【フラワーC】前走GⅢ組は苦戦傾向 新馬戦圧勝セリオーソ、良血ドナウパールが連勝狙う
勝木淳
ⒸSPAIA
1、2番人気堅実も
今年はより一層トライアルのコンセプトが変化したことを感じさせるクラシック戦線だ。かつて、フラワーCは桜花賞最終便であり、04年ダンスインザムード、06年キストゥヘヴンと桜花賞馬を輩出した時期もあった。しかし近年、ここから桜花賞に向かったのは20年0頭、21年2頭、昨年1頭と少なく、この時点では目標を桜花賞ではなく、オークスに切り替えた馬たちによる争いに変わった。
昨年フラワーCを勝ったのはオークス2着、秋華賞Vのスタニングローズ。今年もひとつ先を見ながら、馬券検討すべきレースだ。データは過去10年分を使用する。
桜花賞の先を狙う馬たちによる争いとなると、基本的には力関係がはっきりしていないケースが多く、事前の順位づけは難しい。1番人気【3-1-3-3】勝率30.0%、複勝率70.0%は中山芝1800mという舞台を考えても、健闘している部類ではないか。
2番人気も【4-2-1-3】勝率40.0%、複勝率70.0%なので、1、2番人気はアテにできる。3番人気【1-2-0-7】勝率10.0%、複勝率30.0%からは信頼度が徐々に落ち、7番人気以下は確率的にはさほど変わらない。
キャリア別では前走新馬の1戦が【2-0-0-8】勝率、複勝率20.0%。勝った2頭は前走で先行して着差0.1以上をつけて勝利していた。セリオーソは中団から差し切った形だが、着差は0.5つけており、連勝もあり得る。
好走ゾーンは2戦【2-2-3-18】勝率8.0%、複勝率28.0%、3戦【3-2-0-36】勝率7.3%、複勝率12.2%、4戦【2-3-4-13】勝率9.1%、複勝率40.9%あたり。6戦【1-2-0-10】勝率7.7%、複勝率23.1%までは大きな差はないが、7戦以上は【0-1-0-15】だ。
未勝利脱出直後の良血ドナウパール
キャリアでいえば、今年も好走ゾーンに入る馬は多数おり、これだけでは絞り切れない。そこで前走クラスから好走パターンをもっと掘り下げてみたい。
桜花賞の先を狙う馬同士となると、前走クラス別成績に大きな差が出ない。重賞経由も1勝クラス組も互角に扱うべきだろう。前走GⅢは【1-2-0-25】勝率3.6%、複勝率10.7%で中心視はできない。
前走フェアリーSは【1-1-0-5】勝率14.3%、複勝率28.6%。好走は前走2、7着馬なので、11着ヒップホップソウルもなくはないが、積極的には手を出しづらい。オープン・Lは【0-1-0-5】複勝率16.7%。好走は重賞格付け時代のアルテミスSで、エルフィンS【0-0-0-4】、紅梅Sは出走がない。
となると、前走1勝クラス【5-4-7-40】勝率8.9%、複勝率28.6%に注目。距離別でみると、1800m未満【3-0-4-16】勝率13.0%、複勝率30.4%、1800m【1-2-2-20】勝率4.0%、複勝率20.0%、1800m超【1-2-1-4】勝率12.5%、複勝率50.0%といった感じ。1800m未満は1600mが【2-0-4-11】勝率11.8%、複勝率35.3%。
単純に短縮を狙うとなると、芝2400mのゆりかもめ賞8着エメリヨンがいる。同距離だと2着ゴールデンハインド、3着ニシノコウフクのデイジー賞が該当するが、前走デイジー賞は【0-0-0-3】。たった3頭なので結論づけるのは早計だろう。
デイジー賞は開幕週の良馬場で行われたが、少しだけ力のいる馬場状態で、1000m通過1:02.5、後半800mは12.1-12.2-11.5-12.0で47.8。3番手から抜け出した2、3着馬は最後に少し苦しくなった。2着ゴールデンハインドは血統的にもう少し道中流れるレースで見直したい部分はある。
前走未勝利【2-3-1-30】勝率5.6%、複勝率16.7%も距離に注目すると、こちらは1800m未満【0-0-1-8】複勝率11.1%、1800m【2-1-0-13】勝率12.5%、複勝率18.8%、1800m超【0-2-0-9】複勝率18.2%で同舞台から距離変化なく挑む馬がいい。
母ドナウブルーの良血ドナウパールが当てはまる。前走0.3~0.5差で勝利した馬は【1-0-1-4】。ドナウパールは1000m通過1:00.1の締まった流れのなか、最後800m11.9-12.1-11.8-11.7をじわじわ追い上げ、最後は2着に0.4差つけた。小回り1800mの持続力勝負に強い。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。
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