【小倉2歳S】注目はデビュー戦圧勝のビッグドリーム 同舞台組なら上がり最速のパッシングシャワー
勝木淳
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小倉新馬は昨年22レース、今年は11レース
今年の夏の小倉は4週間で幕を閉じる。昨年までは7月の中京が代替されていたので日数的な縮小はなかったが、今年は通常スケジュールに戻ったため、コンパクトな日程になった。したがって、新馬戦は昨年22レースに対し、今年は最終日までに11レースしか組まれていない。
小倉2歳Sと同じ舞台の芝1200m7レースのうち、九州産限定が2レース、牝馬限定戦が1レースなので、九州産以外の牡馬には4レース(うち1レースは小倉2歳Sと同週)しか選択肢がなかった。当然、地元デビュー馬は詰まった間隔での重賞挑戦になる。今年は他場からの転戦馬にも気を配りたいところだ。データは過去10年分を使用する。
1番人気は【2-3-0-5】勝率20.0%、複勝率50.0%と若干信頼度が低いものの、2番人気【2-1-1-6】勝率20.0%、複勝率40.0%、3番人気【3-1-1-5】勝率30.0%、複勝率50.0%など勝ち馬9頭が4番人気以内。比較的上位人気は堅実だ。残り1勝は2014年15番人気のオーミアリス。以前は大荒れ重賞であったが、近年は上位人気が安定して走るようになりつつある。
同じ小倉芝1200mでも新馬と未勝利の傾向は違う
夏の開催日数が少ないことも手伝い、今年はそれほど多頭数にならない。展開が激しくなって紛れが生じるといったことがなさそうな点も、ある程度上位人気同士で決まる予感を抱かせる。中京の未勝利圧勝のアスクワンタイム、福島の新馬をワンサイド勝ちしたビッグドリーム、阪神デビューのミルテンベルクらに前走小倉のドナヴィーナス、パッシングシャワーらがどこまで戦えるか、そんな構図になりそうだ。
前走新馬【6-5-7-43】勝率9.8%、複勝率29.5%、未勝利【1-3-1-31】勝率2.8%、複勝率13.9%で基本的にはデビュー2走目の新馬組が優勢だ。フェニックス賞を勝ったシカゴスティングは秋に備えるようなので、今年は1勝馬同士の戦いになる。
前走新馬のコース内訳は、同舞台の小倉芝1200mが【5-4-4-29】勝率11.9%、複勝率31.0%だが、開催日数が少ない今年はこれがどこまで信用できるだろうか。であれば、サンプル数は少ないが、中京芝1200m【1-0-1-3】勝率20.0%、複勝率40.0%や阪神芝1200m【0-1-1-1】複勝率66.7%あたりの出番もありそうだ。
ビッグドリームの福島芝1200mは【0-0-0-1】なので参考にならない。しかし、血統通り調教で猛時計を叩き出す典型的なスプリンタータイプで、ここを突破できれば将来、非常に楽しみな存在になれる。そういった点でも注目だろう。
小倉芝1200m新馬組は、前走逃げ【1-2-1-15】勝率5.3%、複勝率21.1%、先行【4-1-3-10】勝率22.2%、複勝率44.4%。スピードで勝負した馬のなかでも、ひと溜めできた馬の方が重賞で好走する。そうなると、上がり最速で勝ち上がったパッシングシャワーが候補だ。
前走未勝利組は小倉芝1200m【1-1-1-20】勝率4.3%、複勝率13.0%、福島芝1200m【0-1-0-0】、阪神芝1200m【0-1-0-0】、中京芝1200m【0-0-0-3】なので、小倉組ではなく、他場に狙いを定めても面白い。ただアスクワンタイムの中京芝1200mは好走がない。たった3頭だが、4、4、5番人気とそこそこ評価された馬ばかりなので、注意しよう。
小倉芝1200mの未勝利戦だった馬は新馬とは異なり、逃げ【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%、先行【0-0-0-7】、中団後方【0-0-0-6】と逃げ切ってきた馬しか馬券に絡んでいない。デビューから2戦続けて逃げを打ったドナヴィーナスがこのデータに一致する。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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