【毎日杯】共同通信杯組は勝率62.5% ベラジオボンド重賞獲りへ視界良好
SPAIA編集部
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「東上最終便」も今は昔
2024年3月23日(土)に阪神競馬場で行われる毎日杯(GⅢ・芝1800m)。ここを勝って賞金を加算すれば中2週で皐月賞への出走が可能となる、そんな意味合いでかつては「東上最終便」の呼び名を持っていた。
ところが時代は変わる。今は若駒に強行軍をさせてまで一冠目にこだわる陣営も少なくなった。19年ランスオブプラーナを最後に、毎日杯組の皐月賞出走はない。代わって、直近4年連続でここからダービーへの直行ローテを採用する馬が出た。もはや事実上のダービー前哨戦だ。世代の頂点へ直通する裏街道、そんなルートをこじ開けるのはどの馬か。過去10年のデータをもとに展望する。
圧倒的な共同通信杯組
まずは人気別成績から。1番人気【2-3-3-2】の複勝率80.0%は十分立派だが、現在5連敗中なのは少々気になる。以下、2番人気【3-3-1-3】、3番人気【1-2-1-6】、4番人気【1-1-3-5】と続く。少頭数になりやすいこともあって勝ち馬10頭中9頭が5番人気以内。8番人気以下【0-1-0-41】と大荒れはあまりしない。ワンターンで広い阪神芝1800mが舞台、こうなるのも当然か。
東西で比較すると美浦所属馬【4-4-1-9】勝率22.2%、複勝率50.0%が、栗東所属馬【6-6-9-72】勝率6.5%、複勝率22.6%を圧倒している。
3歳の芝1800m重賞となると前週に中山でスプリングSも用意されている。関東馬の場合そちらを使えば輸送も不要だし皐月賞出走へも都合がいい。にもかかわらず毎日杯をあえて選ぶのはそれだけの勝算があるということだろう。紛れのない脚力勝負を求めて西下する関東馬には要注意だ。
ここからは臨戦過程に注目。まずは重賞組からレース別に見ていこう。
ぶっちぎりの好成績は共同通信杯組の【5-0-1-2】勝率62.5%、複勝率75.0%だ。共同通信杯は毎日杯と似た「広いコースで少頭数の瞬発力比べ」という質を持ちながらレースレベルはここよりも断然高い。勝ち馬5頭は14年マイネルフロスト(共同通信杯4着)、15年ミュゼエイリアン(同4着)、16年スマートオーディン(同6着)、21年シャフリヤール(同3着)、23年シーズンリッチ(同6着)。共同通信杯で掲示板争いだった馬が繰り上がるイメージが持てる。6着馬ベラジオボンドがどんぴしゃだ。
前走シンザン記念は【1-0-0-5】複勝率16.7%。17年重馬場に泣いたアルアインが巻き返した。ノーブルロジャーのように勝ち馬が参戦した例はこの10年ないが、期間を広げると11年レッドデイヴィスが出てきて連勝を飾っている。サンプルが少なくデータ的に強調できるわけではないが、減点も必要ない。
きさらぎ賞組は【0-2-1-5】だが、好走3例はいずれもきさらぎ賞で4着以内、かつ上がり3位以内だった。どちらも満たさないファーヴェントには手を出せない。ルシフェルの阪神JF組はサンプルなしだが、前年のGⅠ以来だった馬は【0-0-0-3】と今のところ結果は出ていない。ただし、3頭のうちマイルから延長したパターンは1例だけで、19年ケイデンスコールの7番人気4着と悪くなかった(ほか2頭はホープフルS組)。
前走1勝クラス組に目を向ける。ここの取捨はシンプルで、1着馬【4-3-4-11】勝率18.2%、複勝率50.0%が最優先、2着【0-1-1-5】複勝率28.6%は許容範囲、3着以下【0-0-0-12】はアウトだ。
小倉であすなろ賞を勝ったサトノシュトラーセだが、実は「前走1勝クラスで上がり4位以下」【0-0-0-11】というマイナス要素にも抵触してしまう。長い直線での瞬発力勝負が基本形の毎日杯では、下級条件で鋭いキレを繰り出してきたかが問われる。デビューから4戦いずれも内回り系の競馬で器用に立ち回ってきたサトノシュトラーセは、ちょっとキャラ的にそぐわない。
最後に気になったデータを紹介する。まず1枠が【3-1-2-4】勝率30.0%、複勝率60.0%とよく走る。ただ、2回阪神の開幕週とはいえ連続開催で芝は使い込まれているし、コース形態的にも特に内が有利という感じはしない。原因は全く分からない。頭の片隅に置いておこう。また、キャリア6戦以上の馬は【0-0-1-23】で複勝率4.2%と振るわない。
特殊な展開に泣いたベラジオボンド
「1番人気が複勝率80%」「関東馬優勢」「共同通信杯組が圧倒的」「前走1勝クラス勝ち馬が好成績」「キャリア6戦以上は不振」などのポイントを押さえたところで、登録馬について具体的に考えていこう。
最有力はやはりベラジオボンドだ。新馬戦は今回と同じ阪神芝1800mで先行して上がり最速33.9秒の脚を使い、後続を3馬身離す完勝だった。2戦目の共同通信杯は1000m通過62.7秒のあともペースが上がらず、ラスト11.4-10.9-10.8という異次元のスローペース。上がり32.9秒の脚で必死に食らいつくも6着に終わった。展開に泣いた以外の言葉が見つからない。普通の競馬をさせてもらえれば好勝負になる。
シンザン記念勝ち馬ノーブルロジャーは距離延長になるが、新馬戦では1000m通過63.4秒の遅い流れを好位で折り合っていた。1800mは問題なく対応可能と見る。ここまでの2戦は全く毛色が違うレースで、それぞれドスローの高速上がり勝負と、ややハイペースでタフ馬場の持続力勝負。どちらも完勝したのは対応力の高さか、それとも能力が抜けているのか。いずれにせよ高い評価が妥当だ。
ルシフェルは萩Sの勝ち馬であり、阪神JFの1600mは忙しかった。それでも6着に入ったのは地力のなせる業だろう。距離延長は歓迎でこちらも侮れない。牝馬は【0-0-0-4】だがOP級の実績がある馬は1頭も出ておらず、あまり気にしなくていい。
成績のいい関東馬はトラジェクトワール、ニュージーズあたりがエントリー。トラジェクトワールは未勝利戦の勝ちっぷりこそ素晴らしかったが、前走の敗戦は不可解だった。1勝クラス6着だとデータ的にも一歩後退する。
ニュージーズはGⅠ馬ミッキークイーンの半弟という良血馬。新馬戦はスローとはいえ、ラスト11.7-11.3の加速ラップで5馬身突き抜けた。魅力はある。ただし、勝ち時計2:02.6は同日ホープフルSより2.4秒遅く、まだ世代の頂点とは埋めなければならない差がある。人気が過熱するなら妙味は薄い。
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