【マイラーズC】能力値1位ソウルラッシュが本命候補 穴は内枠の先行馬ビーアストニッシド
山崎エリカ
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内と前有利が基本
マイラーズCが行われる京都芝1600mはバックストレッチが712mと長いため、レースが緩みなく流れやすい舞台だが、それでも開幕週の超高速馬場で行われるこのレースはスローペースが発生しやすく内と前有利が基本だ。
昨年のシュネルマイスターのような追い込みは、トップスピードを長く維持できる中距離色の強い馬でないと厳しい。11番人気のシャイニーロックが逃げて最短距離を立ち回り、4着に好走しているのがこのレースの本質である。今年も差し勢が能力値上位にランクインしているが、一発があるのは内を立ち回れる先行馬だろう。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 ソウルラッシュ】
阪神で行われた一昨年のマイラーズCの勝ち馬。同レースでは13番枠からやや出遅れ、外から被されてやや窮屈になり、位置が下がってしまった。道中は後方3番手。3~4角で後方中目を通って4角出口で外に誘導され、ラスト1Fで前の3頭をかわして半馬身差で勝利した。このレースは阪神開催22日目の稍重で時計が掛かる中、ベステンダンクがペースを引き上げたことで、やや展開に恵まれた面がある。
前走のGⅠマイルCSでも2着。ここでは1番枠から五分のスタートを切って、すっと下げて中団中目を追走。道中で脚を温存し、3~4角では包まれて進路がない状態だったが、直線序盤で追い出されると2列目の間を割って一気に先頭に立った。ラスト1Fで外からナミュールに差されたが、ソウルラッシュも直線序盤で4列目から一気に先頭に立って加速しており、進化を感じさせる内容だった。
ここでは一昨年のマイラーズCと同等の自己最高指数タイを記録している。前走の香港マイルは余力がなく4着に敗れているが、それでも一昨年のマイルCSの覇者セリフォスを完封している。
超高速馬場で行われた昨年のマイラーズCでもクビ+クビ差の3着に善戦しているように舞台の適性もあって、ここでは能力値1位。開幕週で内と前が有利な状況下で14番枠と不利な枠に入ったが、昨年も13番枠から好位の中目とロスを最小限に立ち回って善戦していることから、外枠でもやれると見る。今回の本命候補だ。
【能力値2位 セリフォス】
一昨年秋のマイルCSの勝ち馬。この時のマイルCSはジャスティンカフェやシュネルマイスターなど、最後の直線で馬場の良い中目を狙いたい中団馬、後方馬が3~4角から直線序盤にかけて包まれ、能力を出し切れなかった。セリフォスも10番枠からやや出遅れ、道中も位置を下げるなど決してスムーズなレースではなかったが、4角出口で外を選択したのが結果的に正解だった。ラスト1Fで前を捉えて、最後は1馬身1/4差で完勝した。
昨年の安田記念では4番枠から五分のスタートを切ると、やや促して3列目の内でレースを進めた。道中はソダシやジャックドールを見ながら進めていたが、やや掛かり気味。直線ではジャックドールを捉えたが外からソングラインに差されて1馬身1/4差の2着だった。
セリフォスは一昨年のマイルCS時のように、末脚を生かしてこそだが、4番枠だったこともあって前でレースの流れに乗り過ぎたために末脚が不発。ソングラインのように外枠から出て、直線は外から一気の競馬ならば、また違う結果になっていた可能性は十分ある。
前走の香港マイルは3~4角で後方馬群の中目で包まれて仕掛けが遅れたことは確かだが、ラスト1Fでも伸び切れずの7着敗退。物足りなさを感じさせる内容だったが、今回はそこから立て直されての一戦となる。内の3番枠で、昨年の安田記念時のように好位の内でレースの流れに乗る可能性が高く、開幕週のアドバンテージもある。相手関係を考えるとさすがに軽視はできない。
【能力値3位 コレペティトール】
今回と同舞台の京都金杯で重賞を初制覇した馬。同レースは2番枠から五分のスタートを決め、中団最内に上手く収めた。3~4角で最短距離を通り、4角出口で外に誘導するダノンタッチダウンに対して、最内から直線へ向いた。序盤でしぶとく伸びて3列目に上がり、ラスト1Fで前のセッションを内からかわして半馬身差で勝利した。
この時は京都の開幕週で極端に内有利の馬場状態。京都はコースを改修したばかりで路盤が固まっていないため、多少でも雨の影響などがあると時計が掛かる傾向があった。当日も開幕週としては時計が掛かっていた。その上でドルチェモアがぶっ飛ばし、前後半45秒3-48秒5とかなりのハイペース。つまり、最内をロスなく立ち回って差し切ったコレペティトールは完璧に立ち回っての勝利だったということになる。
今回も京都の開幕週で雨予報もあるが、10番枠。鞍上は最内、最短が身上の岩田康誠騎手だけに、この枠でも内目に捻じ込んでくる可能性があるが、前走のような最短距離での競馬は難しい。また、スローペースの上がりの競馬となった3走前の秋色Sでは前との差が詰められずに4着に敗れたように、本馬はそこまでトップスピードが速くない。ペースが上がり切らなかった場合には包まれて仕掛けが遅れてしまう可能性もあり、今回は狙いにくい。
【能力値4位 トランキリテ】
3勝クラスで足踏みしていたが、前々走で京都芝1600m戦・石清水Sを勝利すると、前走のリステッド競走・洛陽Sに出走した。前走は大外18番枠からやや出遅れ。そこから促していたが、進みが悪いので思い切って最後方まで下げた。道中も動かず、4角出口では外に誘導。直線序盤は後方2列目だったが、そこから一気に中団まで上がり、ラスト1Fで前のドゥアイズとの差をしっかり詰めて半馬身差の2着でゴールした。
前走は後続を引き離して、前へ行った2頭が揃って大敗しているように、前後半4F45秒5-47秒1の緩みない流れ。最序盤で最後方まで下げて、最後の直線に懸けたトランキリテは展開に恵まれた面がある。しかし、本馬がここで記録した上がり3F33秒4はこの日の芝では最も速いタイムだった。
3走前の中山芝1600mのファイナルSでも、終始好位直後の外々を回るロスの大きい競馬でボルザコフスキーに完敗したように、前半で良い位置を楽に取れない点がネック。突き詰めると距離が短いのだが、芝1600mばかりを使われたことで3勝クラスでなかなか結果を残せなかった。しかし、近2走は中距離色の強い京都芝1600mを使われ、レースが緩みなく流れたことが結果に繋がった。今回も京都芝1600mが舞台。開幕週となると課題もあるが、展開に恵まれればチャンスはある。
【能力値4位 ノースザワールド】
前々走の東風S2着馬。このレースは大外14番枠から出遅れたが、そこから挽回して中団の外目を追走した。3~4角でペースダウンすると、外々から好位のディオの後ろまで押し上げ、4角出口で同馬の外6番手に誘導。直線序盤の伸びは地味で途中まで6番手だったが、ラスト1Fで前4頭をかわし、ディオに1馬身半差まで詰め寄った。
前々走は前日の芝が重馬場からの開催で、当日も7Rまでが稍重。時計が掛かる外差し有利の馬場で、前後半4F45秒9-47秒5のかなりのハイペース。馬場と展開に恵まれての2着ではあったが、終始外々を回るロスの大きい競馬ながら、最後までしぶとい伸びを見せている。3走前でダートを使ってタフな流れを経験したことがスタミナ強化に繋がったのだろう。
重馬場だった前走の六甲Sでは休養明け好走の反動で6着に敗れているが、一昨年11月のノベンバーS(東京芝1800m)で逃げて、後の小倉大賞典覇者エピファニーと半馬身差の2着に粘ったことや、昨年3月に重馬場で行われたスピカSで3勝クラスを卒業したことから、時計の掛かる馬場や上がりの掛かる展開に持ち込んでこその馬だろう。今回は走り頃の休養明け3戦目だが、開幕週の京都で時計の速い決着となると不安はある。
穴馬はこの時期に調子を上げるビーアストニッシド
ビーアストニッシドは一昨年のスプリングSを逃げ切り勝ちした馬。昨年のマイラーズCで2列目の外を追走して0.3秒差の6着、5月に行われたリステッド競走の安土城Sでも中団の外々を回って2着に好走しているように、この時期に好成績を残していることが多い。
本馬はその後が不振だったが、今年初戦にダ1400mのコーラルSを使われたことで行きっぷりが復活。前走の六甲Sは重馬場でジャスティンスカイと競り合いオーバーペースとなり、結果には繋がらなかったが、スピードは見せた。今回は京都開幕週で内目の枠。前が有利な展開になれば一発はある。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ソウルラッシュの前々走指数「-23」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.3秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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