【有馬記念】スターズオンアースとソールオリエンスは消し ハイブリッド式消去法

藤川祐輔

過去10回の有馬記念『父キングマンボ系』×『4歳以上』の成績,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

先週の朝日杯FSでは2頭が凡走データを免れ、特注馬として名前を挙げていたジャンタルマンタルが勝利。阪神JFに続いて2週連続で特注馬が勝利しており、グランプリへ向けて当コーナーは絶好の仕上がりだ。

今週は12月24日に中山競馬場で行われる有馬記念(GⅠ)を予想する。今回は登録馬20頭から、回避を表明したドゥラエレーデと、除外対象となる3頭を除いた16頭を対象に絞り込みを行う。過去10年(13~22年)のデータから、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、条件に当てはまった馬を消去していく。


『キャリア21戦以上』×『国内平地GⅠ勝利歴なし』 ★0.0%★

当レースはキャリアが長い馬が苦戦する傾向にある。事実、キャリアを21戦以上の馬は【1-0-3-51】(複勝率7.3%)と厳しい。この組からは4頭が馬券に絡んでいるが、いずれの馬も国内平地GⅠの勝利経験があった。この実績がない馬は【0-0-0-38】で、全て凡走している。

今年のメンバーにはキャリア21戦以上の馬が5頭いるが、いずれも国内GⅠのタイトルは所持していない。ウインマリリンやディープボンドといったGⅠ好走歴のある馬も含まれるが、既に能力のピークは過ぎていると判断して評価を下げる。

【今年の該当馬】
・アイアンバローズ
・ウインマリリン
・ディープボンド
・ヒートオンビート
・ホウオウエミーズ


『父キングマンボ系』×『4歳以上』 ★4.3%★

キングマンボ系の種牡馬は当レースと相性が悪く、【0-3-0-24】(複勝率11.1%)と振るっていない。年齢で見てみると、3歳馬は【0-2-0-2】(同50.0%)と通用しているが、4歳以上に関しては【0-1-0-22】(同4.3%)とほとんどの馬が凡走している。

この中には人気馬が数多く含まれており、アーモンドアイ(19年1番人気9着)、ラブリーデイ(15年2番人気5着)といった同年の古馬王道GⅠを制していた面々も結果を残せていない。唯一、レイデオロ(18年1番人気2着)が好走しているが、単勝オッズ2.2倍の高評価を受けながら勝利を逃した一因には、受け継がれた適性の差もあったはずだ。

このデータには新たに、ドゥラメンテ産駒であるスターズオンアース、タイトルホルダーが該当する。特にスターズオンアースは上位人気濃厚だが、秋華賞や大阪杯での敗戦を見る限りでは、小回りコースがベストの条件とは言い難い。過去に敗北を喫した同系統の名馬同様、当レースでパフォーマンスを落とす可能性もある。馬券妙味も踏まえて思い切って軽視する。

【今年の該当馬】
・スターズオンアース
・タイトルホルダー
・(ヒートオンビート)
・(ホウオウエミーズ)


『前走馬体重470kg以下』×『2200、2500m重賞勝利歴なし』 ★3.8%★

次は前走馬体重データに注目してみる。470kg以下の比較的小柄な馬は【1-1-3-37】(複勝率11.9%)と振るっていない(前走馬体重の記録がない前走海外組を除く)。同組の中で、2200、2500mの重賞で勝利実績のある馬は【1-0-3-12】(同25.0%)と好成績を収めていたが、この実績がない馬は【0-1-0-25】(同3.8%)と低迷している。

一般的に非根幹距離のレースでは、タフな展開に対応するパワーやスタミナが要求される傾向にある。中山芝2500mで行われる当レースも同様であり、馬格が劣るパワー不足の馬が結果を残すことは難しい。小柄な馬で、非根幹距離の2200、2500m重賞勝利実績がない馬は評価を下げるべきだ。

【今年の該当馬】
・ソールオリエンス
・プラダリア
・ライラック
・(ホウオウエミーズ)


『前走エリザベス女王杯』×『前走3着以下』 ★5.9%★

前の項で非根幹距離への適性について触れたが、2200mで行われるエリザベス女王杯組は【0-2-1-21】(複勝率12.5%)と苦戦している。さらに、同レースで3着以下だった馬に限ると、成績は【0-1-0-16】(同5.9%)とさらに好走率が低下する。

同じ非根幹距離のGⅠといえど、古馬王道路線を締めくくる当レースと牝馬限定戦では、レースレベルに大きな差がある。今年は2頭がエリザベス女王杯からの転戦となるが、ともに連対を外しているだけに、グランプリでの好走を期待するのは荷が重いと判断する。

【今年の該当馬】
・ハーパー
・(ライラック)


『7~8枠』×『前走初角6番手以内』 ★0.0%★

最後は枠順に関するデータから絞り込みを行う。当レースはスタートの位置や、コーナーを6回通過するコース形態などの関係から、外枠が不利の傾向だ。データを見ても、1~6枠の【10-9-6-95】(複勝率20.8%)に対して、7~8枠は【0-1-4-35】(同12.5%)と成績が落ちる。

先行脚質の馬は特に外枠の不利が大きく、7~8枠に入った馬のうち前走初角6番手以内だった馬は【0-0-0-13】(同0.0%)と1頭も好走できていない。この中にはエピファネイア(14年2番人気5着)を筆頭に、当日5番人気以内だった馬が5頭も含まれており、実力馬でも外枠の不利を覆すことは難しい。

ここまでに5頭が凡走データを免れているが、この中で前走初角6番手以内だったのはドウデュースのみ(前走海外組を除く)。同馬にとって2500mの距離は初めてであり、内枠からロスなく運ぶことが理想だろう。外枠に入るようなら割引だ。

【今年の該当候補馬】
・ドウデュース
・(アイアンバローズ)
・(スターズオンアース)
・(タイトルホルダー)
・(ディープボンド)
・(ハーパー)
・(プラダリア)

全ての条件を終えて残ったのは、ジャスティンパレス、シャフリヤール、スルーセブンシーズ、タスティエーラの4頭である。この中でも今回は、ジャスティンパレスに期待したい。

春まではステイヤーの印象が強かったが、宝塚記念、天皇賞(秋)と2戦連続で好走し中距離でも一線級の実力を示した。特に前走は上がり最速となる33.7秒の末脚を繰り出しており、スタミナと瞬発力を兼ね備えている点は当レースでも武器となるだろう。

過去10年でディープインパクト産駒の牡馬は3頭が馬券に絡んでいるが、いずれも同年に3000m以上のGⅠを制している。当年の天皇賞(春)を勝利したジャスティンパレスもこのデータに該当しており、心強い。若くして中山コースでGⅠ・4勝を挙げている横山武史騎手の継続騎乗も間違いなく好材料で、空位となった“現役最強”の座につくチャンスは十分にあるはずだ。

《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、よりデータを活かした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。

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