【朝日杯FS】「前走1400~1600mでレコード勝ち」は複勝率83.3%! データで導く穴馬候補3頭
鈴木ユウヤ
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データで見る「穴候補3頭」
日曜の京都メインは朝日杯フューチュリティステークス。先週に引き続き2歳マイルGⅠ、今度は牡馬の戦いが行われる。こちらも阪神競馬場が改修のため、京都での代替開催になる。
阪神JFは異例の「アルテミスS組全滅」で5-8-7番人気決着の波乱が起きた。この朝日杯FSも例年はサウジアラビアRCやベゴニア賞組など東京マイル実績馬が強いレースだが、舞台が京都になって前提が崩れる可能性もある。その点を意識しつつ、様々な切り口のデータを駆使して3頭の穴候補を導き出した。
「レコード勝ち実績」はほぼ嘘をつかない? ニタモノドウシ
まず1頭目はニタモノドウシ。母母イスラコジーン、つまり近親に皐月賞馬イスラボニータがいる良血だ。福島芝1200mでデビュー勝ちを収め、続くクローバー賞も勝利。勝ち時計1:28.6は札幌芝1500mの2歳レコードだった。
「走破時計が速い=強い」と一概に言えないのが競馬の難しいところだが、この朝日杯FSに限っては「レコード勝ち実績」は買い材料になる。
過去10年の当レースで、前走がレコード勝ちだった馬は【2-1-2-4】複勝率55.6%。そのレコード勝ちが1400~1600m戦なら【2-1-2-1】複勝率83.3%、複回収率121%と高確率で馬券に絡んでいる。
クローバー賞は1番人気ミリオンローズをマークするように外から進出し、直線半ばで早々と先頭に立つと、最後は緩める余裕も見せて2馬身差の完勝だった。ここまで能力の底を全く見せていない。鞍上にライアン・ムーア騎手を確保したのも頼もしい。相手強化でも面白い1頭だ。
意外と通用する「前走新馬、未勝利組」 アドマイヤズーム
続いてアドマイヤズームを取り上げる。新馬戦は1番人気4着に終わったが、2戦目できっちり変わり身を見せ3馬身差勝ち。タイムも1:33.9と上々だった。
前走で新馬や未勝利戦を勝ったばかりの馬が意外と通用するのも、朝日杯FSの特徴。過去10年で【2-0-3-17】複勝率22.7%、複回収率154%という数字だ。
なお阪神JFの「前走新馬、未勝利組」は【0-1-0-18】(※今年含む近10年)だからその差は歴然。牝馬路線と違って有力馬がホープフルS路線と分散するぶん、新興勢力にも割って入るスキが生まれやすいのだろう。
なかでも着差0.5秒以上で勝ちあがってきた馬は【1-0-2-1】複勝率75.0%、複回収率722%の好成績。下級条件であっても圧勝歴は軽視できない。
アドマイヤズーム自身は近親にハートビートソングやダノンブレット、フタイテンロックらがいるややダート質の血統。通常の阪神外回り開催なら切れ味で見劣りそうだが、荒れた京都芝が舞台となるのは追い風だ。前が飛ばして消耗戦になれば相対的に浮上してくる。
ノーザンF産のバゴ産駒は打率優秀! トータルクラリティ
ラストはトータルクラリティ。2戦2勝で新潟2歳Sを勝ったが、どうも想定オッズ4~6番人気あたりとやや甘く見られている。生産は安平のノーザンファーム、父は凱旋門賞馬バゴだ。
「ノーザンファーム産のバゴ産駒」は出世する確率が非常に高い。これまでJRAで出走したのはわずか10頭だが、そのうち7頭が勝ち上がり(現2歳を除けば6頭中5頭)、クロノジェネシス、ステラヴェローチェ、トータルクラリティと重賞馬も3頭誕生している。
上記10頭について2歳戦での成績を集計すると【9-5-5-4】で、複勝率はなんと82.6%。単回収率196%、複回収率171%も文句なしだ。ノーザンFのバゴ産駒を見かけたら、2歳のうちはベタ買いでいい。
トータルクラリティは重賞勝ちの実績もさることながら、6月の京都で見せたラスト11.4-10.9というラップも優秀だった。GⅠでも好勝負になる。
<ライタープロフィール>
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、X(Twitter)やブログで発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。
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