【凱旋門賞】データでは内のゲート番が優勢 シンエンペラーは「4年連続馬券内」条件に合致

東大ホースメンクラブ

2024凱旋門賞の条件別成績(過去5年),ⒸSPAIA

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コース紹介

来週末の10月6日(日)はパリロンシャン芝2400mでGⅠ凱旋門賞が開催される。日本からは日本ダービー3着、愛チャンピオンS3着と日欧両方のGⅠで馬券に入る快挙を果たしたシンエンペラーが出走する。

今年の凱旋門賞は混戦模様。無敗でGⅠ仏ダービーを制したルックドゥヴェガや、それを破って前哨戦のGⅡニエル賞を制したソシエ、武豊騎手が騎乗予定で前走のGⅠベルリン大賞を5馬身差で圧勝したアルリファーなどが海外では上位人気想定となっている。

今回はこの凱旋門賞について、ゲート番別成績、年齢、ローテーション、JRA単勝オッズの4つの観点から分析していく。(使用するデータは2019〜2023年の過去5年分)。

まずはパリロンシャン芝2400mのコース解説から。スタンドから見て左奥のゲートからスタートする。向正面の直線約1000mのうち、最初の400mは平坦だが、そこからは最大斜度2.4%の上り坂を600mほど上る。3コーナーに入ると、今度は600mで10m下るレイアウト。中山競馬場(高低差5.3m)と比べると倍近くの高低差がある。

坂を下り切った先にあるのが、約250mのフォルスストレート(偽りの直線)。これは坂下から4角までの区画を差しており、最終直線と間違えそうな長さがあることから呼ばれている。

フォルスストレートは下り坂の直後とあってスピードが出やすく、ここで体力を温存できるかが最終直線での攻防の鍵となる。フォルスストレートを抜けるとラストの直線へ。ほぼ平坦で533m先がゴール地点となる。


内有利、立ちはだかる古馬の壁

凱旋門賞 過去5年のゲート番別成績,ⒸSPAIA


<凱旋門賞 過去5年のゲート番別成績>
1〜5番【2-4-2-15】
勝率8.7%/連対率26.1%/複勝率34.8%
6〜10番【2-1-2-19】
勝率8.3%/連対率12.5%/複勝率20.8%
11番〜【1-0-1-23】
勝率4.0%/連対率4.0%/複勝率8.0%

まずはゲート番別の成績について。傾向はシンプルで内枠ほど有利となっている。これは「オープンストレッチ」の影響が大きいと考察する。

オープンストレッチとは変則コースのことで、前が詰まりにくいレースを目指し、残り450m付近から仮柵が取り払われることで現れる。内ラチ沿いに5、6mほどのスペースが生まれ、各馬がスムーズに進路を確保できるようにするという狙いがある。内枠の方が馬場の良い上記エリアを通りやすいことから、外枠に比べて好成績となっている。

凱旋門賞 過去5年の年齢別成績,ⒸSPAIA


<凱旋門賞 過去5年の年齢別成績>
3歳【1-2-2-21】
勝率3.8%/連対率11.5%/複勝率19.2%
4歳【2-1-2-16】
勝率9.5%/連対率14.3%/複勝率23.8%
5歳【2-2-1-11】
勝率12.5%/連対率25.0%/複勝率31.3%
6歳以上【0-0-0-9】
勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%

次に年齢別成績について。斤量の都合上、3歳馬有利のイメージがある凱旋門賞だが、過去5年に限ると4、5歳馬の方が優秀だ。昨年はエースインパクトが3歳で制覇したが、3歳の凱旋門賞制覇は17年のエネイブル以来7年ぶりだった。想像以上に古馬の壁は厚いと言える。

ただし、いくら古馬優勢といえども6歳以上の馬は馬券に絡んでいない点に注意だ。


シンエンペラーに追い風のデータ

凱旋門賞 過去5年の3着以内馬の前走,ⒸSPAIA


<凱旋門賞 過去5年の3着以内馬の前走>
2019年
1着馬 GⅡフォワ賞1着
2着馬 GⅠヨークシャーオークス1着
3着馬 GⅡニエル賞1着
2020年
1着馬 GⅠ愛チャンピオンS4着
2着馬 GⅠパリ大賞2着
3着馬 GⅠムーランドロンシャン賞1着
2021年
1着馬 GⅠバーデン大賞1着
2着馬 GⅠ愛チャンピオンS2着
3着馬 GⅠ英セントレジャー1着
2022年
1着馬 GⅠヨークシャーオークス1着
2着馬 GⅠ愛チャンピオンS3着
3着馬 GⅠバーデン大賞2着
2023年
1着馬 GⅡギヨームドルナノ賞1着
2着馬 GⅠキングジョージ2着
3着馬 GⅠ愛チャンピオンS7着

次はローテーション別の成績について。過去5年の凱旋門賞で馬券に絡んだ15頭の前走から傾向を読み取っていく。

やはり中心は前走GⅠ組で、全15頭中12頭が該当。そのなかでも前走愛チャンピオンS組が現在4年連続で好走している。この4頭は全て愛チャンピオンSで敗れている点も、シンエンペラーにとっては追い風だ。全兄のソットサスも愛チャンピオンS4着から凱旋門賞を制しており、その再現となるか注目したい。

また、日本では凱旋門賞の前哨戦としてお馴染みのGⅡフォワ賞やGⅡニエル賞からは2020年以降で好走馬が出ていない。


凱旋門賞 過去5年のJRA単勝オッズ別成績,ⒸSPAIA


<凱旋門賞 過去5年のJRA単勝オッズ別成績>
1.0〜5.0倍【1-2-1-5】
勝率11.1%/連対率33.3%/複勝率44.4%
→日本馬除く【1-2-1-3】
勝率14.3%/連対率42.9%/複勝率57.1%
5.1〜9.9倍【1-1-3-9】
勝率7.1%/連対率14.3%/複勝率35.7%
→日本馬除く【1-1-3-7】
勝率8.3%/連対率16.7%/複勝率41.7%
10.0倍〜【3-2-1-43】
勝率6.1%/連対率10.2%/複勝率12.2%

最後にJRA単勝オッズ別の成績を確認していく。基本的には人気馬の信頼度が高いレースである。応援馬券などで人気を被りやすい日本馬を除くと、単勝オッズ5.0倍以下の支持を受けた馬は複勝率57.1%。単勝オッズ5.1〜9.9倍でも複勝率41.7%と高水準だ。日本で赤オッズに支持される外国馬の実力は信頼できるということだろう。

ただ過去5年で馬券に絡んだ15頭のうち、6頭は単勝オッズ10倍以上の伏兵である。人気馬を軸に点数を広げ、紐荒れを狙うのが賢明だ。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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