【七夕賞】小回り巧者リフレーミングに初重賞Vの機運 ペース落ち着けばフェーングロッテンの一発にも警戒
貴シンジ
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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
今回は7月7日(日)福島競馬場で行われる七夕賞について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった16頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。
重要データ:前走敗戦からの巻き返しに注意
七夕賞はハンデ戦ということもあり荒れやすいレースの一つに数えられる。レース全体の単勝回収率は111%、複勝回収率は117%と全頭の単複を買ってもプラス収支になる珍しいレースだ。
データにおいても同じような傾向が出ていて前走で着順が良くない馬の巻き返しが目立つ。前走で1~3着だった馬の成績は【2-3-6-27】で単勝回収率22%、複勝回収率97%。前走で好走したことによって七夕賞で重たいハンデをもらうことがあるのも要因の一つだろう。
対して前走4着以下に負けている馬は【8-7-4-95】で単勝回収率141%、複勝回収率124%と前走好走馬を大きく上回る数字が出ている。仮に前走で負けていても、平坦小回りの福島コースに替わって巻き返してくるタイプは多いので注意が必要だ。
今回上位人気が予想されるキングズパレスは新潟大賞典2着から、レッドラディエンスはメトロポリタンS2着からの臨戦で割引データに該当しているので注意が必要だ。
【前走1~3着だった出走予定馬】
・キングズパレス
・セイウンプラチナ
・ボーンディスウェイ
・レッドラディエンス
前走の内容:新潟大賞典
新潟大賞典の日の新潟競馬場はやや荒れた馬場状態。とはいえ広い競馬場だけに極端な内外の差は感じられない状況だった。レースは前半5Fが61.6秒、後半5Fが58.5秒と後傾3.1秒のスローペース。ラスト800mの地点からペースは上がっているので極端に前有利といった展開ではなかったが逃げたヤマニンサルバムが楽なペースだったのは間違いないだろう。5着だったリフレーミングは14番手追走とほぼ最後方からの競馬。上がり3位の33.7秒を使ったが届かずの5着だった。
追込タイプの馬だが直線の長い東京や新潟でスパッと切れるような馬ではなく、小回りコースで機動力の高さを生かして追い込むのが得意なタイプ。福島に舞台が移るのは本馬にとって大きな上積みだろう。2着のキングズパレスも小回り巧者。決して得意ではない大箱コースで2着しているのは地力の高さからと考えている。前走割引データには該当しているがここも注意が必要だ。
血統解説:フェーングロッテン、リフレーミング
・フェーングロッテン
日本での牝祖は3代母シンコウエンジェル。この牝系は複数の枝から活躍馬を輩出していて、現代日本競馬においても重要なファミリーの一つと言えるだろう。中でも本馬の母ピクシーホロウの活躍は突出していて、競走馬としては3勝に終わったが、繁殖としては本馬の半兄で21年スプリンターズS勝ちのピクシーナイト(父モーリス)を輩出。本馬は父がスタミナ豊富なブラックタイドに替わった分、距離がもつ中距離タイプに出たが、母が逃げを信条としたスピードタイプだったことから脚質は先行して粘り切るタイプになった。
近走は持ち前の先行力が影をひそめてしまっているが、前走の小倉大賞典では久しぶりに番手を確保できて5着と健闘。ラジオNIKKEI賞勝ちの良績がある福島コースは合う。今回はバビット、セイウンプラチナの2頭がいるのでハナを叩くのは難しいかもしれないが、前々で競馬することができれば好走するチャンスはあるだろう。
・リフレーミング
日本での牝祖は3代母スウィートインディ。近親に目立った活躍馬は本馬くらいしかおらず、そこまで活力のある牝系ではない。母系の持つ血に目をやると母父がバトルプラン、祖母の父がタバスコキャット、3代母の父がA.P. Indyと、機動力やスピード性能の高い北米血脈で埋め尽くされている。加えて父キングヘイローは母系を引き出しやすく、機動力の高さを産駒に伝えることも得意だ。
本馬自身は後ろから競馬を組み立てるタイプだが2走前の福島民報杯のように本コースは得意で、大箱コースよりもむしろ小回りコースの方が適性が高い。今回はレースを引っ張ってくれそうな馬が複数頭いて、それなりに上がりのかかる展開になりそうだから、キングズパレスを逆転する可能性もあるだろう。
Cアナライズではリフレーミングを推奨
今回はリフレーミングを推奨する。前走は展開や地力の差でキングズパレスに負けてしまったが、舞台が福島に替わるのであれば逆転のチャンスは十分ある。速い上がりが使えるタイプではないのでできるだけペースは流れてほしい。逆にペースが落ち着くなら台頭しそうなのがフェーングロッテン。近走は得意の形を作れず後方のままの競馬で敗戦していたが、前走のように前々でマイペースの形を作れば好走のチャンスがあるはずだ。
【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
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