【朝日杯FS】「前走マイル以外の重賞組」は苦戦傾向 データで導く「過信禁物の注目馬」
藤川祐輔
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順当決着か、それとも波乱か
12月17日、阪神競馬場では朝日杯FS(GⅠ)が行われる。過去の結果を振り返ると、17~22年まで6年連続で1番人気馬が馬券に絡んでいる。その一方で穴馬が激走するケースも散見され、グランレイ(19年14番人気3着)、シャドウアプローチ(15年11番人気3着)といった二桁人気馬の好走例も多い。
順当決着を狙うか、波乱に期待を抱くか。悩ましいレースだが、いずれにせよ馬券検討においては人気馬の取捨選択が重要な要素となる。今回は当レースが阪神開催となってからの過去9年(14~22年)におけるデータを基に、「過信禁物の注目馬」を導いていく。
瞬発力が結果に直結
まず注目するのは、前走の上がり順位である。前走で上がり1~2位をマークしていた馬は、本番で【8-7-6-54】勝率10.7%、連対率20.0%、複勝率28.0%と好成績を収めている。対照的に前走の上がりが3位以下であった馬は、【1-2-3-63】勝率1.4%、連対率4.3%、複勝率8.7%と振るっていない。
阪神芝1600mは直線が長く、レース終盤で瞬発力を発揮した馬に有利なコース形態だ。データにもその傾向は表れており、特に前走での上がり順位が結果に大きく関係している。前走での上がり順位が3位以下で、他馬を上回る瞬発力を発揮できなかった馬の評価は下げるべきだ。
前走4番人気以下の馬は苦戦傾向
続いては、出走各馬の前走での人気に焦点を当てる。前走で1~3番人気に支持されていた馬は【9-8-7-60】勝率10.7%、連対率20.2%、複勝率28.6%と高水準で、馬券に絡んだ馬のほとんどはこの組に含まれていた。一方、前走で4番人気以下だった馬は【0-1-2-60】連対率1.6%、複勝率4.8%と厳しい。
この中には前走で重賞を勝利した馬が5頭含まれており、いずれも3着以下に敗れている。中でもオオバンブルマイ(22年5番人気7着)、ブライトエンブレム(14年2番人気7着)は当レースで人気を背負うも、期待を裏切っている。
前走で低評価を受けていた馬にとって世代のトップクラスが集うGⅠの舞台は荷が重いようで、それは重賞を制した面々であっても例外ではない。もちろん前走人気のみで各馬の素質を推し測ることは難しいが、極端なデータが出ている点は頭に入れておきたい。
前走重賞組はマイル戦か否かで明暗
前走で重賞レースを使っていた馬は比較的レベルが高く、当レースにおいても例年注目を集める存在だ。だがこの前走重賞組について、その距離ごとに成績を分類すると明暗がハッキリと分かれる。
1600mの重賞から転戦してきた馬は、【4-6-4-25】勝率10.3%、連対率25.6%、複勝率35.9%と素晴らしい成績を残している。しかし1400m以下の距離延長組は【0-2-2-24】連対率7.1%、複勝率14.3%と振るっておらず、1800m以上の距離短縮組も【0-1-0-10】連対率、複勝率9.1%と苦戦している。
2歳マイル王者を決める当レースへと直結するのは、同じマイル重賞だということがデータから判断できる。前走重賞組で距離延長、距離短縮となる馬は、それぞれ軽視して問題ないだろう。
データで導く「過信禁物の注目馬」
ここまでに紹介したデータをまとめると、当レースにおける不安要素は以下の通りである。
・前走上がり3位以下
・前走4番人気以下
・前走が1600m以外の重賞
これらを踏まえて、今回はシュトラウスを「過信禁物の注目馬」として挙げる。
前走の東京スポーツ杯2歳Sは勝利こそしたが、当馬も含めて馬券に絡んだ3頭はいずれも先団でレースを進めていた。馬場や展開に恵まれたことは否めず、前走結果のみで高い能力を有しているとは言い切れない。
これまでに33秒台の上がりタイムをマークしたことが一度もなく、父モーリスという血統背景からも瞬発力勝負への対応には疑問符がつく。加えて気性面にも課題を抱えており、初の多頭数、鞍上乗り替わりとなる点も気がかりだ。
今回紹介した3つの不安データにも該当しているだけに、馬券の中心には据えられない。
《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、よりデータを生かした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。
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