【エリザベス女王杯】15年間の勝ちは全て「前走GⅡ以上」 好データ携えたジェラルディーナの連覇に期待

門田光生

エリザベス女王杯の前走クラス別成績(過去15回),ⒸSPAIA

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「前走クラスGⅡ以上」は必須級データ

2023年11月12日に京都競馬場で行われる第48回エリザベス女王杯。このレースで思い出すのは、R.ムーア騎手とのコンビで「直線でワープした」と日本のファンを震撼させた2010年のスノーフェアリー(英)。世界は広いと痛感させられたレースだった。

残念ながら今年は海外からの参戦はなく、国内GⅠ馬もジェラルディーナ1頭だけ。逆にいえば、どの馬にもチャンスがあって馬券妙味があるレースともいえる。そんなエリザベス女王杯にはどんな傾向があるのか。今回も過去15年の成績を基にして調べていきたい。ちなみに、2022年に2着同着が発生しており、2着馬が16頭、3着馬が14頭となっている。

☆所属
過去15年で栗東所属馬が10勝。2、3着は各12回あり、栗東所属馬が上位を独占することも珍しくない。美浦所属馬は3勝、外国馬が2勝。だが、美浦と栗東を勝率、連対率で比べてみると、栗東所属馬の方がともに数字はいいが、大きな差はない。

出走馬の所属(過去15年),ⒸSPAIA


☆年齢
年齢別で見ると、8勝を挙げている4歳勢、連対率でトップの3歳勢の二択。6歳以上から勝ち馬が出ておらず、7歳以上となると連対馬もいなくなる(今年は該当馬なし)。

出走馬の年齢(過去15年),ⒸSPAIA


☆前走クラス
勝ち馬15頭は、すべて前走でGⅡ以上を走った(海外レース含む)。よって、このデータは必須級といえる。2着馬も14頭が該当。例外の2頭は、GⅢ時代の府中牝馬S経由だった08年のカワカミプリンセスと、1000万下クラス(現2勝クラス)を走っていた13年のラキシス。

出走馬の前走クラス(過去15年),ⒸSPAIA


☆主な前走
最も連対馬を出している前哨戦は、府中牝馬S(GⅢ時代含む)の11頭(5勝、2着6回)。次いで多いのは秋華賞の8連対(3勝、2着5回)。3歳の連対馬が10頭だったので、大半が秋華賞組ということになる。残る2頭は、10年の1着馬スノーフェアリー(海外)と、13年の2着馬ラキシス(1000万下、現2勝クラス)だった。

その他ではオールカマー組が3勝、2着1回と上記2レースに比べると連対馬は少ないが、勝率、連対率だけで比べると抜けて良いので、狙い目といってよさそう。

出走馬の主な前走(過去15年),ⒸSPAIA


☆ローテーション
中2週以内で挑んできた馬は24頭該当し、この中で連対した馬は1頭もいない。新潟牝馬S組のローゼライトが今年は該当する。ちなみに最も長い間隔を開けて連対したのは、8月末の札幌記念から中11週で挑んだ20年の1着馬ラッキーライラックと、22年の2着馬ウインマリリンだった。3月以来の中34週となるアートハウスは、データ的に見て厳しいかもしれない。

中2週以内の出走馬(過去15年),ⒸSPAIA


☆父系
Kingmamboの血を引く種牡馬(キングカメハメハ、ロードカナロア、ルーラーシップ、エルコンドルパサーなど)を父に持つ馬は23頭出走しているが、3着が最高で、連対馬は出ていない。

Kingmambo系種牡馬の成績(過去15年),ⒸSPAIA


リピーターの多いGI

エリザベス女王杯のデータをまとめてみよう。

【好走データ】
A「3歳馬か4歳馬」
B「前走がGⅡ以上」
C「前走がオールカマー」

【勝ち馬なし】
D「6歳馬」

【連対馬なし】
E「中2週以内または中12週以上」
F「父がKingmanbo系」

今回、A~Cの3つのプラスデータ全てを満たした馬は、残念ながらいない。プラスデータ2つを持っていて、マイナスデータに引っかからないのはジェラルディーナ、シンリョクカ、ハーパー、ライラック、ルージュエヴァイユの5頭。このうち、勝率20%を超えている強データのC「前走がオールカマー」を満たしているのは、ジェラルディーナだけ。

このレースは2年続けて同じ着順となるケースが多く、1990年以降では、メジロドーベル(98、99年)、アドマイヤグルーヴ(03、04年)、スノーフェアリー(10、11年)、ラッキーライラック(19、20年)が連覇達成。また、連続2着も多く、フサイチエアデール(99、00年)、オースミハルカ(04、05年)、ヌーヴォレコルト(14、15年)、クロコスミア(17~19年)がいる。また、クロコスミアは3年連続2着という快挙(?)を達成している。

その他にもミッキークイーン、ラヴズオンリーユーなど連続好走馬は多く、この傾向も合わせて考えると、ジェラルディーナの連覇濃厚とみる。鞍上予定は、あのスノーフェアリーに騎乗したR.ムーア騎手。「衝撃、再び」に期待したい。

残る4頭の順番付けだが、昨年の3着馬ライラックについては、連続で同じ着順に収まる傾向が強いことから、3着固定にしたいので5番手評価とする。残った3頭のうち、シンリョクカは3歳馬の好走パターンである「前走が秋華賞」から外れているので、4番手評価。残った2頭、ハーパー(3歳、前走秋華賞3着)とルージュエヴァイユ(4歳、前走府中牝馬S2着)をどうするかだが、府中牝馬S組より秋華賞組のほうが勝率、連対率が高いということで、ハーパーを上に取りたい。

馬券は、前の年の着順をリピートする馬が多い傾向から、1着にジェラルディーナ、3着にライラックを固定して、2着に◯▲△を挟む3連単を買ってみるつもりだ。

◎ジェラルディーナ
◯ハーパー
▲ルージュエヴァイユ
△シンリョクカ
×ライラック

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
先日行われたJBCスプリントをイグナイターが勝利。兵庫所属馬の悲願であったJpnI勝ちを達成。関係者の皆さん、おめでとうございます!

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