【阪急杯】得意条件で大金星を狙う! Cアナライズからは前走不利データ「外枠」に泣いた穴馬を推奨

貴シンジ

阪急杯の前走クラス別成績,ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

フェブラリーSはドライスタウトを推奨し4着。レモンポップに上手く乗られてしまった感じもあったが、それでも逆転までは厳しかっただろう。素直に完敗という結果だった。

さて、今回は2月26日(日)阪神競馬場で行われる阪急杯について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった17頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。

重要データ:中心は前走重賞組 OP組は取り扱い注意

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


重要データで取り上げるのは前走クラス別成績だ。好走の中心は前走重賞組。GⅠ【1-1-2-9】、GⅡ【2-5-2-23】、GⅢ【3-3-3-54】となっており、ここから6頭の勝ち馬が出ている。

海外組は【2-0-0-0】とパーフェクトだが、これは香港スプリントからのローテーションで、13年ロードカナロアと16年ミッキーアイルだ。これも含めるとトータル8勝が前走重賞組ということになる。ここを中心に狙っていきたい。

前走OPクラスの着順別成績,ⒸSPAIA


ただ3勝クラスとOPクラスからも勝ち馬が出ている以上、深掘りして考える必要がある。3勝クラスからのローテーションは【1-0-0-7】、これは全て3勝クラス勝ちからの臨戦で、前走1着は大前提だ。今年の登録馬を見ると、前走3勝クラスで2着以下の馬もおり、そこは消しという評価にしたい。

続いてOPクラス。こちらは【1-1-3-40】という成績だが、3着以内に好走したのは前走で5着以内だった馬たち。6着以下の馬は【0-0-0-26】と全滅していて、強力な割引材料だろう。

【前走重賞、3勝クラス勝ち、OP5着以内の出走予定馬】
・アグリ
・グレナディアガーズ
・サトノラムセス
・ホープフルサイン
・ホウオウアマゾン
・ミッキーブリランテ
・リレーションシップ
・ルプリュフォール

重要データ:注目血統は「デインヒル」 複勝率は驚異の58.3%

デインヒルを持つ馬の成績,ⒸSPAIA


デインヒル産駒の特徴は、容量が大きく強靭なトモを受け継いでいることだ。そのような特性は阪神芝1400mのように、スタートからスピードに乗り、最後の急坂を登りきるためには非常に価値のある血統といえる。

サンプル数はそこまで多くないが、21年はレシステンシア、ミッキーブリランテの2頭のデインヒル内包馬が出走し、1、2着に入るなど阪急杯への適性も抜群。デインヒルを持つ馬の成績は【2-4-1-5】で連対率50.0%、複勝率58.3%と驚異の数字だ。

【デインヒルを持つ出走予定馬】
・グレナディアガーズ
・ディヴィナシオン
・ミッキーブリランテ

前走不利データ:京都金杯のミッキーブリランテ

ミッキーブリランテの前走は京都金杯9着と大敗。同レースは京都競馬場で施行されていた時も含めて7枠【0-1-1-21】、8枠【0-2-0-23】となっており、外枠からは勝ち馬が出ていない。ミッキーブリランテは8枠16番でこのデータに該当していた。また出遅れて後方からの競馬になったのも痛かった。

今年の京都金杯も4枠→3枠→1枠の決着で、外枠が厳しかったのは間違いないだろう。京都競馬場と中京競馬場でのデータが混在しているが、これはオカルト的こじつけデータではなく、ミッキーブリランテ自体も内枠が得意な傾向がある。同馬は折り合いに不安を抱えているだけに、前に馬を置いて脚を溜められるかどうかは重要だ。

血統解説:グレナディアガーズ、ホウオウアマゾン、ミッキーブリランテ

グレナディアガーズ
母ウェイヴェルアベニューはBCフィリー&メアスプリント(GⅠ・ダート7F)の勝ち馬。母以外の活躍馬は近親には出ておらず、活躍馬を探そうとすると7代母の分岐まで遡らなければならない。

母、祖母、3代母はスプリンターでAWやダートを主戦場にしていた。こういったことからも短距離特化の特徴を持つ牝系だ。Frankelをつけた本馬は芝でマイルまで走っているが、1400mか1800mのどちらかと言われれば1400m寄り。やはり牝系の影響が強いのだろう。ワンペースで走りきることを得意とする牝系に、Frankelのスピードを付け加えた形だ。デインヒルも内包していて阪神1400mはベストの舞台だろう。

グレナディアガーズの血統表,ⒸSPAIA


ホウオウアマゾン
日本での牝祖は祖母スターミー。スターミーは優秀な繁殖で、本馬の母でありVM2着や京都牝馬S勝ちのヒカルアマランサス(父アグネスタキオン)、天皇賞(春)2着や金鯱賞勝ちのカレンミロティック(父ハーツクライ)などを輩出した。ヒカルアマランサスもJRA4勝のギモーヴ(父ハービンジャー)、本馬の全姉でJRA3勝のクインアマランサスを出している活力ある牝系だ。

元を辿れば3代母Caerlinaは仏オークス馬で、その父Caerleonの切れ味はファミリーを通じて重要な要素となっている。スターミーの父がA.P. Indyだから、ここが主張すればクインアマランサスのようにダートを主戦場とする馬も出る。しかし、本馬はキングカメハメハとA.P. Indyの双方が出ていて、Caerlinaらしさはそこまで出ていない。そういったこともありダートを試した前走は12着。本質的な適性は芝マイル前後だろう。阪神コースは大得意で、タフさが求められるような展開なら一発の可能性はある。

ホウオウアマゾンの血統表,ⒸSPAIA


ミッキーブリランテ
母エピックラヴは現役時サンタラリ賞(GⅠ・芝10F)で2着がある実績馬。欧州で繋がっていた一族で3代母AlcandoもビヴァリーヒルズH(GⅠ・芝9F)を勝利するなど活力は見せていた。ただエピックラヴの繁殖としての優秀さは別格。本馬の弟たちにはホープフルS勝ちのダノンザキッド(父ジャスタウェイ)、朝日杯FS2着のダノンタッチダウン(父ロードカナロア)がいる。これまでの産駒は牡馬ばかりだったが、21年産と22年産は牝馬のようだ。

成長力のあるファミリーでミッキーブリランテも明け7歳だが問題ない。ディープブリランテ×Dansili(父デインヒル)でパワーに勝った血統構成で、急坂コースは大得意。上がりのかかる展開になればこちらも出番がある。牝系もスタミナがあり、血統構成を考えればもう少し距離は持っても良さそうだ。しかし、気性に難しいところがあり、結果的にこの距離がベストになっているのだろう。今の阪神ならいつも以上にパワーが求められるだろうし、この馬にとってはベストステージ。前に馬を置けるかどうかは一つのポイントなので、枠の並びは重要な要素だ。

ミッキーブリランテの血統表,ⒸSPAIA


ミッキーブリランテを推奨

今回のコンプレックスアナライズではミッキーブリランテを推奨馬とする。前走不利データを持ち合わせ、重要データもクリア、血統適性も高いのであれば本命にしない理由はない。前走は出遅れが響き、上手くタメが作れなかったのが敗因だろう。今回も枠の並び次第で前に馬を置けない展開となり、行きたがってしまう可能性がある点には注意が必要だ。

断然の1番人気が想定されるグレナディアガーズもマイナス要素はなく、むしろベストな舞台。こちらをピックアップしてもよかったが、あえてミッキーブリランテを上にとる。血統解説で挙げたホウオウアマゾンも、上がりがかかる展開になれば上位の一頭で押さえておく必要がある。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。現在はWEBサイト『ウマフリ』や『サラブレッド研究所』でも執筆を行い、競馬予想のほか一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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