【セントライト記念】春は中山でダービー馬と互角の戦い スケール大きいアーバンシックに期待
貴シンジ
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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
今回は9月16日(月)に中山競馬場で行われるセントライト記念について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった14頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。
重要データ:前走日本ダービー、ラジオNIKKEI賞組が8勝
セントライト記念は春のクラシック戦線を戦ってきた馬、ラジオNIKKEI賞を走ってきた馬、そして条件戦やその他の重賞からここへ進み、秋への飛躍を狙う3パターンの馬たちが激突する一戦だ。
前走レース別成績を見てみると、日本ダービー(以下、ダービー)組が【5-7-5-22】、ラジオNIKKEI賞組が【3-1-1-11】、その他が【2-2-4-84】となっており、どの路線からでも勝ち馬は出ている。
ただダービーとラジオNIKKEI賞組以外から勝利した馬はいずれも人気馬。17年1着のミッキースワローは現2勝クラスからの参戦だったが2番人気、22年1着ガイアフォースは1勝クラスからの参戦も3番人気だった。
ではダービーとラジオNIKKEI賞組はどうだったかと言うと、1番人気3勝、2番人気1勝で人気馬も走っているが、4番人気2勝、9番人気1勝で穴っぽい馬たちの勝利もある。
回収率で見てもダービー組が単勝回収率71%、複勝回収率108%、ラジオNIKKEI賞組が単勝回収率327%、複勝回収率88%と高水準となっている。妙味はありそうな前走その他は単勝回収率12%、複勝回収率25%と低調な数字になっている。
基本的にはダービー、ラジオNIKKEI賞組を中心に考え、その他を組み込むのであれば、当日ある程度人気になっている馬を馬券に入れるのが良さそうだ。上位人気が予想される馬ではアスクカムオンモア、スティンガーグラスが前走条件戦で割引データに該当する。
【前走ダービーorラジオNIKKEI賞の出走予定馬】
・アーバンシック
・エコロヴァルツ
・コスモキュランダ
・ヤマニンアドホック
・ログラール
前走の内容:日本ダービー
今年はアーバンシック、エコロヴァルツ、コスモキュランダの3頭がダービーから参戦。今年のダービーは内側の馬場が綺麗で、内ラチ沿いの最短距離を通った馬が有利だった。
加えてラップが特徴的で、馬群自体はそれなりに縦長だったが、前半5Fが62.2秒、後半5Fが56.8秒。かなりゆったりとした流れで、前にいた馬たちが有利なレースだった。
エコロヴァルツはそんな展開を逃げており、どちらかと言えば有利な流れだった。
コスモキュランダは大きく出遅れ、これが痛かった。とはいえ、ゆったりとした中間ラップでポジションを前に上げており、極端に不利な流れではなかった。
最も苦しいレースだったのがアーバンシックだ。差しタイプの馬で展開負けは仕方ないが、4コーナーでも最後方と上位入線は難しい状況だった。3走前の中山芝2000mの京成杯は後のダービー馬ダノンデサイルと0.1秒差の2着。実績としては十分だ。中山芝2200mへの舞台替わりも問題ない。
血統解説:アーバンシック
・アーバンシック
日本での牝祖は3代母ウインドインハーヘア。言わずと知れたディープインパクトの母で、祖母ランズエッジがディープインパクトの3/4同血の妹にあたる。
ランズエッジは競走馬として活躍することはできなかったが、産駒は優秀で本馬の母エッジースタイルが芝中距離で3勝。叔父には青葉賞2着のヴァルコス(父ノヴェリスト)、従姉妹には今年の桜花賞馬ステレンボッシュ(父エピファネイア)などがいて活力は十分だ。
スタミナ豊富で成長力があるのがこの牝系の特徴。また一瞬で切れるというより、長く良い脚を使えることも特徴の一つだ。
春先の本馬はトモに頼りなさがあり、実力のすべてを発揮することができていなかった。それでも京成杯では後のダービー馬と互角の勝負をしており、トモがもう少ししっかりして前々で競馬することができれば、ここでは実力が違うだろう。また中山をこなすだけの機動力は持っている。
Cアナライズはアーバンシックを推奨
今回はアーバンシックを推奨する。春先は完成度が低く、ダービーは不向きな展開もあって実力を発揮することができなかった。
春の実績だけで言えば皐月賞2着のコスモキュランダが上だが、レースのインパクトや内容、また血統的背景を考えればアーバンシックの方がスケールで上回る。
ひと夏越えて課題をクリアできれば、ここは通過点になるだろう。
【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
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