【ホープフルS】前走重賞組が好成績も再び波乱の予感 ゴンバデカーブースは中山と距離に対応できるか
勝木淳
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GⅠ昇格後は関西馬全勝
有馬記念の余韻に浸りたい。そんな気分に後ろ髪を引かれつつ、競馬はまだまだあるため、前を向いていかないといけない。今年の総決算が有馬記念なら、ホープフルSはレース名の通り、来年への希望を見つける場だ。皐月賞と同じ中山芝2000mを舞台に来春の主役探しがはじまる。データはGⅠ昇格後の過去6年分を使用する。
1番人気は【4-0-0-2】勝率、複勝率66.7%で、勝つか大きく負けるか極端だ。確率的には高いものの、昨年のような大波乱もある。今年ならゴンバデカーブースが距離延長を問題なくこなしてしまえば、平穏な結末を迎えそうだ。
以下、4番人気【0-2-1-3】複勝率50.0%までは好走率が高く、そこからは少し差がある。8番人気【0-0-2-4】複勝率33.3%など波乱の目もなくはないが、ある程度は前評判を素直に信じられるレースだ。
東西別成績の話に移るが、今年は関東馬の躍進が止まらない。大将格のイクイノックスを筆頭に、牡馬クラシックは関東馬が全勝など、GⅠでは互角以上の戦いが続く。そのトレンドを考えると、このデータは破られても不思議はないが、ホープフルSは関西馬【6-5-2-41】勝率11.1%、複勝率24.1%、関東馬【0-1-4-32】複勝率13.5%と関西馬が圧倒している。GⅠになってから関東馬は勝っていない。21年1番人気12着コマンドラインなど、人気を裏切ることもある。ゴンバデカーブースは関東馬として堂々とここを突破できるだろうか。
朝日杯FSを勝ったジャンタルマンタル、阪神JFのアスコリピチェーノは2戦2勝で臨みGⅠを制覇。新馬、重賞、GⅠと着実にステップアップする理想的な形で春を迎える。
このレースも基本はキャリア2戦【3-4-2-29】勝率7.9%、複勝率23.7%。このうち、前走重賞1着だと【2-1-0-2】勝率40.0%、複勝率60.0%なので、上記2頭と同じ臨戦過程がいい。ゴンバデカーブースはこのデータに当てはまる。ただし、21年コマンドライン、22年ガストリックとここ2年の該当馬は連敗中。
また、上記の2歳GⅠと異なり距離が2000mだからか、もう少しキャリアを積んだ馬の成績もいい。キャリア3戦は【1-1-2-15】勝率5.3%、複勝率21.1%、4戦も【2-0-1-10】勝率15.4%、複勝率23.1%。経験値も必要な舞台だ。
抽選対象も要注意!
賞金的に出走できる2勝馬でみると、芙蓉Sを勝ったシリウスコルト、黄菊賞のセンチュリボンドと2000mで2勝目を挙げた馬が目立つ。経験値という意味でも申し分ない。
とはいえ、やはり前走重賞組が基本的に強い。格が変動した部分もあるのでひとくくりに重賞でみると【4-2-1-19】勝率15.4%、複勝率26.9%。やはり少ないキャリアで重賞を経験していることが条件になりそうだ。今年はゴンバデカーブース、シンエンペラー、抽選対象のショウナンラプンタ、ディスペランツァの4頭に絞られる。
前走重賞の内訳は東京スポーツ杯2歳S【3-0-1-9】勝率23.1%、複勝率30.8%、京都2歳S【1-1-0-7】勝率11.1%、複勝率22.2%など1800m以上の中距離重賞が並ぶ。マイルはデイリー杯2歳S【0-1-0-0】ぐらい。サウジアラビアRCは【0-0-0-1】でわずか一頭だが、21年コマンドラインが1番人気で大敗した。マイル戦しか経験がないゴンバデカーブースは中山内回りと2000mどちらにも対応しないといけない。若駒にとっては意外としんどいことではある。
主要ローテの東スポ杯組は4着だったショウナンラプンタがいるが、基本的には1着馬【2-0-1-1】。2、3着は【0-0-0-6】なので分が悪そうだが、4着は22年ドゥラエレーデと同じ。昨年、14番人気1着と激走した馬と同じプロセスではある。
京都2歳S組は勝ち馬シンエンペラーと6着ディスペランツァの2頭。着順内訳は1着【0-0-0-1】、2着【1-1-0-1】、3着以下【0-0-0-5】。ディスペランツァは劣勢も、勝ち馬の出走はたった一頭なので、シンエンペラーの判断はつかない。シユーニ(Siyouni)産駒で前走も勝負所で反応の悪さをみせた。時計がある程度かかるだろう中山は悪くないが、内回りで置かれるようだと危ない。
重賞組に課題がある今年は前走オープン・L【2-2-2-8】勝率14.3%、複勝率42.9%にも注目だ。レース内訳は萩S【2-1-0-2】勝率40.0%、複勝率60.0%、アイビーS【0-1-1-1】複勝率66.7%で1800m組が優勢だ。
萩Sからは5着ホルトバージ、アイビーSからは3着レガレイラが抽選対象ながら登録している。ここは2000mに距離が延びて良さそうな馬を狙うのが上策で、それであれば母ロカのレガレイラだろう。兄ドゥラドーレスは菊花賞4着、今春は2000m戦を勝ってオープン入りを果たした。
2000mの芙蓉Sは【0-0-1-4】複勝率20.0%と思ったほど機能しない。秋の中山で行われる芝2000m戦はオープンとはいえ、時期的にそこまで強い馬が出ていない可能性がある。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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