【札幌記念】ソダシら連覇狙った馬は8連敗中 プログノーシス連覇の可能性を探る

高橋楓

札幌記念のディープインパクト産駒の成績(2014年以降),ⒸSPAIA

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GⅡ昇格後、連覇はエアグルーヴのみ

1998年の芝中距離路線の主役といえばサイレンススズカだった。宝塚記念で見事にGⅠ初制覇を達成。そのレースで3着だったのがエアグルーヴである。同馬がその次走に出走したのが連覇を狙った札幌記念だった。当日は単勝1.3倍の圧倒的人気にしっかりと応え、3馬身差で圧勝した。

それ以降、札幌記念を連覇した馬はまだいない。今年はプログノーシスがその偉業に挑む。そこで今回はGⅡ昇格後に「連覇に挑戦」した馬たちに注目して、過去のレースを振り返っていく。


ディープインパクト産駒サングレーザーは2着

GⅡ昇格後、連覇に挑戦したのはエアグルーヴも含めて9頭。その馬たちの連覇挑戦時の成績は下記の通りだ。

札幌記念 連覇挑戦時の成績,ⒸSPAIA


1998年 エアグルーヴ 1着
2001年 ダイワカーリアン 4着
2009年 タスカータソルテ 15着
2010年 ヤマニンキングリー 14着
2014年 トウケイヘイロー 11着
2018年 サクラアンプルール 6着
2019年 サングレーザー 2着
2022年 ソダシ 5着
2023年 ジャックドール 6着

成績は【1-1-0-7】となっている。エアグルーヴ以降で唯一連対したのが2019年のサングレーザー。レースは道中内々で脚をため、4コーナーを上手く立ち回り、先頭に並びかけ最後の直線へ。そのまま押し切るかと思われたがブラストワンピースに差し切られた。サングレーザーは今年連覇に挑戦するプログノーシスと同じディープインパクト産駒。ということで同産駒の札幌芝2000m成績を調べてみた。

ディープインパクト産駒 札幌芝2000m成績,ⒸSPAIA


2014年以降、ディープインパクト産駒は札幌芝2000m戦で23勝、勝率11.6%、連対率23.7%、複勝率31.8%を記録している。同期間の勝ち星ランキングでも1位だ。

1位 ディープインパクト産駒【23-24-16-135】勝率11.6%/連対率23.7%/複勝率31.8%
2位 ハービンジャー産駒【14-14-25-142】勝率7.2%/連対率14.4%/複勝率27.2%
3位 ハーツクライ産駒【13-12-9-132】勝率7.8%/連対率15.1%/複勝率20.5%

2位のハービンジャー産駒が14勝なので9勝差をつけ独走状態。洋芝も決して苦手ではないことが分かる。

またディープインパクト産駒は札幌記念で【4-3-1-14】勝率18.2%、連対率31.8%、複勝率36.4%で4頭(ハープスター、ディサイファ、サングレーザー、プログノーシス)の勝ち馬を輩出している。

3歳牝馬ソダシの挑戦を振り返る

札幌記念が近年で一番の盛り上がりを見せたのはソダシが出走した2021、2022年ではないだろうか。2021年はソダシだけでなく、QE2世Cを制して日本に帰ってきたオークス馬ラヴズオンリーユーや、有馬記念勝ち馬ブラストワンピース、マイルCS勝ちのあるペルシアンナイトなど、13頭中9頭が重賞勝ち馬という豪華メンバーだった。

レースはスタート後、ソダシがスルスルと2番手まで押し上げていった。ラヴズオンリーユーは外7、8番手を追走。残り800mを過ぎるとブラストワンピースが一気に追い上げ2番手につけた。ソダシは4コーナーを回ると一気に後続を突き放した。直線に入るとラヴズオンリーユーがペルシアンナイトと一緒に伸びてきたが3/4馬身届かなかった。

連覇を狙った2022年はGⅠ馬のパンサラッサ、グローリーヴェイズ、ユーバーレーベン、マカヒキ。後にGⅠを勝つジャックドール、ウインマリリンなどGⅠ並みのメンバーが出走していた。対するソダシは2走前にフェブラリーS3着、前走ヴィクトリアマイルを勝って参戦。

レースはパンサラッサが逃げる展開。それを見ながら終始2番手でレースを進めたジャックドールが最後の直線でパンサラッサをクビ差退け勝利した。連覇を狙ったソダシは道中5番手からレースを進めるも5着。前年から斤量プラス3kgも影響したのか最後の直線では伸びあぐねた。メンバーが揃う本レースでの連覇がいかに難しいかを改めて思い知らされる結果だった。


プログノーシスは連覇なるか

2022年の勝ち馬ジャックドールは昨年も参戦。積極的な競馬をしたがプログノーシスの6着に敗れた。そして今年はプログノーシスが連覇に挑む。同馬は前述のディープインパクト産駒でデータ的にもプラス材料は多い。また騎乗予定の川田将雅騎手は過去10年の本レースで【3-1-0-1】勝率60.0%と好相性だ。臨戦過程も前々走は金鯱賞1着、前走はQE2世C2着。近走の充実ぶりからすれば連覇の可能性は十分ある。今年こそエアグルーヴ以来の連覇達成なるか。注目したい。

《ライタープロフィール》
高橋楓
秋田県出身。サクラローレルの馬体の美しさに魅せられて競馬の世界に惹きこまれる。他に好きな馬はホクトベガ、サイレンススズカ。一口馬主を趣味とし、楽しさを伝える事にも注力している。競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレースの記事を中心に執筆している。

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