【競馬】重賞に強い、妙味ある騎手を東大HCが徹底検証 2~3番人気の池添謙一、芝×内枠の鮫島克駿ほか

東大ホースメンクラブ

JRA重賞・トップ2騎手の成績,ⒸSPAIA

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重賞で強い騎手、妙味ある騎手

先週のスプリンターズSは川田騎手騎乗のママコチャが勝利。これで川田騎手は、今年に入って中央、地方、海外合わせて重賞25勝目となった。川田騎手のように重賞でその強さを発揮する騎手は数多く存在する。そこで今回は重賞で強い騎手、妙味ある騎手についてデータを探っていく。(参照するデータは2018年10月6日~2023年10月1日)。

秋の東京でルメール騎手が大暴れ

過去5年のJRA芝重賞・騎手別成績,ⒸSPAIA


<過去5年の芝重賞成績>
ルメール【67-46-30-149】勝率22.9%/連対率38.7%/複勝率49.0%
川田将雅【54—35-40-145】勝率19.7%/連対率32.5%/複勝率47.1%
松山弘平【26-17-25-177】勝率10.6%/連対率17.6%/複勝率27.8%

まずは芝重賞編。この章ではトップ3の騎手を詳しく取り上げる。

トップは堂々の67勝でルメール騎手。競馬場別成績では、東京コースが【27-17-11-42】で勝率27.8%と抜けており、さらに秋の開催(10月-12月)に限定すると【18-4—2-17】で同43.9%と勝率がグンとアップする。単勝回収率も115%を超えており、秋の東京では逆らわないのが賢明だろう。2歳重賞では平均2.7人気であるのに対し、【6-8-3-22】と取りこぼしも比較的多い。単勝回収率も34%に留まっており、逆らうならここか。

2位は川田将雅騎手。今年に入っての中央芝重賞の成績は【11-1-3-19】で勝率32.4%、単勝回収率140%と絶好調。2歳重賞での信頼度が高く、【7-6-3-11】で複勝率は59.3%とハイアベレージを記録。単勝回収率も115%とプラス域だ。コース別では、阪神外回りが【13-3-6-14】で勝率36.1%、複勝率61.1%、単勝回収率196%と圧巻の成績。一方、阪神内回りは【4-7-6-29】で勝率8.7%、単勝回収率41%と、外回りに比べ数字を落としているため注意したい。また、2500m以上では【0-3-2-15】と、意外にもここ5年で勝ち星は0。菊花賞では神戸新聞杯を制したサトノグランツに騎乗予定だが、果たしてどうなるか。

3位は松山弘平騎手。堀厩舎とのコンビが好調であり【6-1-0-6】で勝率46.2%、単勝回収率199%を記録。ヒシイグアスやタスティエーラ、ダノンベルーガなどがこのコンビに該当する。また、1番人気では【7-2-2-20】で勝率22.6%、単勝回収率66%であるのに対し、2〜3番人気では【12-5-8-18】で勝率27.9%、単勝回収率131%と1番人気より成績を上げてくるのが特徴だ。

西開催では敵なし、川田将雅騎手

過去5年のJRAダート重賞・騎手別成績,ⒸSPAIA


<過去5年のダート重賞成績>
川田将雅【7-7-2-21】勝率18.9%/連対率37.8%/複勝率43.2%
ルメール【7-4-3-18】勝率21.9%/連対率34.4%/複勝率43.8%
戸崎圭太【4-3-3-20】勝率13.3%/連対率23.3%/複勝率33.3%

次にダート重賞編。この章でもトップ3の騎手を詳しく取り上げる。

トップは川田将雅騎手だ。東開催と西開催で信頼度に大きな差があるのが特徴。西開催では【6-4-1-13】で勝率25.0%、単勝回収率109%を叩き出しているのに対して、東開催では【1-3-1-8】で勝率7.7%、単勝回収率19%に留まっている。また、騎乗馬が距離短縮ローテに該当する場合、【3-2-1-5】で勝率は27.3%、単複回収率はともに100%オーバーだ。

2位は芝重賞とランキングが入れ替わる形でルメール騎手。東京コースでは【4-2-2-10】で単勝回収率104%とベタ買いするだけでプラスだ。しかし、前走4コーナーで2番手以内だった馬では【0-0-2-4】と連に絡めておらず、ノーザンファーム生産馬に騎乗した際も【0-2-0-3】と勝ちきれていない点に注意したい。

3位は戸崎圭太騎手。4勝中、3勝が6枠から外で挙げたものであり、外枠なら信頼度アップと見て良いだろう。また、右回りでは【0-0-1-7】と苦戦する一方、左回りでは【4-3-2-13】で単勝回収率110%と好調。大箱の東京や中京コースの重賞が狙い目だ。

仕事人・池添謙一騎手

各騎手の重賞で妙味のある条件,ⒸSPAIA


<重賞で妙味ある騎手たち>
武豊×京都芝×5番人気以内【4-0-2-9】
勝率26.7%/単勝回収率162%/複勝回収率68%
M.デムーロ×芝GⅢ【12-14-6-72】
勝率11.5%/単勝回収率125%/複勝回収率84%
横山武史×中山芝×1800m以上【10-5-5-27】
勝率21.3%/単勝回収率151%/複勝回収率94%
池添謙一×2〜3番人気【10-7-2-18】
勝率27.0%/単勝回収率186%/複勝回収率105%
鮫島克駿×芝×1〜4枠【5-2-7-42】
勝率8.9%/単勝回収率216%/複勝回収率117%

この章では、その他の騎手の妙味ある条件について取り上げてゆく。

まずは、レジェンド・武豊騎手。広く知れ渡っている通り、京都競馬場での成績が抜群だ。特に芝重賞で5番人気以内の馬に騎乗すると、勝率26.7%、単勝回収率162%で単系馬券における信頼度が非常に高くなる。また、芝重賞で逃げ馬に騎乗した際は【5-1-2-13】で勝率23.8%、単勝回収率192%とこちらも要警戒だ。京都コース、逃げ馬、4番人気と条件の揃った、今年の葵Sのモズメイメイでの勝利は必然だったと言えるだろう。

次に取り上げるのは、M.デムーロ騎手。2017年にはGⅠレースで10戦連続3着以内を記録するなど、勝負強いイメージのある同騎手。しかし、ここ5年の芝GⅠでは【8-3-6-67】で勝率9.5%、単勝回収率74%と、以前に比べるとやや低調だ。狙い目は意外にも芝のGⅢ。【12-14-6-72】で勝率11.5%、単勝回収率は125%と黒字域をマークしている。

現役屈指の若き中山マイスター・横山武史騎手は、中山芝重賞で【10-5-7-43】で勝率15.4%、単勝回収率109%と優秀な成績。1800m以上の重賞に限定すると、【10-5-5-27】で勝率21.3%、単勝回収率151%と妙味、勝率の両方がさらにアップする。1800m以上では絶好調である一方、意外にもマイル以下のレースでは【0-0-2-16】と連にすら絡めていない。

大舞台に強いといえばこの男、池添謙一騎手。今年の宝塚記念は10番人気のスルーセブンシーズで圧倒的1番人気のイクイノックスを徹底マークし2着に入るなど、有力馬をマークする騎乗に定評がある。そのため、1番人気馬をマークする立場の2~3番人気馬に騎乗したときの成績が抜群に良い。実際、1番人気では【3-2-1-11】で勝率17.6%、単勝回収率51%である一方、2~3番人気では【10-7-2-18】で勝率27.0%、単勝回収率186%を記録している。

最後に取り上げるのは鮫島克駿騎手。内有利の馬場状態での立ち回りには目を見張るものがある。コナコーストでリバティアイランドをあと一歩まで追い詰めた桜花賞での騎乗には彼の強みが詰まっていると言えるだろう。そのため内目の枠から巧く立ち回って穴を開けることが多く、芝重賞で4枠から内の枠に入った際は【5-2-7-42】で単勝回収率216%、複勝回収率117%と妙味十分の成績を残している。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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