【阪神大賞典】単勝20倍未満の格上馬狙いが得策 小柄なブローザホーンは初の3000mでも期待大
坂上明大
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傾向解説
天皇賞(春)の最重要ステップレースに位置づけられる阪神大賞典。別定GⅡという賞金面でも斤量面でも実績馬が使いやすい条件から他の3000m超の重賞よりもレースの格が高いです。昨年は本レースの勝ち馬であるジャスティンパレスが本番も制しています。本記事では血統面を中心に、阪神大賞典のレース傾向を整理していきます。
まず紹介したいデータは単勝オッズ別成績。前述の通り実績馬が使いやすいため、芝3000m戦という特殊条件ではあるものの、地力の足りない馬が適性だけで格上馬を逆転するのは難しいです。格上馬の出走頭数によってはチャンスは生まれますが、連対馬20頭中19頭が単勝オッズ19.9倍以下、勝ち馬は10頭中9頭が同9.9倍以下というデータからも、ある程度人気を集めるような格上馬から狙うのが好手といえそうです。
<単勝オッズ別成績(過去10年)>
~9.9【9-5-4-13】勝率29.0%/連対率45.2%/複勝率58.1%/単回収率81%/複回収率94%
10.0~19.9【1-4-2-9】勝率6.3%/連対率31.3%/複勝率43.8%/単回収率64%/複回収率153%
20.0~29.9【0-1-0-11】勝率0%/連対率8.3%/複勝率8.3%/単回収率0%/複回収率32%
30.0~49.9【0-0-4-13】勝率0%/連対率0%/複勝率23.5%/単回収率0%/複回収率228%
50.0~99.9【0-0-0-14】勝率0%/連対率0%/複勝率0%/単回収率0%/複回収率0%
100.0~【0-0-0-22】勝率0%/連対率0%/複勝率0%/単回収率0%/複回収率0%
血統面ではディープインパクト系やステイゴールド系などサンデーサイレンス系の中でも長距離適性の高い父系に注目です。昨年はディープインパクト産駒のジャスティンパレスが1着、ステイゴールド産駒のアフリカンゴールドが10番人気4着でした。
ディープインパクトやステイゴールドの産駒自体は少なくなってきましたが、2021~22年1着馬ディープボンドはディープインパクト系キズナ産駒、2022年2~3着馬はステイゴールド系オルフェーヴル産駒、4着馬はステイゴールド系ゴールドシップ産駒と孫世代においても同父系のスタミナはしっかり継承されています。特に同父系らしい小柄な馬はステイヤーの可能性が高いため、馬体重にも注目してみるとさらに評価の精度は高まるでしょう。
ディープインパクト系【4-2-2-3】勝率36.4%/連対率54.5%/複勝率72.7%/単回収率142%/複回収率209%
ステイゴールド系【3-1-1-4】勝率33.3%/連対率44.4%/複勝率55.6%/単回収率98%/複回収率87%
また、Nureyev≒Sadler's WellsやRobertoなどヨーロッパの中長距離血統を持つ馬の好走も目立ちます。ただ、前哨戦らしくスローペースになりやすい側面もあるため、ヨーロッパの重厚な血だけで構成された血統馬ではなく、ディープインパクト系やステイゴールド系など日本の主流種牡馬との組み合わせがベターです。
血統解説
・サヴォーナ
母テイケイラピッドはその父スニッツェル譲りの大型馬。本馬は母親譲りの馬体重530kg台の恵まれた馬体で、力のいる馬場やダートも苦にしないパワーが持ち味です。ただその分、ピュアステイヤーではない印象。ディープインパクト系キズナ産駒ではありますが、3000mへの距離延長が今回の課題となりそうです。
・ブローザホーン
母オートクレールはデュランダル×フォーティナイナーのスピードタイプで、現役時代は1600m以下で4勝を挙げた活躍馬。ただ、中長距離種牡馬エピファネイアを父に配した本馬は馬体重420kg台の小柄な馬体で、スレンダーな体つきからも超長距離適性は相当高そうです。初の3000m超レースにはなりますが、不安視される今回こそ先物買いのタイミングではないでしょうか。
・テーオーロイヤル
JpnⅠ・3勝馬メイショウハリオ(2022、23年帝王賞、2023年かしわ記念)の半弟。リオンディーズ産駒の本馬は中距離馬に出てもおかしくない配合形ですが、本馬自身は馬体重450kg台のスレンダーな体つきで、2022年天皇賞(春)で3着と一線級相手でも通用する力を見せています。骨折で長期の戦線離脱を挟みましたが、前走のダイヤモンドSはトップハンデを跳ね除けての快勝。超長距離路線のここでは安定勢力の一頭です。
ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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