【七夕賞】キングマンボ系のためのレース!? ディープインパクト系と明暗クッキリの理由とは

逆瀬川龍之介

ディープインパクト系vsキングマンボ系,ⒸSPAIA

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二大勢力で明暗クッキリ

ここ何年も、芝の中距離戦線はディープインパクト系の天下であり、それをキングマンボ系が追うという構図が続いている。20年以降、JRA・芝1600m以上のGⅠを見るとディープインパクト系が24勝に対し、キングマンボ系は22勝だから、ほぼ五分。まさに二大勢力といえる。

しかしながら、主流から少し外れた条件の福島芝2000mでは少々事情が変わってくる。同じく20年以降、特別戦の成績を見ると、ディープインパクト系は【5-8-8-65】の勝率5.8%、複勝率24.4%とイマイチ。回収率も単勝が29%、複勝が60%だからかなり低い。一方のキングマンボ系は【10-12-12-81】の勝率8.7%、複勝率29.6%。延べ115頭も出走しながら、複勝回収率が100%を超えており優秀。明暗がクッキリと分かれている。

どちらかと言うと、ディープインパクト系には直線が長いコースで末脚を生かしたいタイプが多く、小回りは不向き。対照的にキングマンボ系はどんな条件にも柔軟に対応できる。このあたりが福島芝2000mでの成績に差が出ている理由ではないだろうか。

そしてディープインパクト系とキングマンボ系の差は重賞になるとグンと広がる。このコースで行われる重賞は七夕賞と福島記念の2つ。同じく20年以降の成績をチェックすると、ディープインパクト系は【1-0-0-20】。昨年の七夕賞を制したシルバーステート産駒セイウンハーデスが唯一の勝ち馬、そして唯一の馬券圏内の馬なのだ。着外20頭のなかには1番人気が2頭、2、3番人気が1頭ずつ含まれているのだがら、ちょっと手を出しづらい。

ではキングマンボ系はどうか。こちらは延べ44頭が挑み【4-5-6-29】の勝率9.1%、複勝率34.1%と優秀。何より凄いのは20年以降の計8鞍全てで馬券に絡んでいること。とりわけ七夕賞は相性が良く、21、22年に馬券圏内を独占。昨年も5頭が出走し、9番人気のククナが2着、13番人気のホウオウエミーズが3着だった。ここまで来ると「キングマンボ系のための七夕賞」と言っても過言ではないだろう。

今年の七夕賞にはキングマンボ系が3頭、ディープインパクト系が4頭、それぞれ登録しているが、狙うべきはもちろん前者だ。アラタ、キングズパレス、ダンテスヴューの3頭は、いずれもキングカメハメハ産駒。3頭の馬連とワイドのボックスは黙って買おう。3頭の中なら21、22年の福島記念で3着の実績があるアラタは信頼度が高い。名手・横山典弘騎手に導かれ、悲願の重賞初制覇となることを期待したい。

《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GⅠのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。

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