【スプリングS】条件好転、連勝で重賞制覇を狙う Cアナライズからは「前走不利データ」を持つ2頭を推奨

貴シンジ

スプリングS、前走着順別成績,ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

フィリーズレビューではシングザットソングを推奨し、1番人気1着。課題だったゲートはしっかり修正され、桜花賞が楽しみになる内容だった。

さて、今回は3月19日(日)中山競馬場で行われるスプリングSについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった17頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。


重要データ:前走4着以内の馬に注目

前走着順別成績,ⒸSPAIA


重要データで取り上げるのは前走着順別成績。前走1着【6-6-5-41】、2着【2-1-3-15】、3着【1-0-0-6】、4着【1-3-1-6】、5着以下【0-0-1-34】となっていて、4着以上と5着以下でかなりの差がある。

上位人気が予想されるオールパルフェの前走は朝日杯FS6着、このデータは割引材料となる。加えて前走が芝のレースだった馬しか好走しておらず、前走ダートの馬も割引でいいだろう。

【前走5着以下、もしくはダートの出走予定馬】
・アヴェッリーノ
・オールパルフェ
・グラニット
・シーウィザード
・ドンデンガエシ
・マイネルビジョン


前走不利データ:セントポーリア賞のベラジオオペラ

ベラジオオペラは前走セントポーリア賞1着。同レースは初角の通過順位が重要なデータだ。過去10年、初角1番手だった馬の成績は【0-2-0-8】となっていて勝ち馬が出ていない。スローペースになりやすいレースだが、逃げ、先行の競馬で東京芝1800mを押し切るのは3歳馬にとって難易度が高いということだろう。

ベラジオオペラは初角1番手だったためこのデータに該当したが、しっかり押し切って勝利。今年は前に行った馬たちが崩れていただけに、例年以上に価値のある勝利と言える。


前走不利データ:フリージア賞のホウオウビスケッツ

ホウオウビスケッツは前走フリージア賞1着。同レースは前走距離が重要なデータだった。過去10年で開催があった7回のうち、前走1600m以下の馬は【0-1-0-8】で連対率11.1%と低く、勝ち馬は出ていない。2ハロン以上の距離延長の難しさを物語っている。

ホウオウビスケッツは前走が芝1600mだったため、このデータに当てはまっていた。しかし結果は逃げ切り勝ち。今回は1ハロン短縮となり、前走より競馬がしやすいだろう。


血統解説:セブンマジシャン、ベラジオオペラ、ホウオウビスケッツ

・セブンマジシャン
日本での牝祖は4代母ラスティックベル。本馬の祖母がクロノロジストでGⅠ・2勝のノームコア、GⅠ・4勝のクロノジェネシスの甥にあたるという良血馬だ。ラスティックベル牝系は上記2頭だけでなく、GⅠで複数回2着があるフサイチエアデールや、その産駒で朝日杯FS勝ちのフサイチリシャールなど活躍馬を多数輩出している。現在の日本で広がる牝系の中でも、上位の活力を有するファミリーと言っても過言ではないだろう。

ファミリーとしては芝適性が高く、末脚の持続性能が高いスタミナ豊富な馬が多いのが特徴だ。また仕上がりも早いため、この時期の3歳戦からも狙っていける。本馬は母父メイショウサムソンということで、タフなパワータイプ。2戦目の黄菊賞は重馬場でこの馬の良さが出た。前走の京成杯は4コーナーでまともに不利を受けてしまった。ここは改めて期待する。

セブンマジシャンの血統表,ⒸSPAIA


・ベラジオオペラ
日本での牝祖は4代母アイドリームドアドリーム。秋華賞馬エアメサイア、重賞3勝でGⅠでも何度も好走経験があるエアスピネル、皐月賞と菊花賞を制した二冠馬エアシャカールなど多数の活躍馬が出ている名門牝系だ。本馬の3代母はクイーンS勝ち馬で、牝馬三冠競走全てで3着以内と好走したエアデジャヴー。祖母エアマグダラはエアメサイアの全妹という血統背景を持つ。近親には叔父エアアンセム(父シンボリクリスエス)が函館記念勝ち、サトノヘリオス(父エピファネイア)がスプリングS3着など活力もあり、このレースへの適性も高い。

機動力があって芝中距離適性が高い馬が多いのがこのファミリーの特徴。仕上がりも早くクラシック競走の常連だ。本馬は父がロードカナロアだが、母父ハービンジャーの影響も大きく、芝中距離にぴったりなすらっとした胴伸びの良いタイプに出た。中山芝1800mはベストコースと言える。ここを勝って皐月賞へ向かって欲しい。

ベラジオオペラの血統表,ⒸSPAIA


・ホウオウビスケッツ
日本での牝祖は3代母マンファス。同馬はノーザンファームが輸入した繁殖だが、輸入前に愛国で生産されたThe Deputyがサンタアニタダービー(GⅠ・ダート9F)を勝っている。ご存知の通り日本に入ってきてからはNHKマイルとダービーの変則二冠を達成したキングカメハメハを輩出した。母父がルーラーシップで母ホウオウサブリナはマンファスの3×2という強烈なインクロスを持っているが、本馬はMr. Prospectorだけがインブリードとなる配合。しかしそれでもマンファスの影響は強いだろう。

マンファス牝系はパワーに優れた馬が多い。本馬の父はマインドユアビスケッツたがやはり母系の影響が強く、パワーで先行してそのまま押し切りという競馬を得意とする。それだけに前走フリージア賞の東京コースでの勝利には驚いた。前走はセントポーリア賞3着ジェイパームスも出走しており、レースレベルも決して低くなかった。今回は舞台好転で前走以上のパフォーマンスを期待できるだろう。

ホウオウビスケッツの血統表,ⒸSPAIA


複数の好データを持つベラジオオペラとホウオウビスケッツを推奨

今回のコンプレックスアナライズではベラジオオペラとホウオウビスケッツを推奨する。ベラジオオペラは前走1着からの臨戦という過程も評価できる。また前走不利データも持ち合わせていて、血統も良くここでは断然の本命。ベラジオオペラ同様に評価するのがホウオウビスケッツだ。こちらも適性は抜群で前走不利データも持ち合わせている。

どちらもスプリングSは適性バッチリの舞台、ゆえにこの2頭を中心に馬券を組み立てたい。人気馬の中ではセブンマジシャンも上位評価する。こちらは前走不利データを持っておらず、前述の2頭より下の評価にした。しかし、中山コースはベストな舞台でここでも十分勝ち負けだろう。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。現在はWEBサイト『ウマフリ』や『サラブレッド研究所』でも執筆を行い、競馬予想のほか一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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