【札幌記念】理想は「非サンデー系の実績馬」 重要データ「前走クラス」からレース傾向を解説
坂上明大
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傾向解説
サマー2000シリーズ第4戦としてだけでなく、秋の中長距離GⅠを展望する一戦として毎年GⅠ級の素質馬が集結する札幌記念。今年もGⅠ馬3頭を筆頭に有力馬が集結しており、ハイレベルな一戦が予想されます。本記事では血統面を中心に、札幌記念のレース傾向を整理していきます。
まず押さえておきたいポイントは格が重要であること。前述の通り、札幌記念はサマー2000シリーズ第4戦としてだけでなく、秋のGⅠ戦線に向けての始動戦としても非常に重要な役割を担っています。さらに、定量戦という点も大きなポイントで、GⅠ馬であってもハンデを背負わずに出走できるため、地力が結果に直結しやすいレースといえるでしょう。
また、札幌競馬場は直線距離が短いですが、コーナー角は非常に緩やかな競馬場であるため、立ち回りの上手さだけでは押し切れません。このコース条件も実績馬の好走を後押ししています。これは前走クラス別成績にも顕著に表れており、特に近1年のJRA・GⅠで3着以内の実績がある馬の成績は素晴らしいです。
<前走クラス別成績(過去10年)>
2勝クラス【0-0-0-2】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/単回収率0%/複回収率0%
3勝クラス【0-0-0-6】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/単回収率0%/複回収率0%
OP/L【0-0-0-10】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/単回収率0%/複回収率0%
GⅢ【3-1-3-51】勝率5.2%/連対率6.9%/複勝率12.1%/単回収率83%/複回収率52%
GⅡ【1-1-0-7】勝率11.1%/連対率22.2%/複勝率22.2%/単回収率52%/複回収率108%
GⅠ【5-7-6-26】勝率11.4%/連対率27.3%/複勝率40.9%/単回収率47%/複回収率97%
海外【1-1-1-12】勝率6.7%/連対率13.3%/複勝率20.0%/単回収率34%/複回収率36%
<近1年のJRA・GⅠで3着内実績のある馬の前走クラス別成績(過去10年)>
GⅡ【1-0-0-0】勝率100%/連対率100%/複勝率100%/単回収率470%/複回収率170%
GⅠ【4-5-4-8】勝率19.0%/連対率42.9%/複勝率61.9%/単回収率78%/複回収率130%
海外【0-1-1-6】勝率0%/連対率12.5%/複勝率25.0%/単回収率0%/複回収率42%
血統面では非サンデーサイレンス系に注目。前述の通り、地力上位馬が走りやすいレースのため血統面からの適性評価の重要度は高くありませんが、洋芝かつ直線距離の短いコースではあるため、軽い芝の瞬発力勝負に強いサンデーサイレンス系は相対的にパフォーマンスを落とす傾向にあります。
また父系に限らず、3代内にサンデーサイレンスの血を持たない実績馬の好走率も非常に高く、昨年はサンデーサイレンスの血を持たないトップナイフが9番人気2着と穴を開けています。非主流血統の実績馬が札幌記念で狙うべき馬の理想像といえそうです。
<父系別成績(過去10年)>
サンデー系【5-4-4-65】勝率6.4%/連対率11.5%/複勝率16.7%/単回収率54%/複回収率32%
非サンデー系【5-6-6-49】勝率7.6%/連対率16.7%/複勝率25.8%/単回収率55%/複回収率95%
有力馬の血統解説
・プログノーシス
昨年は4馬身差で圧勝し、次走の天皇賞(秋)でも3着を確保。GⅠ勝ちはないものの、ここ1年の実績はメンバー中最上位の評価で間違いないでしょう。ディープインパクト産駒でありながらイギリス産の母ヴェルダの影響が強く、兄には2013年チェヴァリーパークS勝ち馬Vordaなどがいる血統背景。金鯱賞→クイーンエリザベスⅡ世C→札幌記念というローテーションは昨年と同じで、今年も中心の一頭です。
・シャフリヤール
母ドバイマジェスティは2010年BCフィリー&メアスプリントを制した短距離馬で、本馬の全兄には2017年皐月賞と2019年大阪杯を制したアルアインがいます。馬体重500kg超のアルアインに対して、本馬は460kg前後の小柄な馬体。これは、父ディープインパクトの影響が強いことを表し、芝中長距離で脚をタメた時の瞬発力は現役屈指のモノを持っています。その分、非主流血統向きの札幌記念では相対的にパフォーマンスを落とす可能性が高いでしょう。
・ジオグリフ
母アロマティコは2012年秋華賞と2013年エリザベス女王杯の3着馬。父はStorm Cat系のドレフォンで、非サンデーサイレンス系の両親の仔らしく2022年皐月賞など小回りコースで高いパフォーマンスを発揮しています。前々走の大阪杯では0.3秒差5着、前走の安田記念では0.5秒差6着などGⅠでも差のない競馬を見せており、今回も上位争いに加わってくるでしょう。
ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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