【高松宮記念】戦国桶狭間の電撃戦 勝つのは決め手鋭いナムラクレアだ!

勝木淳

高松宮記念インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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昨年の1~5着がそろって登録

昨年は雨上がりの快晴のもとで行われた高松宮記念。内が絶対有利の馬場状態のなか、前後半600m33.4-34.9のハイペースを、ナランフレグが4コーナー14番手からインを突き切って混戦を断った。5着までクビ、ハナ、クビ、クビの大接戦。ひとつなにかを間違えれば結果は変わってもおかしくなかった。

その5頭が今年もそろって参戦予定で、5頭の順位づけだけでも難しい。GⅠ馬は昨年覇者ナランフレグと2年前のスプリンターズS勝者で1年3カ月ぶり出走のピクシーナイト、朝日杯FS勝ち馬グレナディアガーズの3頭しかおらず、非常に推理しがいのあるレースだ。データは過去10年分を使用する。


過去10年高松宮記念人気別成績,ⒸSPAIA


春のスプリント王決定戦は開催時期的なものか、休み明けに前哨戦をひと叩きしてここへという手順を踏む馬が多い。前哨戦を比較できるなど検討材料がしっかりしているわりに1番人気は【2-1-2-5】勝率20.0%、複勝率50.0%と微妙。ただでさえ混戦模様の路線だけに、1番人気を中心に考えづらいところがある。

2番人気【2-4-0-4】勝率20.0%、複勝率60.0%、3番人気【2-1-3-4】勝率20.0%、複勝率60.0%で1~3番人気は互角。以下、4~9番人気はほぼ横一線で、10番人気以下も【0-1-4-84】複勝率5.6%。昨年、17番人気キルロードが3着だったように、馬券は手広く組み立てないと抜けてしまう。


過去10年高松宮記念年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別では4歳【3-2-3-30】勝率7.9%、複勝率21.1%、5歳【4-3-3-36】勝率8.7%、複勝率21.7%のふた世代に対し、6歳も【2-5-3-33】勝率4.7%、複勝率23.3%と3着以内なら確率は互角以上。登録20頭中、主力となる4~6歳は3/4を占める15頭もいて、絞り切れない。


決め手鋭いナムラクレア

さすがは難解な高松宮記念だけあって、人気や年齢だけでは絞りようがない。ここからは戦歴データを中心にそれぞれの前哨戦を分析し、好走馬を探っていく。


過去10年高松宮記念前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まず前走海外【2-0-1-6】勝率22.2%、複勝率33.3%は前年末の香港スプリントが【1-0-1-3】。ダノンスマッシュの連勝もあったが、香港スプリント12着レッドファルクスも3着と巻き返した。1年空いたピクシーナイトは例外で、該当馬はメイケイエール1頭。通算【7-0-0-7】と極端なメイケイエールは昨年、8枠17番という枠順に泣いた。今年の馬場はどうなるかわからないが、勝つか負けるかはっきりしたタイプで、買う方もそのつもりで取捨したい。


過去10年高松宮記念前走GⅢ組レース別成績,ⒸSPAIA


国内に目を向けると、なんといっても前走GⅢ【8-8-9-125】勝率5.3%、複勝率16.7%がカギを握る。その内訳でもっともいいのがシルクロードS【4-2-1-23】勝率13.3%、複勝率23.3%。以前は高松宮記念とは必ずしも相性がよくなかったが、間隔をとって調整する流れを受け、変化した。ただし、シルクロードSが中京で行われた21、22年は【0-0-0-7】なので、同舞台だからいいというわけではない。

シルクロードSの着順内訳は5着以内【4-1-1-16】、6着以下【0-1-0-7】で、ここ2年の不振を気にしなければナムラクレア、ファストフォース、トウシンマカオが残る。今年のシルクロードSは前後半600m33.8-33.5、短距離戦には珍しい上がり勝負だった。32.9で差し切ったナムラクレアは優秀だ。

次に阪急杯【3-2-3-38】勝率6.5%、複勝率17.4%について。こちらも4着以内【2-2-3-19】、5着以下【1-0-0-19】なので、基本は好走馬狙い。1、2着アグリ、ダディーズビビッドが残る。阪急杯5着以下から勝ったのは19年阪急杯7着ミスターメロディのみ。休み明けを叩いて、本番できっちり走らせる藤原英昭厩舎らしい臨戦過程だった。今年7着グレナディアガーズの全3勝は中4~6週でのもので、こちらも使って変わり身を見せるタイプで侮れない。

阪急杯は前後半600m33.9-34.3、2ハロン目10.6以降、ゴールまですべて11秒台が並ぶスピードレース。2番手から押し切ったアグリは残り200m地点ですでに先頭。1200m通過は1.07.6で、スプリントGⅠで通用する記録だ。


過去10年高松宮記念前走オーシャンS組着順別成績,ⒸSPAIA


昨年1、3着馬を出し、波乱を呼んだ前走オーシャンS【1-2-5-54】勝率1.6%、複勝率12.9%はもう無視できない。今年は1、2着ヴェントヴォーチェ、ディヴィナシオン、9着ナランフレグ、15着オパールシャルムが登録。着順傾向はなぜか1着【0-0-0-9】。昨年勝ち馬ジャンダルムも本番11着だった。中2週での連勝は難しく、これはヴェントヴォーチェには気になる。むしろディヴィナシオンの2着が【1-2-1-5】勝率11.1%、複勝率44.4%。また6~9着も【0-0-2-13】複勝率13.3%なので、叩き良化型のナランフレグも不気味だ。

オーシャンSは前後半600m33.4-34.0、1.07.4の好時計決着。特に後半600m11.4-11.1-11.5が優秀で、抜群の手ごたえだったヴェントヴォーチェは直線だけで2着に2馬身差、上がり33.3と急坂でも決め手は鈍らない。さらに外から迫ったディヴィナシオンも混戦で一発を秘める。

最後に昨年の上位馬を検討。まず2着ロータスランドは同じく京都牝馬Sから参戦。昨年は1着から、今年3着からの臨戦なので、そこを考慮する必要はあるが、妙味はありそうだ。3着だったキルロードはシルクロードS12着からの参戦。上がり勝負で3番手から大敗は気になるが、もともとハイペースの乱戦向きで割り切ってもいい。

4着トゥラヴェスーラは前走阪神C【0-1-0-7】の7着から。唯一の好走は阪神Cを圧勝したグランアレグリアなので比べられないが、トゥラヴェスーラ自身は常に人気以上に走る意外性に満ちたタイプ。5番人気8着後はむしろ注意だ。その阪神Cは内枠から好発後に下げて、4コーナーは大外へ。最後は脚を使うも届かなかった。勝ち馬とはわずか0.2差の大接戦で着順は気にしなくていい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。


高松宮記念インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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