【ドバイWCデー】昨年のダービー馬と年度代表馬が世界へ挑む 日本馬出走予定のドバイ6競走を展望
SPAIA編集部
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
ドバイワールドカップデーに日本馬が参戦
2023年3月25日の日本時間深夜、ドバイのメイダン競馬場で「ドバイワールドカップデー」が開催される。今年もJRAによる馬券発売が行われるドバイゴールデンシャヒーン、ドバイターフ、ドバイシーマクラシック、ドバイワールドカップのGⅠ・4競走に加え、GⅡのゴドルフィンマイル、UAEダービーの計6競走に27頭の日本馬が参戦を予定している。
昨年はドバイシーマクラシックをシャフリヤールが制するなど、8競走で日本馬が5勝という歴史的な一日になった。再び「日本馬強し」を世界にアピールすることはできるか。日本からの出走予定馬と、ライバルと目される海外勢を紹介していく。
まだ日本馬が勝っていないカテゴリ ドバイゴールデンシャヒーン
ダート1200mのドバイゴールデンシャヒーンは日本馬がまだ勝ったことのないカテゴリ。しかしながら直近はマテラスカイ、レッドルゼル、レッドルゼルと3回連続(2020年は中止)で2着と、もうすぐ手の届くところまでは来ている。
日本からはそのレッドルゼルに加え、フェブラリーS勝ち馬レモンポップ、カペラSを勝ったリメイク、そして矢作芳人厩舎のジャスティンが参戦予定。レモンポップの充実ぶりも魅力的ではあるが、海外遠征やメイダンの馬場、1200mへの経験値という意味ではレッドルゼルに利がある。
対する海外馬は、まずアメリカの名門・S.アスムッセン厩舎が送り出すガナイトに注目。リヤドダートスプリントではエリートパワーに離されたものの2着を確保した実力馬だ。昨年のBCダートマイルでは4着に敗れているが、7F以下での安定感は抜群で、1200mの今回は本領発揮だろう。地元UAE、前年覇者のスイッツァランドも、10か月ぶりの実戦復帰となったGⅢ・ドバウィSをしっかりと勝っての参戦。9歳セン馬だが大きな衰えはないか。ただ、この2頭を除けばブックメーカーの上位人気もおおむね日本馬が占めており、待望の初勝利も十分期待できる相手関係だ。
日本ダービー馬が堂々主役 ドバイターフ
芝1800mのドバイターフは、かつて「ドバイデューティーフリー」の名称だった一戦。日本馬が得意とするレースで、特に2014年以降は5勝2着3回と毎年のように上位争いを演じている。
ここはなんといっても昨年のダービー馬・ドウデュースが筆頭格。フランス遠征では結果が出なかったが、今期初戦の京都記念は開幕週で内有利の馬場も問題にせず圧勝。左回り1800mという条件に替わることも歓迎だ。加えて、そのドウデュースと朝日杯FS以来の再戦となるセリフォス、GⅠで惜しい競馬の続くダノンベルーガ、このレース2着、3着の実績があるヴァンドギャルドと、日本馬4頭はいずれも実力のあるメンバーだ。
海外勢はこのレース2連覇中のロードノースも侮れないが、マスターオブザシーズを要警戒。前哨戦のジェベルハッタは3着に敗れたものの、直線の伸びは1頭際立っていた。日本勢をおびやかす存在はこの馬と見る。
年度代表馬の始動戦 ドバイシーマクラシック
芝2410mのドバイシーマクラシック。同じ芝のレースでも「ターフ」に比べると日本勢はやや苦戦気味で、GⅠ昇格以降ではハーツクライ、ジェンティルドンナ、シャフリヤールの3勝だけ。ドゥラメンテやクロノジェネシスでも敗戦を喫している。
今年は日本からイクイノックス、シャフリヤール、ウインマリリンの3頭が出走。なかでも海外ブックメーカーがこぞって1番人気に推すのが昨年の年度代表馬イクイノックス。説明不要だろうが、天皇賞(秋)は上がり32.7秒をマークして差し切り、有馬記念は中山不安説も一蹴する圧倒的な内容だった。もちろん、連覇を狙うシャフリヤールも、香港ヴァーズ勝ち馬ウインマリリンもワールドクラスの馬であることは間違いない。
海外勢は上位人気想定だったエミリーアップジョンが回避を表明し、5連勝中のBCターフ勝ち馬レベルスロマンスが最大のライバル。ただ、こちらは前哨戦として予定していたドバイシティーオブゴールドカップを前肢の炎症で回避しており、順調さを欠いた臨戦過程である。日本勢にとってチャンスの大きい一戦と言える。
大挙8頭出しで砂の本場に挑む ドバイワールドカップ
メインカードであるダート2000mのワールドカップ。2011年にヴィクトワールピサ、トランセンドの日本馬ワンツーがあったレースだが、当時はオールウェザーでの施行。ダート開催では本場アメリカの強豪に押され気味となっている。
今年は日本馬がなんと8頭出し。出走予定馬15頭の過半数を占める情勢だ。超高額賞金のサウジカップを制したパンサラッサは馬場への適性を証明済みで、引き続き日本馬のなかでは最有力視されるだろう。
次いで注目馬を2頭挙げるならヴェラアズールとウシュバテソーロ。ヴェラアズールはジャパンCを鋭い差しで制した芝GⅠ馬。海外の軽いダートで戦うには芝でも通用するようなスピードが必要、とは多々言われることで、芝実績とダート経験を併せ持つ同馬のチャレンジは興味深い。ウシュバテソーロはダート転向で6戦5勝。一気に地方交流ダート路線の頂点まで登り詰めた。国内プールの馬券発売でもおそらく伏兵評価に留まりそうだが、海外遠征に強いステイゴールドの血が後押しとなるはずだ。
ほか、サウジからの転戦となるカフェファラオ、ジオグリフ、クラウンプライド、ジュンライトボルト、川崎記念2着テーオーケインズが出走予定。
海外勢はまず前年覇者・アメリカのカントリーグラマーが強敵。あとはステップレースのアル・マクトゥームチャレンジラウンド1、アル・マクトゥームチャレンジラウンド2をどちらも圧勝したアルジールスも6歳にして急上昇だ。特に後者は2戦とも早め先頭からの押し切りというスタイルであり、パンサラッサにとっては展開面でも厄介な存在になる。
ゴドルフィンマイル&UAEダービー
その他、JRAによる馬券発売がないGⅡ競走2レースにも日本馬が参戦予定。
ダート1600mのゴドルフィンマイルにはバスラットレオン、ラウダシオン、ウインカーネリアンの3頭がエントリーしている。ウインカーネリアンは駐立不良で自分の形に持ち込めなかったマイルCSを除けば近走は勝ちっぱなし。馬場適性はやってみないと分からない面もあるが、好勝負になっていい。
3歳限定・ダート1900mのUAEダービーにはコンティノアール、ドゥラエレーデ、ゴライコウ、デルマソトガケ、ペリエールがスタンバイ。こちらも2歳芝GⅠ馬・ドゥラエレーデの挑戦が面白い。パンサラッサをはじめ、ヴェラアズール、ジオグリフ、ウインカーネリアンなど「芝実績馬でメイダンのダートに挑む」というのが今年のテーマの一つといえそうだ。
競馬ファンにとっては寝不足必至のドバイワールドカップデー。各馬の無事を大前提として願いつつ、充実した一日となることを大いに期待したい。
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