【2歳馬ジャッジ】豊富なスタミナを感じさせるシリウスコルト 今後は重賞の穴馬として要警戒
山崎エリカ
ⒸSPAIA
9月5週目の2歳戦
このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は芙蓉S(OP)を勝ったシリウスコルトや、ヤマボウシ賞を勝ったサトノフェニックスなどが出た、9月30日、10月1日の2歳戦について指数と評価を掲載する。
9月30日(土)中山2R 優勝馬 クオレス 指数-4 評価B
8月新潟ダ1200mの新馬戦は逃げて7着と失速したが、次走の中山芝1200m戦では初芝ながらまずまずのスタートを決めて好位の外目でレースを進め、クビ差の2着と大きく前進した。
今回はデビュー3戦目で芝の2戦目。3番枠から好スタートを決めて内のミニマルデザインの出方を窺いつつ、気合を付けてハナを叩いた。先頭に立ったところで鞍上が抑えようとしたが、行きたがって首を上げた。それでもなんとかコントロールして遅い流れに持ち込んだ。4角で外から2番手のアララララに並びかけられたが、直線序盤でGOサインが出されると、ジワジワ差を広げて2馬身半差で快勝した。
一戦ごとに着実に成績を上げており、今回は悪くない指数だった。新馬戦でダートを使って無理させなかったことが今後の上昇度に繋がっていきそう。芝の短距離で昇級後も人気以上の走りを見せてくれそうだ。
9月30日(土)中山3R 優勝馬 ロードブレイズ 指数-5(ダート)評価B
7月の福島芝1800mの新馬戦は大きく離された7着に敗れ、前走の中山芝2000mの未勝利戦はやや差を詰めたが6着。今回はデビュー3戦目、初ダートだった。
レースは4番枠から出遅れ。鞍上が押していくがなかなかスピードに乗らず、中団やや後方からの追走となった。道中は枠なりに最内で脚を溜め、3~4角では最短距離から進出開始。4角で上手く外に出したが、その時点で前の馬と距離があった。それでもジワジワと脚を伸ばし、最後は1頭だけ違う脚色で伸び、前を捉えて1馬身半差で完勝した。
ラスト2Fは12秒5-13秒5で、前がバテるのに乗じての差し切り勝ちではあった。しかし、上がり3Fタイム37秒6は同週の中山ダ1800mに出走した古馬たちと比較しても悪くない数字だ。ここまでの3戦は全て出遅れだが、初ダートの不利をクリアしての勝利。ダートで今後の上昇が期待できそうだ。
9月30日(土)中山4R 優勝馬 アバンデル 指数-5 評価A
7月の福島芝1800mの新馬戦は大きく離されての10着だった。前走の中山芝2000mの未勝利戦はスタートで全くいく気を見せず、大きく出遅れて道中は最後方から。しかし、最後の直線では素晴らしい脚で追い込み、3着馬に4馬身差をつけ、なかなか好指数の2着だった。前走時の当欄では、近いうちに未勝利を突破するだろうと評価していた。
今回はデビュー3戦目。前走時と比べるとスタートは大幅に良化。12番枠から五分のスタートを切って、中団の外を追走。道中は行きっぷりが良く、コントロールしながらの走り。3~4角の外を回りながら前を射程圏に捕えると、直線では外からしっかり脚を伸ばして半馬身差で勝利した。
前走ほどのインパクトがある末脚ではなかったが、前走同様になかなか良い指数で勝利したことは評価できる。デビュー戦で大敗している馬は、勢いがつくとかなり伸びる。昇級後も活躍が期待できる一頭だ。
9月30日(土)中山9R 優勝馬 シリウスコルト 指数-12 評価AA
福島芝1200mの新馬戦を勝利。当時の内容は可もなく不可もなくで成長次第ということで評価Bとした。次走は重賞の新潟2歳Sに出走。上位馬には離されたが、出遅れて後方から最短距離を立ち回り、直線で外という競馬で5着と大健闘した。今回はデビュー3戦目、ここは芝2000mと一気に距離延長となった。
レースは5番枠から好スタートを決めた。これまで短い距離を使われてきたので、前進気勢が良い。序盤は好位にいたが、そこから外の馬を行かせて中団の最内でコントロールされていたが、2角の外から一気に前と差を詰め、好位の外まで上がった。向正面ではそのまま先頭に立つくらいの勢いだったが、なんとか前の馬の後ろに入れて折り合った。3~4角も外を回りながら絶好の手応え。直線では早めに先頭に立ち、そのまま押し切って2馬身差で快勝した。
記録した指数もオープンとしては悪くない。今回は距離が長くなることでスタミナ面に不安があったが、外を回りながら長く脚を使って早め先頭で勝利とは驚かされた。潜在的なスタミナが豊富な馬なのだろう。また、新馬戦では不適距離を使われていたことになる。そうなるとまだまだ伸びしろは大きそう。地味なタイプで今後も人気薄になりそうな馬だが、能力は確か。重賞の穴馬として警戒を続けたい存在だ。
10月1日(日)中山2R 優勝馬 オーサムストローク 指数-8 評価A
8月札幌のラヴスコールが勝利した、なかなかハイレベルな新馬戦の3着馬。次走ラーンザロープスが勝利した未勝利戦では、3着馬に3馬身半差をつけ好指数での2着。今回はデビュー3戦目、実績から当然の1番人気に支持された。
レースは3番枠からトップスタートを決めて、そのまま逃げる競馬。前日の中山芝は外から差す馬が有利な傾向で、これは苦しい形になったかと思ったが、最後の直線では後続を引き離して独走。同日に行われた2歳1勝クラスのサフラン賞で1着タイ相当の指数を記録した。
この時点で中山芝は回復していたのだろう。差し有利になると推測されたスプリンターズSが前有利になったのは、馬場の想定外の回復にあったようだ。本馬はすでに1勝クラスを突破できる指数を記録しているだけに、勝ったり負けたりしながら今後のオープン路線で活躍が期待できる。
10月1日(日)中山3R 優勝馬 ジューンブレア 指数-4 評価A
1番枠からスタートはまずまずだったが、そこからかなり押して好位の最内を追走。3~4角の最内で包まれ、直線では先頭列が壁で進路がなくピンチだったが、ラスト1Fで2番手のシャインヴィーナスにぶつかるように進路を確保すると、逃げるフィオライアを差し切って半馬身差で勝利した。
このレースでは3着馬に4馬身差をつけており、なかなかの好指数勝ちとなった。ラスト2Fは11秒5-11秒6と、ラスト1Fの減速も少なく悪くない。走破タイムは平凡なので疲労度は少ないはず。今後はなかなかの活躍が期待できそうだ。
9月30日(土)阪神3R 優勝馬 サフィラ 指数-6 評価A
きょうだいにサリオス、サラキア、サリエラと重賞で活躍している馬がズラリと並ぶ超良血。新馬戦は1番人気に支持されたが、最後の直線で2列目の最内で前が壁となり、狭いところを突こうとして内ラチにぶつける競馬ながら3着と、素質の高さは見せていた。今回はデビュー2戦目、やはり前走以上に断然の1番人気となった。ここでは試練の1番枠に入り、前走の鬱憤を晴らせるかに注目していた。
今回は好スタートを決めたが、外の馬と接触し、6頭立ての後方2番手を追走。前走同様のパターンになるのを嫌ったのか、早い段階で中目に誘導し、3~4角で外に出しながら進出。4角で一番外を回って直線で追い出されると、最後までしっかり脚を伸ばし、3馬身半差で快勝した。
未勝利クラスとしては優秀な指数を記録した。ラスト2Fは11秒0-11秒6と減速。そこまで余裕があったわけではなさそうだが、超良血馬だけにまだまだ伸びるだろう。今後が大いに期待できる。
9月30日(土)阪神4R 優勝馬 ダノンマッキンリー 指数-7 評価A
馬主ダノックス、藤原英昭厩舎、川田将雅騎手、セレクトセールで2億4,200万円。一流を寄せ集めたような馬で、ここでどのような走りをするのかに注目していた。
レースは6番枠から好スタートを決めて、行きっぷりよく2番手グループの一角を追走。そこから徐々に進出して、3角手前では単独2番手。3~4角で逃げ馬に並びかけ、4角では早々と先頭。そこからは後続を突き放していく。最後は2着馬に迫られたが、1馬身1/4差で快勝した。
今回の芝1400mの走破タイム1分21秒2は、同日同距離の古馬8R・2勝クラスと大きな差はなく、かなり優秀なもの。ただ馬場状態は後半の方が当然悪いので、指数上は単純にタイム差を評価できない。それでも新馬戦としてはかなり優秀だった。
しかし、早めに仕掛けたことでラスト2Fは11秒6-12秒1秒と減速。余裕残しでの新馬勝ちとはいかなかった。今後は多少疲れが残るだろう。バックボーンから人気の高い馬だと推測できるので、馬券的には過信しないほうが良いタイプになりそう。ただ疲れが取れて潜在能力をフルに発揮できるようになれば、かなりの活躍が見込める。
9月30日(土)阪神9R 優勝馬 サトノフェニックス 指数-13(ダート)評価A
今年のヤマボウシ賞は大注目の一戦だった。6月阪神のダ1200mの新馬戦でラスト2F12秒4-12秒5で勝利したことから高い評価をした本馬をはじめ、7月函館のダ1000mの新馬戦でラスト2F11秒6-10秒9と芝のようなタイムを記録したことで、高く評価したナスティウェザー。7月中京のダ1400mで出遅れから鬼の末脚を発揮して勝利し、高い評価となったラムジェットなど、ダートの新馬戦で優秀な走りを見せた馬が集結した。
結果は上記3頭が上位独占。しかし、期待していたほど高い指数での決着とはならなかった。ただ3頭とも潜在能力はもっと高いところにあるはず。今後のダート路線で活躍が期待できる馬たちだ。
10月1日(日)阪神2R 優勝馬 アスティスプマンテ 指数-3 評価A
阪神芝1400mの新馬戦では逃げ馬がそのまま押し切る流れの中、4角4番手から2着。4角では前3頭から置かれて位置が下がり、そこから最後に良い脚を使ったという内容で、おそらくラスト1Fのタイムはかなり速かったと推測される。
今回はデビュー2戦目。7番枠からまずまずのスタートを切って、二の脚の速さでハナを狙う形になった。内のラガービックワンが抵抗したので、それを行かせて2番手外で流れに乗る。4角では早々と先頭。直線では3~4角の外から押し上げたロゼフレアが迫ってきたが、差を詰めさせることなく、1馬身半差で完勝した。
ラスト2Fは11秒4-11秒4と減速せず。これはまだ余裕のある証拠で、かなり高く評価できる。新馬戦時に見せた最後のスピードはかなりのもの。今後は昇級戦でも即通用の能力を感じさせる。オープンや重賞でも戦える可能性もあり、かなり楽しみだ。
10月1日(日)阪神3R 優勝馬 メイショウホウレン 指数-9(ダート)評価B
1番枠からまずまずのスタートだったが、二の脚が速く、枠なりにハナを主張した。先頭を取り切ると、マイペースで折り合いながら優等生的な逃げ。終始手応え良く、直線で仕掛けられると後続をジワジワ引き離し、残り100mでは完全に独走。結果2着に5馬身差、3着以下に8馬身差をつけて圧勝した。
ラスト2F11秒8-12秒1。ラスト1Fの減速が少なく、悪くない。上がり3Fタイムの36秒0は古馬と比較してもなかなか優秀なもの。高く評価できる新馬戦の勝ち方だった。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)シリウスコルトの指数「-12」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.2秒速い
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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