【阪神大賞典】長距離レースも速い上がりが好走条件 京大競馬研の本命はディープボンド
京都大学競馬研究会
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好走には速い上がりが必須
3月17日(日)にGⅡ・阪神大賞典が行われる。2021、2022年覇者ディープボンドや、日経新春杯の勝ち馬ブローザホーン、ダイヤモンドSを制したテーオーロイヤルなど長距離重賞で好走している有力馬が多数集まり、非常に難解な一戦となった。
本レースが行われる阪神芝3000mのコース形態とそれに起因するレース質、そして想定される展開を踏まえて予想する。
まずは阪神芝3000mのコース形態を見る。スタート地点は2コーナーの出口付近で初角まで約350m。内回りコースのみを使用しコーナーを6回通過、約1周半回った後、勾配1.8mの急坂を持つ約360mの最終直線を一気に駆け抜ける。
初角までの距離はそれなりにあるが、3000mという距離に対して構える騎手心理も相まって前半のペースは落ち着きやすい。向こう正面まで淡々と流れた後、2周目の3コーナー過ぎから一気にペースアップ。前半のゆったりとした流れから打って変わり、急坂を登りきるまで激しいロングスパート戦になる。
好走するためには6回のコーナーをこなす器用さ、この距離で2回の急坂を登りきるタフさなどの適性が求められる。そしてなにより激しいロングスパート戦を制するために長く良い脚が使えること、「上がりの速さ」が重要になっている。
これは数字からも明らかだ。阪神大賞典の直近10回で、上がり3F3位以内の馬は【10-9-5-6】勝率33.3%、連対率63.3%、複勝率80.0%、単勝回収率119%、複勝回収率268%。該当馬30頭中、掲示板内が29頭でとにかく優秀だ。10回中9回で上がり3F1位の馬が勝利。残りの1回も上がり3F3位(1位タイと0.1秒差)の馬が勝利している。脚質問わず、速い上がりを使えることが本レースで好走するための必須条件と言いきっていい。
続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバーの多くが中~長距離馬で、距離延長の馬が多い。しかし先行馬はジャンカズマ、ディアスティマ、サヴォーナのみで、出走馬15頭に対して非常に少ない。ジャンカズマ、ディアスティマは徹底先行タイプの馬であるが、前述の騎手心理も相まってスローペースからのロングスパート戦という、例年の展開をなぞることは確実だろう。
この展開で重要になるのは位置取りだ。直近10回の勝ち馬は全て4角5番手以内から勝利している。もちろん、ゴールドシップやシュヴァルグランら上がりの速さで突き抜けていた馬もいる。しかし、そうでないケースの勝ち馬は、当然ながら2~3番手の好位から位置取りの差を生かしていた。上がりの速さを持つことは大前提として、道中前目の位置から運べる、もしくは高い機動力で早めにマクっていける馬が展開面では恵まれると考える。
今回のメンバーでは実績断然
◎ディープボンド
近2走はメンバーレベルが高すぎる中での敗戦で度外視可能。3走前の京都大賞典では内前有利な展開を後方から大外を回し、後の京都記念覇者プラダリア、チャレンジCとAJCCの2着馬ボッケリーニに0.1秒差の3着だった。4走前の宝塚記念は超差し有利の展開を、4角6番手から粘ってイクイノックスに0.4秒差の5着。5走前の天皇賞(春)は前が総崩れの展開を早め先頭から粘り、ジャスティンパレスに0.4秒差の2着。このように実績は断然だ。
前目から速い上がりで2度本レースを制しているように、6回のコーナーがあるこのコースは本馬の器用さが生きる絶好の舞台。能力の衰えも全く感じられない。本レースにおける年齢データ(7歳以上の複勝率0%)等で嫌われると想定される今回はオッズ妙味ありとみて本命を打つ。
◯サヴォーナ
前走日経新春杯はやや内有利な馬場で内をロスなく立ち回った。それを加味しても、出遅れ気味のスタートから好位につけて前半5F58.3秒の超ハイペースを4番手から進め、先行勢の脚色が鈍り始めた4角前で後方勢に1度は先行されながら、上がり2位の脚を使って0.1秒差2着は好内容だった。2走前の菊花賞でも前残りの展開に恵まれたとは言え、外々を回し僅差の5着に粘りこんだ。長距離適性はある。前走より楽なペースが想定される今回は、前目から持ち前の速い上がりを使っての好走を期待して対抗にする。
▲ディアスティマ
日経新春杯は前半3F33.7秒という超ハイペースで逃げて大敗。2走前アルゼンチン共和国杯はそもそも逃げられず、終始折り合いを欠いての敗戦。この2戦は度外視可能だ。3走前の目黒記念ではヒートオンビート、ゼッフィーロ、プラダリアら相手に逃げて粘りきり2着。自分の競馬に持ち込んだときの力は今回のメンバーでも随一だ。先行馬が手薄な今回のメンバー構成なら楽に先行でき、展開的に恵まれる。近2走の大敗でかなりの人気薄が想定される今回はオッズ妙味ありとみて3番手評価とする。
△ブローザホーン
前走日経新春杯はハイペースに恵まれた一方、やや内有利な馬場で終始外を回りながら上がりは同2位の馬に0.5秒差をつける最速をマークして差しきり。着差以上に強い内容だった。ただ今回は前目から立ち回る馬が恵まれる想定で脚質が合わず。戦績的に過剰人気が想定される今回は4番手評価とする。
×テーオーロイヤル
近2走の長距離成績は優秀。順当に走ったが長距離戦特有の手薄なメンバーに恵まれたことも間違いない。メンバーレベルが上がる今回は押さえまで。
×シルヴァーソニック
前走天皇賞(春)はハイペースで前総崩れの展開に恵まれた中での好走で、2着ディープボンドとは着差以上に差がある。ただ長距離適性は高く、1年の休養明けでも勝機はある。
買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△××馬連5点、◎-◯▲△××3連複10点で勝負する。(花田)
▽阪神大賞典予想印▽
◎ディープボンド
◯サヴォーナ
▲ディアスティマ
△ブローザホーン
×テーオーロイヤル
×シルヴァーソニック
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。
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