【エリザベス女王杯】重要データ「前走クラス」で半分脱落 本命は昨年の勝ち馬と同じローテのレガレイラ

門田光生

エリザベス女王杯の年齢別成績(過去15回),ⒸSPAIA

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前走格が大事な一戦

2024年11月10日に京都競馬場で行われる第49回エリザベス女王杯。近年は牝馬のレベルが格段に上がり、牡馬の一線級と互角の戦いができる馬が毎年のように出ている。しかし、その弊害なのか本来ナンバーワン牝馬を決める本レースに実績上位馬がなかなか参戦しなくなった。

今年も三冠牝馬リバティアイランドは天皇賞(秋)に出走。チェルヴィニア、スターズオンアースはジャパンカップに出走予定と聞く。

そのため今回はGⅠ馬が少ないメンバー構成となった。馬券的に混戦でどの馬にもチャンスがあると言える面白いレースとなりそうだ。過去に大きな配当が出ており、穴党にとっても注目のレースであるのは間違いない。 そんなエリザベス女王杯にはどんな傾向があるのか。今回は阪神開催だった2020~2022年を含む過去15回の成績を基に検証していく。なお2022年は2着同着となっている。

☆所属
美浦所属馬が4勝(9連対)、栗東所属馬は9勝(20連対)。複勝率ではわずかに後者が上回るが、勝率、連対率は互角。また、外国馬が2勝を挙げているが今年は参戦なし。

出走馬の所属,ⒸSPAIA


☆年齢
勝ち数と連対数が一番多いのは4歳馬で8勝(12連対)。次いで4勝(10連対)の3歳馬となる。連対率、複勝率は後者が少し上回っており、中心はこの2世代。一方、6歳からは勝ち馬が出ておらず、7歳以上で馬券に絡んだ馬はいない。

出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆前走クラス
前走GⅢクラス以下から連対したのは、前走2勝クラスから参戦した2013年2着ラキシスだけ。前走3勝クラスからは27頭が出走し、すべて着外となっている。

基本は11勝(21連対)の前走GⅡか、2勝(7連対)の前走GⅠ組から狙うことになる。

出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA


☆主な前走レース
主要な前走レースとなる府中牝馬S(GⅡ昇格後)から勝ち馬5頭を含む11頭の連対馬が出ており、これが最多だ。

勝率や連対率で比較すると、同じくGⅡの前走オールカマー組が勝率17.6%、連対率23.5%でGⅡ昇格後の府中牝馬組(勝率:6.9%、連対率:15.3%)を上回っている。

3歳馬の中心となる秋華賞組も連対率16.7%と悪くないが、今年は該当馬がいない。ほかでは、ローズS組が1戦1勝となっている。

出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


☆前走着順
前走5着以内馬を比較すると、同2着が【3-4-1-25】連対率21.2%、同3着が【4-1-5-21】勝率12.9%でそれぞれトップ。また、前走10着以下からは勝ち馬は出ていない。

出走馬の前走着順,ⒸSPAIA


☆前走着差
前走で1秒以上離されて負けていた馬は36頭。このうち、連対したのは2009年の1着クィーンスプマンテ(前走1.0秒負け)と、2着テイエムプリキュア(前走3.2秒負け)。2009年といえば、3連単150万、馬連10万円を超える高額配当が出た年である。このデータを持つ馬が連に絡むことがあれば、大波乱が起こるかもしれない。

出走馬の前走着差,ⒸSPAIA


昨年の再現なるか 1戦1勝のローズS組にかける

エリザベス女王杯のデータをまとめてみよう。

【好走率アップ】
A「3歳or4歳」
B「前走オールカマー」
C「前走2着or3着」

【好走率ダウン】
D「前走1秒以上負け」

【勝ち馬なし】
E「前走10着以下」

【連対馬なし】
F「前走3勝クラス、OP・L、GⅢ」

今年は様々な路線から登録があるが、その半分以上が過去15年で連対馬が出ていないF「前走3勝クラス、OP・L、GⅢ」に該当する。これを除いて残るのは、府中牝馬S組の7頭と、オールカマー、ローズS組のそれぞれ1頭、合計9頭。一気に半分まで絞られた。

この9頭の中でプラスデータを複数持つ馬はおらず、今回は「プラスデータ1つ」かつ「マイナスデータを持たない」馬を有力候補とする。これに該当するのは、コンクシェル(A)、シンティレーション(C)、モリアーナ(A)、レガレイラ(A)の4頭となる。

コンクシェル(前走9着)、シンティレーション(前走2着)、モリアーナ(前走8着)の3頭は府中牝馬S組。まず、GⅡ昇格後の同レース組72頭を対象に、本レースの好走傾向を調べた。

指標となりそうなのは「前走着順」。前走2着馬は【1-1-0-7】と連対馬が2頭出ているが、8、9着馬は合わせて【0-0-0-9】で馬券に絡んでいない。よって、この3頭の中ではシンティレーションを上に取る。

続いてコンクシェルとモリアーナの比較だが、府中牝馬Sでの「脚質」に着目する。前者が該当する「前走逃げ」は4頭おりうち1頭が連対している。サンプルは少ないが、連対率25%は悪くない。

対して、後者の「前走追込」は【1-0-1-21】連対率4.3%。本レース自体でも、逃げ馬は【1-2-0-12】で連対率が20%ある。ということでコンクシェル、モリアーナの順とする。

残る1頭、3歳馬レガレイラはサンプルの少ないローズS組。該当馬は昨年の勝ち馬ブレイディヴェーグになる。前記の府中牝馬S組にこれといった決め手がない。それならば昨年の再現を期待して、今回は1戦1勝のローズS組レガレイラにかけてみる。

◎レガレイラ
◯シンティレーション
▲コンクシェル
△モリアーナ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
前哨戦で出てきた府中牝馬Sですが、来年から「アイルランドトロフィー」に名称が変更されます。そのうち、漢字表記のレース名がほぼなくなるのではと、ちょっと心配しています。

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