【スプリングS】本命候補はペッレグリーニ、昨年のベラジオオペラに続けるか 底を見せていないシックスペンスも要注意
山崎エリカ
ⒸSPAIA
ペースが上がりやすく差し馬有利
スプリングSは先々週の弥生賞と同様に皐月賞トライアルだが、弥生賞は実績馬が集うのに対して、こちらは上がり馬が集う舞台。今年も重賞ウィナー不在のメンバー構成となった。
弥生賞は競走馬に無理をさせずに不足を補うトライアルらしくペースが上がらないことが多いが、スプリングSは本番への出走権が欲しい馬たちが集うため、極端ではないが各馬の早仕掛けからペースが上がりやすくなっている。
また、スプリングS当日は2回中山1日目からのAコース使用最終週で行われるため馬場の内側が悪化し、三分どころから中央寄りを選ぶ差し馬が活躍している。つまり、全体的な傾向としては差し馬有利。実際に過去10年では逃げ馬が1勝、先行馬が1勝に対して中団が4勝、差し馬も4勝している。おそらく今年も例年の傾向を踏襲するだろう。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 ウォーターリヒト】
シンザン記念で17番人気を跳ね返して3着に善戦すると、続くきさらぎ賞でも10番人気ながら勝ち馬ビザンチンドリームとハナ差の2着に好走。近2走とも波乱の立役者となった。
前走のきさらぎ賞では3番枠から出遅れ、促して外差し有利の馬場を意識して外へ誘導。道中はやや団子状態の中団後方を外目追走する。3~4角では中団中目のスペースを拾って一気に内に切り込み、最内から直線へ。すっと反応してラスト1Fでは先頭のシヴァースと半馬身差の2番手。そこから同馬を捉えたが、ビザンチンドリームにズドンと差し切られて2着に惜敗した。
前走は各馬が内を空けて走っていたのだが、3~4角でもペースが上がってこない状況を見て空いた内に誘導し、4角をロスなく立ち回ったことが功を奏した。鞍上の幸騎手は芝ダート問わず、内が空くような馬場では4角で早めに動いての進路取りが上手い。
また、前々走のシンザン記念もかなり時計が掛かる馬場で、前後半4F46秒4-48秒1というかなりのハイペースを14番枠から出遅れ。促されても下がり、3角では下げ切って最後方、4角でも仕掛けを待ってから出口で外に。前に行けずに後方で脚を溜めたことで展開に恵まれた3着であった。
前走では3~4角から仕掛けて勝ち負けに持ち込んだ辺りに成長を感じたが、スプリングSは過去10年で追込馬の馬券内はあっても優勝はゼロ。あくまでも相手候補の1頭という評価だ。
【能力値2位 コスモブッドレア】
京成杯の3着馬。その前走は10番枠から五分のスタートだったが押して先行。逃げたアスクナイスショーの外2番手を追走した。道中ではペースが上がらず、息を入れてそのままの隊列で3角へ。4角で仕掛けてアスクナイスショーに外から並びかけ、直線序盤では先頭列。ラスト1Fで先頭に立ったところで、外からダノンデサイルとアーバンシックに差されて3着となった。
前走は3~4角でもペースが上がらず、前有利の展開。今回も逃げ、先行勢が手薄で前に行ける組み合わせではあるが、さすがにスローペースだったとしても3~4角からペースは上がるだろう。前に行けることは強さのひとつではあるが、ここはやや苦しいと見る。
【能力値3位 ジュンゴールド】
デビュー2戦目の紫菊賞を圧勝した馬。同レースは3番枠からやや出遅れ、コントロールして5頭立ての4番手を追走していたが、ペースが上がらなかったので向正面で一気に先頭に立って逃げる競馬。3~4角ではじわっと加速して半馬身差のリードで直線へ。そこから後続を引き離してラスト1Fでは3馬身差。そこからさらに差を広げ、3馬身半差で完勝した。
しかし、前走の京成杯では12着大敗。15番枠からやや出遅れ、内の馬の出方をうかがいながら中団の外目で折り合いに専念。道中でペースが落ちても動かず、3~4角で前のダノンデサイルが仕掛けても我慢。4角で置かれ、そのまま下がっての敗退となった。
前走は前有利の展開。折り合いに専念し過ぎたことが敗因のひとつであるが、ジュンゴールドをマークする形で乗っていたアーバンシックが3~4角で焦って中目に誘導し、一気に仕掛けて2着に入ったことを考えると明確に物足りない内容だった。
ただし、今回はひと叩きされて体調面の良化が見込める。出遅れ癖があるのでそこまで前には行けないだろうが、前々走のように前を意識して動いて行ければ巻き返してくると見る。対抗評価だ。
【能力値4位 ペッレグリーニ】
後に重賞での活躍が目立つセントポーリア賞の勝ち馬。その前走セントポーリア賞では、7番枠から出遅れて後方となったが、そこからじわっと挽回して2列目の外を追走。そのまま逃げ馬の外2番手まで上がって折り合う。3~4角では仕掛けを待って半馬身差で直線へ。序盤で追い出されたが伸び脚が地味で、最内からポッドテオに抜け出されてしまう。それでも、そこから食らいついてラスト1Fでは同馬と半馬身差。残り50m付近で同馬を競り落としクビ差で勝利した。
前走は前後半4F49秒9-46秒2というかなりのスローペースだったが、出遅れを挽回して勝ちに行った内容は褒められる。昨年同レースを勝ってスプリングSも優勝したベラジオオペラをはじめ、のちに重賞で活躍する過去の勝ち馬たちと比較すると指数は高くないが、今年はスプリングSのメンバーもそこまで手強くない。また、これまでのキャリア5戦は上昇一途でさらなる成長も見込めるだけに、本命候補としたい。
【能力値5位 チャンネルトンネル】
デビュー2戦目のジュニアCで2着と好走した馬。同レースでは4番枠からまずまずのスタートだったが、積極的に先行して逃げ馬キャプテンシーの直後2番手を追走。最終的には前にスペースを作って3列目の最内から3角へ。3~4角でもキャプテンシーの2馬身後ろで進め、4角で仕掛ける。しかし、ここで動けず2馬身半差まで広げられて直線へ。序盤でさらに引き離されてラスト1Fでは3馬身半差の2番手。ラスト1Fで2馬身差まで詰めたが2着に完敗した。
ジュニアCはキャプテンシーには完敗だったが、3着馬ポッドテオには1馬身半差。この馬は次走のセントポーリア賞でペッレグリーニとクビ差だから、ここでも通用する能力は十分にある。
前走の1勝クラスでは中団の中目からの追走となったが、道中で包まれて3~4角では大渋滞。最後の直線でも進路を作れずに仕掛けを待ち、ラスト2Fで追い出されるが捌けず、さらに下がって後方に。そこから追われて中目のスペースを上がったが、3着とハナ差の4着までだった。前走がわかりやすい不利だけに今回は穴人気するだろうが、警戒は必要だ。
穴は後半型の競馬で底を見せていないシックスペンス
シックスペンスは中山芝1600mの新馬戦で2列目最内から最後の直線でラチ沿いを抜け出し、ラスト2F11秒9-10秒7で完勝した素質馬。ラスト2Fの数字を鵜呑みにはできないが、映像でもラスト1Fで加速感があった。今回はC.ルメール騎手への手替わりもあって人気サイドに押し出されているが、指数上は穴馬の立場である。
休養明けの前走ひいらぎ賞では、馬体重12kg増と成長した姿を見せた。レースでは6番枠からまずまずのスタートを切って、そこから押して先行。逃げ馬の外2番手を追走した。道中も折り合って2番手を追走し、3角では逃げ馬と1馬身差。3~4角ではそこまでペースは落ちなかったが、前にプレッシャーをかけ、4角では楽な手応えで逃げ馬に並びかけて直線へ。序盤で追い出されるとラスト1Fでは半馬身差で先頭。ラスト1Fでそのまま突き抜け、外から迫るポッドテオに1馬身半差で勝利した。
ひいらぎ賞は高指数決着となる年も多々あるが、今年は平凡な指数。しかし、2着のポッドテオはその後もジュニアCで3着、セントポーリア賞ではペッレグリーニとクビ差の2着に善戦していることから、シックスペンスもここで通用する能力は十分にある。
また、前走は早仕掛けでの勝利でラスト1Fでは失速しているが、新馬戦時のような後半型の競馬では底を見せていない。要注意の1頭である。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ウォーターリヒトの前走指数「-12」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.2秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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