【小倉2歳S】3着以内の過半数が「新馬勝ち」 最多の好データはパッシングシャワー

門田光生

小倉2歳Sの前走クラス別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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新馬勝ち馬に注目

2023年9月3日に小倉競馬場で行われる第43回小倉2歳S。夏の最後を飾る2歳重賞戦。馬場の荒れた最終日に行われる影響なのか、外枠の台頭が目立つレースでもある。3年連続で7枠と8枠の馬が馬券に絡んでおり、枠順も気になるところ。とはいえ、昨年は2005年のアルーリングボイス以来、17年ぶりに1枠の馬が勝利した。基本は外枠有利と組み立てても、決めつけるのもあまりよくないかもしれない。

そんな小倉2歳Sにはどのような傾向があるのか。今回も過去10年の成績を基にして検証していきたい。

小倉2歳S出走馬の所属,ⒸSPAIA


☆所属
美浦所属馬が小倉に滞在するケースが減ったこと、そして2歳馬にとって長距離輸送はリスクが大きいこともあるようで、ここ10年で美浦所属馬は11頭しか出走していない。馬券に絡んだのは2016年の2着馬ダイイチターミナルと、同年3着馬カシノマストの2頭。ちなみに、この2016年は美浦所属馬が4頭(近10年で最多)出走していた。今年はマニーブルースだけで、美浦所属馬が1頭だけというのは、3年連続となる。

小倉2歳S出走馬の性別,ⒸSPAIA


☆性別
性別成績は5勝、2着5回と全くの五分。新潟2歳Sは牡馬優勢だったが、距離が短い方が性別による差が出づらいのかもしれない。

小倉2歳S出走馬のキャリア,ⒸSPAIA


☆キャリア
キャリア1戦の馬が6勝、2着5回と優勢。これは新潟2歳Sと同じで、キャリアの数より素質、ということなのだろう。キャリア2、3戦まで勝ち馬が出ているが、4戦を超えると馬券に絡んだ馬がいなくなる。これを牝馬に限定すると、キャリア3戦以上で馬券に絡んだ馬はいない(今年はキャリア2戦以下の馬のみ)。

小倉2歳S出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA


☆前走クラス
キャリア1戦の馬が優勢ということで、前走クラスも新馬戦だった馬が6勝、2着5回と優勢。続いてオープン組が3勝、2着2回、未勝利組が1勝、2着3回と続く。GⅢ組(函館2歳S)から連対馬は出ていない。

小倉2歳S出走馬の前走場所,ⒸSPAIA


☆前走場所
このレースと同じ小倉で走っていた馬が8勝、2着も7回と圧倒的。ただ、出走頭数も100頭を超えており、勝率ではそれほど目立たない。勝率が最もいいのは中京組。といっても、勝ち馬が出ているのは小倉と中京組だけである。連対馬に枠を広げると、これに福島と阪神が加わる。函館、新潟組から連対馬は出ていない。

小倉2歳S出走馬の前走距離,ⒸSPAIA


☆前走距離
馬券に絡んだ30頭中、29頭が前走で芝1200mを走っていた。さすがにこれは外せない項目。他路線から馬券に絡んだのは2015年の1着馬シュウジ(前走芝1600m)だけだ。

小倉2歳S出走馬の前走着順,ⒸSPAIA


☆前走着順
馬券に絡んだ30頭中、28頭が前走1着馬。これも前走距離と同様、満たしておきたいデータ。前走で負けて、小倉2歳Sで馬券に絡んだのは2017年2着馬アイアンクロー(3着、フェニックス賞)と、2020年3着馬フォドラ(4着、函館2歳S)だけだ。

 小倉2歳Sにおけるその他のデータ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になったデータを挙げていく。連闘馬は19頭が該当して、連対したのは2022年のバレリーナ(2着)だけ。その前が2012年のクラウンレガーロ(2着)だから、10年に1頭の周期で出現していることになる。覚えていればの話だが、2032年の連闘馬には注意したい。また、前走5番人気以下だった馬から連対馬が出ていない。前走時点である程度能力を評価されている必要があるようだ。

同じく、前走をダートで走っていた馬、そして九州産からも連対馬は出ていない。最後に馬体重。前走で440キロ以下だった馬から勝ち馬は出ていない。


サマー開催を締めるのはパッシングシャワー

小倉2歳Sのデータをまとめてみよう。

【好走データ】
A「前走が新馬orオープン」

【勝ち馬なし】
B「美浦所属」
C「前走が1着以外」
D「前走馬体重440キロ以下」

【連対馬なし】
E「前走が函館か新潟」
F「前走が5番人気以下」
G「前走がダート」
H「九州産馬」

今回の登録馬は12頭。このうち、新馬1着、もしくはオープン組が6頭いて、うちテイエムチュラランは連対馬の出ていないH「九州産馬」に該当するので除外。残ったのは5頭だが、今回のデータ上では横一線。そこで、最近(2018~2022年)のデータを使って比較してみる。

まず性別だが、近10年と同じで連対数は互角。ただ、勝率、連対率では牡馬のほうが優勢となっている。続いて前走人気。近10年では1~4番人気まで1、2着馬が出ていたが、近5年だと勝ち馬が出ているのは前走1~3番人気まで。近5年では、前走1~3番人気をプラスデータとして扱いたい。前走で走った場所は、勝ち馬が出ているのは中京と小倉で、連対馬に広げると、これに阪神が加わる。最後に誕生月で、これは近5年でより大きな差が出ていたので取り上げる。その結果だが、勝率、連対率がいいのは3月>2月>4月の順となる。

これを踏まえて残った5頭、キャンシーエンゼル、セイウンデセオ、パッシングシャワー、ビッグドリーム、ミルテンベルクを比べてみる。牡馬、前走3番人気以内、デビュー場所が中京、小倉、阪神、そして3月生まれのすべてを満たしているのはパッシングシャワーだけ。今回はこれを本命とする。

続いて3つを満たしたビッグドリーム(性別、人気、誕生月)とミルテンベルク(性別、人気、前走阪神)。どちらを上に取るかだが、近5年で見た場合、前走阪神組は勝ち馬こそ出ていないが、連対率50%、複勝率75%とかなりの高確率で馬券に絡んでいる。ということで、前走阪神組のミルテンベルクが◯、ビッグドリームが▲とする。

以下は他路線を入れることも考えたが、近5年で成績がいいのは、やはり新馬組とオープン組。オープン組のテイエムチュラランは連対経験がない九州産馬で印を入れづらいとなると、新馬組は入れておきたい。新馬勝ちのキャンシーエンゼル(人気、前走中京)、そしてセイウンデセオ(前走小倉)を押さえ候補としたい。

◎パッシングシャワー
◯ミルテンベルク
▲ビッグドリーム
△キャンシーエンゼル
×セイウンデセオ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
今週のレースから9月に突入。この夏は3回ほど体調を崩しましたが、大きく落ち込むところまでいかず、なんとか踏ん張れました。ここまでクーラーをつけっぱなしで寝た回数は、なんとゼロ。扇風機様々の夏でした。

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