【札幌記念】札幌開催の過去9回で1番人気0勝 データは前走・安田記念のジャックドールが一歩リード

勝木淳

2023年札幌記念に関するデータ,ⒸSPAIA

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1番人気は未勝利 割り切りが必要か

札幌記念と聞けば、なんとなく夏競馬の終わり、そして秋を意識させる。有力GⅠ馬の始動も徐々に報じられ、札幌記念にも秋のGⅠを目指す馬たちが顔をそろえる。今年の夏は自然の強烈なプレッシャーを受ける日々が続くが、それでも夏は短く、札幌記念が終わるころには、きっと秋を感じる心地よい風も吹いてくれるだろう。データは札幌で行われた過去9回分を使用する。

札幌記念の人気別成績,ⒸSPAIA


GⅠ馬の参戦もある夏場の豪華GⅡではあるものの、1番人気は【0-4-3-2】複勝率77.8%と未勝利なのは気になる。データ期間内だと、ゴールドシップ、トーホウジャッカル、モーリス、マカヒキ、フィエールマン、ラッキーライラック、ラヴズオンリーユー、ソダシと錚々たる馬たちが敗れた。やはり始動戦のここは、わざわざ仕上げて勝たなくてOK、秋へつながればいい、という使う側のニュアンスを我々も察知して挑みたい。

とはいえ、2番人気【4-1-0-4】勝率44.4%、複勝率55.6%、3番人気【2-0-0-7】勝率、複勝率22.2%と上位人気は手堅く、単勝はせいぜい5、6番人気まで。7番人気以下の複勝圏内も散見されるものの、特筆すべき数字ではない。

札幌記念の年齢別成績,ⒸSPAIA


3歳【2-0-1-5】勝率25.0%、複勝率37.5%のうち、トップナイフと同じ前走日本ダービーは【0-0-1-3】複勝率25.0%。16年レインボーラインがダービー8着から3着に巻き返した。

古馬は4歳【3-0-2-24】勝率10.3%、複勝率17.2%を中心に、5歳【2-6-4-27】勝率5.1%、複勝率30.8%、6歳【2-1-1-23】勝率7.4%、複勝率14.8%、それから7歳以上【0-2-1-23】複勝率11.5%をケアしよう。今年の主軸はジャックドール、プログノーシス、シャフリヤールら5歳勢。ダノンベルーガやマテンロウレオら4歳勢はどこまで迫れるだろうか。

札幌記念の枠番別成績,ⒸSPAIA


気になるデータに枠番別成績がある。1枠が【4-0-1-7】勝率33.3%、複勝率41.7%と目立つ。残るは2、5、6、7、8枠が1勝ずつなので、内外云々ではなく、極端に1枠が強い。もちろん、複勝率まで丁寧にみていくと、2枠30.8%、3枠26.7%、7枠5.6%、8枠16.7%なので、基本は内枠がいい。

札幌芝は函館と比べても、コーナーが大回りで、コースに占めるコーナーの割合が大きい。コーナーが緩い分、勝負所での加速もスムーズだが、インを回る距離ロス軽減度合いも高い。極力インコースで立ち回れる1枠優位はそんな事情もありそうだ。

安田記念5着以内【2-2-0-1】

好走ゾーンのひとつに白帽子があることを頭に入れつつ、ここからは前走成績を参考に好走傾向を具体的に探していく。

札幌記念の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別成績をみると、GⅠ馬の始動戦らしく前走GⅠ【5-6-6-21】勝率13.2%、複勝率44.7%が優勢だ。一方、前走海外は【0-1-1-9】とやや結果を残せていない。プログノーシスの香港クイーンエリザベス2世Cは【0-1-0-1】で、2着はQE2を勝ったラヴズオンリーユー。同馬はその後、ブリーダーズCフィリー&メアターフ、香港Cと連勝した。

また、ドバイ組はシャフリヤール、ウインマリリンのドバイシーマクラシックは【0-0-1-3】で、同レース6~9着【0-0-1-2】。18年モズカッチャンがドバイSC6着から3着と着順をあげた。6着だったウインマリリンがデータに一致する。5着シャフリヤールとともに再浮上のきっかけをつかみたいところだ。ダノンベルーガのドバイターフ(以前はデューティーフリー)は【0-0-0-3】も、いずれも凡走馬で、2着ダノンベルーガは安易に当てはめられない。

札幌記念の前走レース別成績(GⅠ),ⒸSPAIA


話を国内GⅠから来る馬たちに戻そう。前走GⅠのレース別内訳をみると、ジャックドールの安田記念は【2-2-1-4】勝率22.2%、複勝率55.6%。GⅠのなかでも出走間隔が詰まったレースだが、やはり距離以上の総合力を必要とする東京マイル戦と他場の2000mは親和性が高い。安田記念5着以内は【2-2-0-1】と好成績で、ジャックドールには追い風となる。おそらく1番人気に支持されそうなので、11年トーセンジョーダン以来の1番人気勝利となるだろうか。

ヒシイグアスらの大阪杯は【1-0-1-4】勝率16.7%、複勝率33.3%も5着以内が【1-0-1-2】。マテンロウレオ、アフリカンゴールドの天皇賞(春)は【0-0-1-2】。間隔も開けば、距離も1200m短縮されるとあって、なかなか好走は難しい。ただ、マテンロウレオはきさらぎ賞をはじめ、重賞好走が2000、2200mに集中する中距離タイプであり、距離短縮はのぞむところだろう。

札幌記念の前走レース別成績(GⅢ),ⒸSPAIA


対して格下の前走GⅢは【3-1-2-47】勝率5.7%、複勝率11.3%とややつかみにくい。そこでレース別内訳をみると、函館記念【2-1-1-29】勝率6.1%、複勝率12.1%が取捨選択を難しくしていることがわかる。ここは6~9着【2-1-0-7】、10着以下【0-0-0-7】なので、ヤマニンサルバムら大敗組は苦しそうだ。

ソーヴァリアントの鳴尾記念は【0-0-1-3】だが、21年8番人気3着ペルシアンナイトは鳴尾記念4着。12着ソーヴァリアントは一気に巻き返せるだろうか。なお、ウインマイティーの前走マーメイドSは出走例がない。

札幌記念に関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。


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