【2歳馬ジャッジ】強い相手を持ち前のスタミナで負かしたテリオスサラ 強みを生かせる舞台で活躍に期待

山崎エリカ

9月4週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

9月4週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は3着以下に8馬身半差をつけたサフランヒーローやスタミナ豊富なテリオスサラなどが出た、9月23、24日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

9月23日(土)中山1R 優勝馬 サフランヒーロー 指数-9(ダート) 評価A
デビューからの2戦は芝で2、2着。デビュー3戦目にして初めてダートに出走してきた。ここまでの成績は未勝利クラスとしては文句なしだが、ダートは未知数。どうなるかと見ていいた。

今回1番人気に支持されたのはベルウッドワン。芝の新馬戦は大敗したが、初ダートの前走で3着馬に7馬身差をつけ、なかなかの好指数で2着に入っていた。

レースはサフランヒーローが12番枠から好スタートを決め、芝部分でスピードに乗せて外の2番手をキープ。内からハナを主張したベルウッドワンをマークした。最後の直線では2頭で後続を引き離し、完全なマッチレース。最後は追う者の強みで本馬が先着。3着馬に8馬身半以上の差をつけ、好指数を記録した。

ダート適性が高く、今後の同路線での活躍が楽しみとなった。2着ベルウッドワンは運が悪かった。未勝利クラスでは明らかに指数上位の存在で、順調ならこのクラスはすぐに突破するだろう。

9月24日(日)中山3R 優勝馬 テリオスサラ 指数-6 評価A
単勝オッズは本馬が2番人気で、1番人気は単勝オッズ1.2倍のスパークリシャールだった。同馬は新馬戦でマーゴットソラーレの2着、次走の未勝利戦では後の札幌2歳Sの優勝馬セットアップの2着となり、1クラス上でも通用する指数を記録していた。よって、未勝利クラスでは最強クラスと言える存在で、納得の支持率だった。

レースはそのスパークリシャールが逃げる形。最後の直線ではそのまま押し切りを狙ったが、道中2番手を追走していたテリオスサラがラスト1Fで抜け出して勝利した。スパークリシャールはなんとか2着を死守したが結果的には逃げたことが裏目となった。そして前走の高いパフォーマンスの疲れが残っていたのだろう。

セットアップは前走からさらに上昇して札幌2歳Sを勝ち、スパークリシャールは疲れが残って凡退。この辺の見極めが2歳戦の最も面白いところでもあり、難しいところでもあると言えるだろうか。

今回勝利したテリオスサラは新馬戦3着から大きく前進。4着以下には5馬身以上の差をつけており、なかなかの好指数を記録した。牝馬ではあるがスタミナは十分。昇級後も面白い存在となりそうだ。

9月24日(日)中山5R 優勝馬 シュバルツクーゲル 指数-4 評価A
7番枠から少しアオってやや出遅れたが、そこから挽回して2番手を追走。なだめつつではあるが、折り合いは付いていた。3角手前で1番人気のカニキュルが上がって来たので、それに抵抗するように3~4角で進出して逃げ馬に並びかけた。直線序盤で先頭に立ち、押し切りを狙ったが、カニキュルが食らいついてきた。展開的には同馬が有利に見えたが、最後に本馬がもうひと伸びして勝利した。

ラスト2Fは11秒5-11秒6。最後のジワジワながらのもうひと伸びが数字にもよく出ている。上がり3Fタイム35秒0は、同日の中山芝の中ではかなり優秀。芝2000mの新馬戦で2番手から記録した上がりであることを考えれば、さらに高く評価できる。現状トップスピードがやや足りない印象はあるが、長く良い脚を使えるだけに、将来的には重賞も十分に狙えそうだ。スタミナを問われるハイペースの混戦ならば、意外と早く素質が開花するかもしれない。

9月23日(土)阪神1R 優勝馬 サンライズジパング 指数-8(ダート)評価B
6月東京芝のダノンエアズロックが勝利した新馬戦では好位から伸びずバテずの4着。今回はデビュー2戦目で、初ダートながら1番人気に支持された。確かに大きな馬体で前肢の掻き込みが強いフットワークから、芝よりもダートのほうが合う印象はあった。

レースは1番枠から五分のスタートを切って好位を取ったが、1角で外に張りそうになるのを抑えて中団から。枠なりに最内からじわっと上がり、3角では2列目に進出した。3~4角で前との差を詰め、4角で外に誘導しようとしたところで、外に膨れてノイヤーヘルトと接触。同馬の体勢を崩す形になったが、それが壁になったことでそこまで大きく膨らむことなく、先頭列に並びかけた。直線ではジワジワと後続を引き離し、ダート経験馬たちを相手に4馬身差をつけて快勝した。

ラスト2Fは12秒8-13秒1とまずまずだが、芝の新馬戦で見せたようなフットワークの空転感がない。やはりダートが合うのだろう。レースぶりに気性面の若さを残すが、使われながらダート路線での上昇が期待できる。

9月24日(日)阪神4R 優勝馬 ソニックスター 指数-5(ダート)評価B
阪神ダ1800mの新馬戦。出馬表を見てまず目についたのは、BCディスタフを優勝したマルシュロレーヌの半弟に当たるマルチャレアルだ。姉は芝から使いだしたことがダートでの大飛躍に繋がったが、弟はダートでデビュー。さて、成長曲線はどうなるか、といったところだ。

また今回はマルチャレアルが支持を集めるものと見ていたが、1番人気は本馬。今をときめく木村哲也厩舎に鞍上は川田将雅騎手ではあるが、よほど調教で動いているのか、よほどの素質馬なのかと興味が湧いた。

レースは1番枠から好スタートを決めたが、外から被されるとキックバックを嫌がるところを見せたため、位置を下げて中団中目を追走。向正面序盤で外に出し、3~4角は外を回る。4角で気合を付けると、直線では長く良い脚で捻じ伏せるように伸び、ラスト1Fで差し切った。

ラスト2Fは12秒3-13秒0と期待ほどではなかったが、自身の上がり3Fタイム37秒5は同距離の古馬たちと比較しても悪くない。昇級してすぐとなるとなんとも言えないが、ジワジワと地力をつけていきそうなタイプだ。

9月24日(日)阪神5R 優勝馬 ショウナンラプンタ 指数-4 評価A
3番枠からバランスを崩して出遅れたが、そこからの脚は遅くなく中団を追走した。1~2角でやや外に張ったが、道中は折り合って脚をため、3~4角の外から進出開始。4角でもやや張って直線序盤で置かれたが、豪快なムチが飛ぶとその檄に応えてジワジワと脚を伸ばし、後続に2馬身半差をつけて勝利した。

ラスト2Fは11秒6-11秒7。ほぼ減速せずに勝利できたことは評価できる。出遅れ、コーナーでやや外に張りながらも長く良い脚を使っての勝利から、スタミナがかなりありそう。使われながら地力をつけ、上を目指す馬となりそうだ。

2023年9月4週目の2歳馬PP指数,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)テリオスサラの指数「-6」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.6秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

《関連記事》
【2歳馬ジャッジ】セットアップが札幌2歳SをGⅠ馬級の指数で制す 他の出走馬も重賞で活躍可能
【2歳馬ジャッジ】ボンドガールは牝馬クラシックで活躍できる逸材 2023年も開幕週から大物出現
【2歳馬ジャッジ】非凡な瞬発力が魅力的なヒヒーン 高額馬ダノンエアズロックは休養後の成長に期待

おすすめ記事