現4歳世代は「イクイノックス世代」に匹敵! ダービー組は芝の上級条件で単複回収率100%超
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世代間の比較も予想ファクターに
今週末は東京芝1600mでGⅢ東京新聞杯が開催される。毎年好メンバーが集まるマイル重賞だが、今年もエリザベス女王杯覇者の5歳馬ブレイディヴェーグ、秋華賞2着の4歳馬ボンドガールなど、各世代の強豪馬たちが登録している。
今年の東京新聞杯を予想する上で重要になる要素の一つが「世代レベル」。ボンドガールやウォーターリヒト、オフトレイルといった現4歳世代が、ブレイディヴェーグやジュンブロッサムといった上の世代の馬たちに通用するのかは気になるところだ。
そこで、今回は4歳世代の「世代レベル」について現5、6歳世代と比較する。芝、ダートそれぞれで行い、現4歳世代の「買える条件」も紹介していく。
芝は「イクイノックス、ドウデュース世代」に匹敵
まずは、芝の世代レベルを見る。集計期間は各世代の「3歳6月(ダービー翌週)〜4歳1月(中山開催最終週まで)」。また、レース条件は「3歳以上」または「4歳以上」のOP以上(JRA開催のOP特別、リステッド競走、重賞)である。
<世代別の芝古馬戦(0P以上)成績>
現4歳世代【13-11-9-70】
勝率12.6%/連対率23.3%/複勝率32.0%/単回収率81%/複回収率82%
現5歳世代【8-9-3-76】
勝率8.3%/連対率17.7%/複勝率20.8%/単回収率58%/複回収率47%
現6歳世代【15-6-9-62】
勝率16.3%/連対率22.8%/複勝率32.6%/単回収率80%/複回収率88%
※集計期間:各世代の3歳6月(ダービー翌週)~4歳1月(中山開催最終週まで)
4歳世代は複勝率32.0%で、イクイノックスやドウデュースが大活躍した現6歳世代に迫る成績だった。
また、同期間の3勝クラスの成績は以下の通り。
<世代別の芝古馬戦(3勝クラス)成績>
現4歳世代【19-13-7-65】
勝率18.3%/連対率30.8%/複勝率37.5%/単回収率65%/複回収率67%
現5歳世代【12-11-14-90】
勝率9.4%/連対率18.1%/複勝率29.1%/単回収率55%/複回収率74%
現6歳世代【20-13-9-62】
勝率19.2%/連対率31.7%/複勝率40.4%/単回収率67%/複回収率63%
※集計期間:各世代の3歳6月(ダービー翌週)~4歳1月(中山開催最終週まで)
こちらも現4歳世代が現6歳世代に肉薄している。
OP以上、3勝クラスの成績から、今年の4歳世代の芝路線は現6歳世代に匹敵するレベルと言ってもいいだろう。
「ダービー出走馬」は買い!
現4歳世代の芝路線で「買える条件」を紹介していく。なお、集計期間、レース条件は先ほどの章と同じである。
<現4歳世代 芝で「買える条件」(OP以上)>
ダービー出走馬【4-2-2-9】
勝率23.5%/連対率35.3%/複勝率47.1%/単回収率115%/複回収率110%
→芝2200m以上【2-2-2-4】
勝率20.0%/連対率40.0%/複勝率60.0%/単回収率135%/複回収率156%
牡馬【9-8-8-37】
勝率14.5%/連対率27.4%/複勝率40.3%/単回収率88%/複回収率102%
昇級初戦【1-2-1-4】
勝率12.5%/連対率37.5%/複勝率50.0%/単回収率245%/複回収率98%
※集計期間:各世代の3歳6月(ダービー翌週)~4歳1月(中山開催最終週まで)
まずは「日本ダービー出走馬」から。なお、出走取消となりゲートに入ることが叶わなかったメイショウタバルは除いたデータとなっている。
ダービー馬ダノンデサイルは有馬記念3着、3着のシンエンペラーもジャパンC2着同着など、上位馬は古馬GⅠでも通用している。さらに9着シックスペンスは毎日王冠1着、15着のショウナンラプンタは日経新春杯2着と大敗組も古馬重賞で活躍中だ。
2024年ダービーはロングスパート戦になり、ラスト1000mは56.8。これは1986年以降のダービー史上最速であり、いかにこの世代のレベルが高いのかを示している。
古馬の芝2200m以上だとダービー出走組の信頼度はさらにアップし、【2-2-2-5】複勝率54.5%、複回収率141%とプラス域をマーク。ある程度距離があった方が、ダービーでも問われたロングスパート戦での力が生きてくるのだろう。今年の天皇賞(春)や宝塚記念でも要注目だ。
また、芝は牡馬優勢。牝馬が勝率9.8%、複勝率19.5%に対し、牡馬は勝率14.5%、複勝率40.3%と大きな差がある。思い返せば、牝馬クラシック路線の中心だった桜花賞馬ステレンボッシュは香港ヴァーズ3着、二冠牝馬チェルヴィニアはジャパンC4着。ダービー5着のレガレイラこそ有馬記念を制したが、全体的には牡馬ほど結果に繋がっていない。
最後に、昇級初戦の馬にも要注目。OP以上に挑戦すると、複勝率50.0%を記録している。3勝クラス、OPと連勝し、京都金杯で2着に入ったウォーターリヒトや先日OPを完勝したレイデオロ産駒のトロヴァトーレなど、春のGⅠに向けて楽しみな馬が続々登場している。
“ダート中央組”は短距離路線で注目
次に、ダートの世代レベルを見る。なお、集計期間は芝と同じだが、JRAのOP以上に限るとレース数が少ないため、3勝クラスの古馬戦も含めている。
<世代別 ダート古馬戦(3勝クラス以上)成績>
現4歳世代【21-15-6-71】
勝率18.6%/連対率31.9%/複勝率37.2%/単回収率72%/複回収率81%
現5歳世代【23-17-11-68】
勝率19.3%/連対率33.6%/複勝率42.9%/単回収率61%/複回収率91%
現6歳世代【22-22-16-68】
勝率17.2%/連対率34.4%/複勝率46.9%/単回収率73%/複回収率88%
※集計期間:各世代の3歳6月(ダービー翌週)~4歳1月(中山開催最終週まで)
複勝率では現5歳世代や6歳世代より劣る結果になった。フォーエバーヤングやラムジェットといった世代のトップ層は、中央競馬ではなく海外や地方のレースで活躍している。中央のレースに出走している馬たちは、現状少し後れをとっているようだ。
4歳世代のダート路線で「買える条件」も紹介していく。集計期間、レース条件は先ほどと全く同じである。
<現4歳世代 ダートで「買える条件」(3勝クラス以上)>
1200m以下【8-6-1-16】
勝率25.8%/連対率45.2%/複勝率48.4%/単回収率83%/複回収率100%
牝馬【5-4-2-18】
勝率17.2%/連対率31.0%/複勝率37.9%/単回収率74%/複回収率104%
2025年【6-3-1-18】
勝率21.4%/連対率32.1%/複勝率35.7%/単回収率127%/複回収率92%
※集計期間:各世代の3歳6月(ダービー翌週)~4歳1月(中山開催最終週まで)
まずは1200m以下のスプリント戦。複勝率48.4%、複回収率100%と高水準だ。カペラSを制したガビーズシスターや、地方重賞にはなるが東京盃を制したチカッパなど、この世代はダートスプリント路線の層が厚い。短距離戦では積極的に狙っていこう。
芝では牡馬が優勢だったが、ダートは牝馬がわずかに上をいく。牡馬【15-11-4-53】複勝率36.1%、複回収率72%なのに対して、牝馬は【5-4-2-18】複勝率37.9%、複回収率104%となっている。先述のガビーズシスターも牝馬だ。
また、昨年の中央競馬での成績は、他の世代と比べるとイマイチだったが、今年は良化している点は強調しておきたい。上記期間の内、2025年では【6-3-1-18】勝率21.4%、単回収率127%、複回収率92%と妙味たっぷり。まだ見直す余地はある。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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