スプリンターズSは“6秒台”の超高速決着が必至 データから浮上する「逃げ馬」「3歳」ピューロマジック

逆瀬川龍之介

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6秒台の超高速決着が必至

今開催の中山芝は異常なまでに時計が速い。レコードは3つ。そのうち2つは開幕週で、7日の紫苑S(芝2000m)でクリスマスパレードが1分56秒6、8日の2歳新馬(芝1600m)でファンダムが1分32秒8をマーク。ただ、3週目を迎えた21日のカンナS(芝1200m)でエコロジークが1分7秒2の2歳コースレコードを樹立したことには驚いた。

それも従来の時計を0秒6も更新したのだから、馬の能力はもちろんだが、芝のコンディションが抜群にいいことも間違いない。ならば、今週のスプリンターズSも(良馬場であれば)1分6秒台の決着は必至。12年にロードカナロアがマークした1分6秒7のレースレコードが更新される可能性も十分にある。

そこでこの機会に「超高速決着の芝スプリント戦の狙い方」を探ってみよう。データは1986年以降のものを使用する。

JRAの芝1200mで初めて1分6秒台がマークされたのは97年のシルクロードSで、タイムは1分6秒9。勝ったのはコジーン産駒の快足馬エイシンバーリンだった。それ以降、勝ち時計が1分7秒0未満だったレースは37鞍。ただ、少頭数のレースは参考にしづらいので、16頭立て以上だった19鞍(中山3鞍、京都4鞍、中京4鞍、小倉8鞍)に絞って分析したい。

芝1200m・16頭立て以上、勝ち時計1分6秒9以下の枠順別成績(1986年以降),ⒸSPAIA"


<勝ち時計1分6秒9以下の芝1200m戦(16頭立て以上) 枠順別成績>
1枠【3-4-2-29】勝率7.9%/連対率18.4%/複勝率23.7%/単回収率452%/複回収率94%
2枠【6-3-4-25】勝率15.8%/連対率23.7%/複勝率34.2%/単回収率376%/複回収率143%
3枠【2-5-3-28】勝率5.3%/連対率18.4%/複勝率26.3%/単回収率36%/複回収率69%
4枠【1-2-3-32】勝率2.6%/連対率7.9%/複勝率15.8%/単回収率5%/複回収率70%
5枠【5-0-1-32】勝率13.2%/連対率13.2%/複勝率15.8%/単回収率55%/複回収率31%
6枠【0-1-1-36】勝率0.0%/連対率2.6%/複勝率5.3%/単回収率0%/複回収率13%
7枠【0-3-1-39】勝率0.0%/連対率7.0%/複勝率9.3%/単回収率0%/複回収率29%
8枠【2-1-4-43】勝率4.0%/連対率6.0%/複勝率14.0%/単回収率37%/複回収率42%

最初に注目したいのは枠順別の成績だ。一目瞭然、内枠の好成績が目に付く。とりわけ2枠は【6-3-4-25】の勝率15.8%、連対率23.7%、複勝率34.2%で、全ての数値がトップ。回収率は単勝が376%、複勝でも143%ある。また、1枠は【3-4-2-29】の勝率7.9%、連対率18.4%、複勝率23.7%。連対率は2位タイ、勝率と複勝率は3位で、単勝回収率の452%は1枠を抑えてトップとなる。

1~2枠でワンツーを決めたレースも6鞍あるので、あれこれ考えずに1~4番の馬連ボックスを買うのもアリだ。

芝1200m・16頭立て以上、勝ち時計1分6秒9以下の脚質別成績(1986年以降),ⒸSPAIA"


<勝ち時計1分6秒9以下の芝1200m戦(16頭立て以上) 脚質別成績>
逃げ【5-1-2-11】勝率26.3%/連対率31.6%/複勝率42.1%/単回収率267%/複回収率115%
先行【5-7-5-55】勝率6.9%/連対率16.7%/複勝率23.6%/単回収率20%/複回収率51%
差し【9-9-9-114】勝率6.4%/連対率12.8%/複勝率19.1%/単回収率216%/複回収率85%
追込【0-2-3-84】勝率0.0%/連対率2.2%/複勝率5.6%/単回収率0%/複回収率16%

続いては脚質別の成績だ。こちらは予想通りというべきか、逃げ馬が【5-1-2-11】勝率26.3%、連対率31.6%、複勝率42.1%と好成績。回収率は単勝267%、複勝115%をマークしている。一昨年のCBC賞で、当時ルーキーの今村聖奈騎手を背にしたテイエムスパーダが1分5秒8の日本レコードで逃げ切ったシーンは記憶に新しい。

一点付け加えると、逃げ馬は枠順を要チェック。1~5枠なら【5-1-2-6】の好成績だが、6~8枠では【0-0-0-5】とサッパリなので、〝逃げ馬は楽にハナへ行ける内~中枠でこそ〟と覚えておこう。

では、対照的に差し馬は全くダメかというと、決してそんなことはない。

ただ、ジリジリと脚を使うようなタイプでは到底間に合わない。そこで押さえておきたいのは、前走でメンバー中最速の上がり3Fをマークした馬だ。該当23頭で【3-2-4-14】の勝率13.0%、連対率21.7%、複勝率39.1%。回収率は単勝が786%、複勝でも176%あるので、必ず買い目に加えたい。

芝1200m・16頭立て以上、勝ち時計1分6秒9以下の年齢別成績(1986年以降),ⒸSPAIA"


<勝ち時計1分6秒9以下の芝1200m戦(16頭立て以上) 年齢別成績>
3歳【2-3-5-21】勝率6.5%/連対率16.1%/複勝率32.3%/単回収率22%/複回収率103%
4歳【7-4-3-56】勝率10.0%/連対率15.7%/複勝率20.0%/単回収率55%/複回収率36%
5歳【6-8-3-65】勝率7.3%/連対率17.1%/複勝率20.7%/単回収率261%/複回収率76%
6歳【3-2-5-55】勝率4.6%/連対率7.7%/複勝率15.4%/単回収率166%/複回収率74%
7歳以上【0-1-2-54】勝率0.0%/連対率1.8%/複勝率5.3%/単回収率0%/複回収率29%

最後に年齢別の成績を紹介したい。こちらは3歳限定の1鞍を除いた18鞍のデータだが、明らかに若い馬ほど有利。3歳は【2-3-5-21】の複勝率32.3%、複勝回収率103%だから、安定感がある。

対照的に7歳以上は【0-1-2-54】と大苦戦。年を重ねて最初に衰えるのはスタミナよりもスピードと言われるので、この結果は偶然ではないだろう。

以上のデータを踏まえ、本命に推すのはピューロマジックだ。目下8戦連続でハナを奪っているように、テンの速さは現役ナンバーワン。3走前の葵S、前々走の北九州記念はともにハイペースで逃げての完勝だった。

前走のセントウルSは13着に敗れたが、不向きな外差し決着になったので参考外。超高速決着が予想される今回、唯一の3歳馬というのも頼もしく、鮮やかな逃げ切りを期待したい。

対抗はオオバンブルマイ。前走のキーンランドCは初のスプリント戦だったが、上がり3F最速の33秒2をマークして3着。かなり評価できる内容だったことは間違いない。ピューロマジックに付いて行った馬がバテたところへ、無欲の追込みがはまるかも。

あとは枠順確定後、1~2枠の各馬を要チェック。ピューロマジックの単勝と馬連流しで勝負する。

《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GⅠのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。

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