800m12.1-11.0-11.1-11.2のハイペースを5番手から抜け出した。メイショウエニシアが飛ばした流れなので額面通りとはいかないが、速い流れを経験したのは重賞に結びつく。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
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