【スプリングS】「中山マイル1:35.0以下で連対」なら複勝回収率145% データで導く穴馬候補3頭
鈴木ユウヤ
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データで見る「穴候補3頭」
今週末の中山メインはスプリングステークス。皐月賞トライアルでありながら、本番まで中3週という間隔が嫌われてか、近年は徐々に存在感が低下しつつある。ここを足掛かりに皐月賞で連対したのは近10年でリアルスティールとエポカドーロのたった2頭だけだ。
そんな状況を反映するように今年も大混戦模様。2戦2勝のシックスペンスやきさらぎ賞2着のウォーターリヒトが中心となりそうだが、およそ上位人気安泰とは言い難い。今回も様々な切り口のデータを駆使し、3頭の穴候補を導き出した。
「1勝クラスを勝った時の着差」で好走馬が分かる? ジュンゴールド
まず1頭目はジュンゴールド。デビュー2連勝で京成杯に出走して1番人気に推されたものの、まさかの12着大敗。今回が仕切り直しの一戦となる。
近年のスプリングSは「2歳GⅠで活躍した大物が満を持してココで始動」というパターンが少なくなった。なので1勝クラスでいい勝ち方をした馬ならあっさり通用するレースとなっている。
そんな前提を念頭に、過去10年のスプリングS出走馬について「1勝クラスを勝った時の着差」ごとに成績を出す。
1勝クラス勝ちが、タイム差なしだと【1-0-1-9】勝率9.1%、複勝率18.2%、0.1~0.2秒なら【3-1-2-21】勝率11.1%、複勝率22.2%、0.3~0.4秒なら【1-1-0-5】勝率14.3%、複勝率28.6%、そして0.5秒以上なら【1-3-1-0】勝率20.0%、複勝率100%。非常にシンプルだが、着差と好走率がキレイに比例する。そして、1勝クラスを0.5秒以上離して勝った馬は5頭パーフェクトで馬券に絡んでいた。
今年は紫菊賞を0.6秒差で勝ったジュンゴールドが唯一の該当馬だ。その紫菊賞は5頭立てを楽逃げしたとはいえ、後半1000m57.8秒は素晴らしい。現3歳世代の1600m以上戦で、後半1000m58秒を切ったレースの勝ち馬はボンドガール、チェルヴィニア、タガノエルピーダ、エコロブルーム、クイーンズウォークなど強豪ばかりだ。
前走は初の関東遠征で、序盤折り合いを欠いた影響もあった。まだ見限れない。二度目の中山で慣れも見込める今回、距離短縮でリズムよく走れれば一気の反撃があっていい。
中山マイル連対実績と走破タイムにヒント チャンネルトンネル
2頭目はチャンネルトンネルを取り上げる。東京芝1400mの新馬戦で鋭い追い込みを決めると、2戦目はリステッドのジュニアCに出走し2着。自己条件4着を挟んでここへ向かってきた。
スプリングSは同じ中山芝1800mでの実績……ではなく、「中山マイル実績」がモノを言う。過去10年の当レースで「中山マイルで連対歴あり」の馬は【1-3-2-9】複勝率40.0%。ちなみに「中山芝1800mで連対歴あり」だと【1-0-2-14】複勝率17.6%と振るわない。興味深い傾向だ。
理由は仮説の域を出ないが、
(1)そもそも番組的に、中山芝1800mより中山芝1600mにハイレベル戦が多い
(2)芝1800mの条件戦は少頭数のスローペースが多く、その流れが得意な馬はむしろスプリングSの速いペースに苦労する
このあたりだろうか。
また、その中山マイルでの連対歴も、タイムが一定水準を満たすと信頼度がアップする。具体的には「1:35.0以下」での連対歴があれば【1-3-2-3】複勝率66.7%、複回収率145%と馬券的にも狙いが立つ。
上位人気想定のシックスペンスは中山マイルで2勝しているがどちらも時計が遅く、その点が懸念事項。対するチャンネルトンネルはジュニアCが1:32.9だから文句なしだ。
前走東京での1勝クラスは4着に敗れたが、レース映像を観れば一目瞭然、スローペースの中団イン追走から直線は前が詰まってほとんど脚を使えなかった。まったくもって力負けではない。あの敗戦で多少なりともオッズ妙味が出るようなら嬉しい。
中山芝1800mの2勝クラス以上はとにかくキズナ! スティンガーグラス
最後はスティンガーグラスをチョイス。半姉にダノンファンタジーがいる良血馬で、1月に新馬勝ち、2戦目で重賞挑戦となる。
中山芝1800mはとにかくキズナ産駒が強い。先週の中山牝馬Sも同産駒のコンクシェルが優勝した。産駒デビュー以来の当コース成績は【7-9-7-46】単回収率184%、複回収率115%。2勝クラス以上ではさらに成績が上がり【4-4-4-15】勝率14.8%、複勝率44.4%、単回収率385%、複回収率218%だ。
キズナの仔(特に牡馬)は代表産駒のディープボンドに象徴される通り、瞬発力を問われない粘り合いで真価を発揮する馬が多い。向正面から激しい応酬になりやすいこのコースは特性にマッチするのだろう。
スティンガーグラスの新馬戦は中団のインを追走し、勝負どころから徐々に進出してきっちり差し切る内容。2着とは0.1秒差に留まったが、3着以下は0.8秒離していた。ラスト2Fは11.8-11.7。絶対値としては速くないが加速ラップを踏んでおり、余力があったと推察される。相手が一気に強くなるここでも、血統的な相性のよさを生かして上位台頭のチャンスはあるはずだ。
<ライタープロフィール>
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、X(Twitter)やブログで発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。
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