【チャンピオンズC】5戦無敗のセラフィックコールに複数の不安要素 データで導く「過信禁物の注目馬」

藤川祐輔

2023年チャンピオンズカップ、過信禁物の注目馬のイメージ,ⒸSPAIA

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ダート王者を決める頂上決戦

12月3日、中京競馬場ではチャンピオンズC(GⅠ)が行われる。過去9年では、1~3番人気の馬が【5-6-3-13】(複勝率51.9%)となっており、全幅の信頼を寄せるには若干心許ない数字である。馬券検討においては人気馬をしっかりと取捨選択し、的中へと繋げたい。今回は中京開催になってからの過去9年(14~22年)のデータを基に、「過信禁物の注目馬」を導いていく。


前走でJRAのレースを使っていた馬は不振

前走場所別成績,ⒸSPAIA


まず注目するのは、各馬のローテーションに関するデータである。前走で地方を走っていた馬が優勢で、成績は【8-5-3-37】勝率15.1%、連対率24.5%、複勝率30.2%となっている。一方で前走がJRAのレースだった馬は【1-4-6-73】勝率1.2%、連対率6.0%、複勝率13.1%と苦戦を強いられている。

地方からの転戦組の多くは、前走でマイルCS南部杯やJBCクラシックといったGⅠ級競走を使っていた。当然ながら一線級の実力を持つ馬たちはこちらの組に数多く含まれているため、当レースにおいても好成績を収めている。

一方で当レースへ繋がる武蔵野S、みやこS、シリウスSといったJRA重賞は、地方のGⅠ級競走へ出走した面々が不在で、相対的にメンバーレベルが落ち込む傾向がある。そのためJRA重賞で結果を残して挑んできた馬たちが、一気の相手強化により凡走する傾向がデータに表れている。

回収率を見ても前走地方組が単234%/複121%と高水準であり、対照的に前走JRA組は単9%/複52%と低調だ。馬券的妙味の観点から考えても、前走でJRAのレースを使っていた馬は積極的に狙うべきではない。


先行力がない馬は危険

前走初角別成績,ⒸSPAIA


次は脚質に関連するデータを取り上げる。各馬の前走初角位置別の成績をみると、初角9番手以内は【8-7-9-73】勝率8.2%、連対率15.5%、複勝率24.7%となっており、馬券圏内に好走した馬の多くがこの組に含まれている。一方で前走初角10番手以下と、後方からレースを進めた馬は【1-2-0-37】勝率2.5%、連対率、複勝率7.5%と振るっていない。

この組からは3頭が連対を果たしているが、このなかでゴールドドリーム(17年1着)、ノンコノユメ(15年2着)の2頭には同年のGⅠ級競走で勝利実績があった。一般的にダートでは芝のレース以上に先行馬が有利であり、後方から末脚に懸ける競馬で好走することは一筋縄ではいかない。先に挙げた2頭のように高い実力、実績を有した馬でない限りは、先行力に欠ける馬は評価を下げるべきだ。


血統にも凡走データあり

種牡馬系統別成績,ⒸSPAIA


最後は血統面に関するデータを紹介する。種牡馬系統別の成績では、ノーザンダンサー系が【1-1-1-17】勝率5.0%、連対率10.0%、複勝率15.0%とやや苦戦気味である。

父ノーザンダンサー系・系統別成績,ⒸSPAIA


ノーザンダンサー系をさらに細かい系統別に分析すると、好走していた3頭は全てヴァイスリージェント系であり、同系統は【1-1-1-2】勝率20.0%、連対率40.0%、複勝率60.0%と抜群の成績を収めていた。これに対してヴァイスリージェント系以外の産駒は【0-0-0-15】と1頭も好走馬が出ていなかった。極端なデータが出ているだけに、ノーザンダンサー系の馬はヴァイスリージェントの血の有無をチェックして取捨選択を行いたい。


データで導く「過信禁物の注目馬」

ここまでに紹介したデータをまとめると、当レースにおける不安要素は以下の通りである。

・前走がJRAのレース
・前走初角10番手以下
・父がヴァイスリージェント系以外のノーザンダンサー系

これらを踏まえて、今回はセラフィックコールを「過信禁物の注目馬」として挙げる。

5戦5勝と無敗のまま重賞ウィナーとなった新星だが、今回は先述した3つの不安データの全てに該当している。また、前走のみやこSは2着メイクアリープ、3着ウィリアムバローズに重賞勝利歴がなく、ハイレベルな一戦であったとは言い難い。今回は一気の相手強化となるだけに、後方一気の大味な競馬で、GⅠでも通用するレベルにあるかは疑わしい。

能力の底が見えない怖さはあるが、不安要素も多く信頼は置きにくい。上位人気に推されることは必至なだけに、オッズ妙味を鑑みれば軽視が妥当と判断する。

ライタープロフィール
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、より「予想」にフォーカスした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。

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