【東海S】上位人気堅実、8枠優勢のコース 舞台相性◯のダノンレジェンド産駒ミッキーヌチバナ
勝木淳
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立ち位置が難しいGⅡ
JRA最初のGⅠフェブラリーSへ向けた前哨戦が早くもはじまる。ダートの前哨戦は扱いが微妙だ。昨年のチャンピオンズCでは、前走みやこS組が2頭出走し、7、10着。2番人気セラフィックコールも大敗した。フェブラリーSで東海S組は2019年インティを最後に好走馬が出ていない。同格のチャンピオンズCや同じ東京で行われる根岸S組に押され気味だ。
ローテーション改革によって、どのカテゴリーも前哨戦のGⅡ組は本番で苦戦傾向にある。同時に、GⅡ格にふさわしいメンバーとパフォーマンスか、という疑問もあがる。GⅡ格をどこまで維持できるだろうか。かつてニュージーランドTが警告を受け、降格の危機だったのは報じられたが、東海Sもまたレーティングは危ない。かたや、札幌記念や毎日王冠、昇格したばかりの富士SなどGⅠレベルの高いレーティングを記録するGⅡもある。GⅡ格を巡る攻防、その象徴のひとつが東海Sだ。
京都ダート1800mは8枠
今年は関西圏が変則スケジュールのため、京都で行われる。2020年以来になる京都の東海S。当時はエアアルマスが勝ち、ヴェンジェンス2着、インティが3着で、2、3、1番人気と堅かった。
過去10年データはほぼ中京施行になってしまうので、ここでは昨年、リニューアル後から年末までの京都ダート1800m、古馬2勝クラス以上、20レースを参考にコース傾向をみてみる。リニューアル後の京都ダートは砂が新しいため、最後の200mで時計を要する、いわゆる「上がりを要する競馬」が頻発している。それがどうデータにあらわれているか。検証しよう。
20レースで1番人気は【11-1-1-7】勝率55.0%、複勝率65.0%と非常に強い。年始の3日間開催では蹴上特別ひと鞍で、6、8、10番人気の波乱決着。それでも1番人気ロードトラストは4着で、追い込み勢が台頭した特殊な展開だったのもあった。2番人気【4-5-2-9】勝率20.0%、複勝率55.0%と基本は1、2番人気が下馬評どおり力を発揮するコースだ。7番人気以下は2勝、10番人気以下も2、3着はあれど勝利なし。大穴狙いは効率的ではない。
枠番の傾向をみると、8枠【7-2-7-24】勝率17.5%、複勝率40.0%が目立つ。なお昨年の阪神ダート1800m同条件(レース数27)では、8枠は勝率5.7%、複勝率18.9%と低い。この違いは覚えておこう。
3枠【5-2-0-28】勝率14.3%、複勝率20.0%なので、内枠劣勢とは言えないが、1枠【1-1-0-26】勝率3.6%、複勝率7.1%、2枠【1-1-2-28】勝率3.1%、複勝率12.5%と極端な内枠は嫌ってもいい。
意外性あるダノンレジェンド
上位人気堅調、1、2枠苦戦で8枠優勢。まずはこの2点を抑え、ここからは具体的に好走馬のデータをみていこう。
データが20レースなので、同一馬によって確率が上昇する面を踏まえつつ、種牡馬別成績を出す。着度数別ではドレフォンが【3-2-0-7】勝率25.0%、複勝率41.7%でトップ。勝利3頭はすべて違う馬なので信頼できる。このうちの1頭タイセイドレフォンが今回も出走する。改装後の京都は1、4、2、12着。前走みやこS大敗は力不足を感じさせるも、1000m通過1:01.2と淀みなく流れ、残り1000~400m12.4-12.3-12.1と途中で加速ラップが入る、先行型にはつらい競馬だった。平安S4着と重賞でもやれる。
2位ホッコータルマエ【2-1-0-12】勝率13.3%、複勝率20.0%のうち、1勝をあげたブライアンセンスが出走する。同馬はユニコーンS3着の実績をもち、昨秋、京都で2、3勝クラスを連勝中と勢いもある。連勝はJ.モレイラ騎手騎乗であり、乗り替わりは気になるところだが、デビュー以来すべて馬券圏内の安定感は強みだろう。
特筆すべきはダノンレジェンド【1-2-0-1】勝率25.0%、複勝率75.0%だ。1勝は登録があるミッキーヌチバナだが、2着2回は別の馬で、好走はバラバラだ。上記、蹴上特別2着シンヨモギネスもダノンレジェンド産駒だった。現役時代はダート短距離を主戦場としたダノンレジェンドだが、産駒はダート中距離に強く、1800mの勝率は16%を超える。今年の開幕週3日間開催の京都ダート1800mでは3頭出走し、1、3、2着と4着以下がなかった。時計がかかるダートは合う。
最後に前走距離について。1800m未満【4-4-3-59】勝率5.7%、複勝率15.7%、1800m超【1-4-3-42】勝率2.0%、複勝率16.0%に対し、1800m【15-12-14-126】勝率9.0%、複勝率24.6%と同距離組の成績がいい。血統であげたタイセイドレフォン、ブライアンセンス、ミッキーヌチバナはいずれも前走1800mだ。そのほか、ヴィクティファルス、ウィリアムバローズも同データに一致する。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリー
ペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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