【根岸S】前走距離と脚質を併せて見ることが的中への近道 Cアナライズからは武蔵野S上位馬を評価
貴シンジ
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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
東海Sではスマッシングハーツを推奨したが、6番人気5着という結果に終わった。課題だったスタートも上手く決めてポジションもいつもより前目の位置を取れていたし、中京ダ1800mにおいて最重要項目とも言える4角も膨らまず内を突けていただけに完敗だった。毎回善戦はするものの人気にはなりづらいタイプなので今後も注目が必要な一頭だ。
さて、今回は1月29日(日)に東京競馬場で行われる根岸Sについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「好走&消しデータ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった18頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。
好走&消しデータ
◆成績抜群の距離短縮
最初は前走距離別成績から。同距離【2-5-4-57】、距離延長【2-2-1-41】、距離短縮【6-3-5-28】となっている。勝率、複勝率、回収率の全ての項目で距離短縮組が最も好成績で、複勝回収率は112%という驚異の数字だ。
根岸Sは1400mという距離で行われるためスプリントを得意とする馬もマイル以上を得意とする馬も出走してくる。ただ日本競馬にはダートスプリント競走で賞金の高い番組がないため、どうしてもマイル以上を主戦場とする馬のレベルが高くなる傾向がある。
また近年はリヤドダートスプリントやドバイゴールデンシャヒーンを春の目標とする一流スプリンターもいるため、根岸Sにトップクラスのスプリンターが集まりにくいというのも要因として考えられるだろう。距離短縮馬には注目だ。
【距離短縮の出走予定馬】
・アドマイヤルプス
・カジノフォンテン
・ギルデッドミラー
・ケンシンコウ
・タガノビューティー
・ベルダーイメル
・ホウオウアマゾン
・レモンポップ
◆末脚自慢の馬たちが上位 先行勢には厳しいレース
続いては脚質別成績だ。当日逃げた馬は【0-0-0-10】と一頭も馬券に絡めず壊滅。先行馬も【1-4-2-34】で複勝率は17.1%と決して良い成績とは言えないだろう。対して差してきた馬は【5-4-3-44】で複勝率21.4%、追い込んだ馬は【4-2-5-39】で複勝率22%となっていて、後方待機の馬たちの台頭が目立つ。根岸Sはテン2F目に10秒台のラップを刻む年もあり後方有利なハイペースとなりやすい。また直線の長い東京競馬場で開催されるのも差しが決まりやすい要因の一つだろう。
脚質についてはもう少し掘り下げよう。前走脚質別成績では逃げ【0-1-0-11】、先行【3-4-1-34】、差し【3-2-5-52】、追込【4-2-4-24】、捲り【0-1-0-2】となっており、当日の脚質別成績より先行勢の好走率は上がっているが、やはり後方勢の成績が良い。前走逃げ先行馬について、前述の距離も併せて見てみると、同距離の馬は【1-4-1-21】、距離延長が【0-1-0-11】、距離短縮が【2-0-0-13】となっている。
1400m未満に出走して前で競馬をしていた馬は、同距離や距離短縮で同様の競馬をしていた馬に比べてスピードがある。よって根岸Sでも前のポジションになってしまいがちで結果が出ていないということが考えられるだろう。また距離に関わらず、前走4角2番手以内の馬は【0-2-0-30】と壊滅的な成績でこちらも割引が必要だ。
【距離延長馬で前走逃げor先行していた出走予定馬】
・ヘリオス
【前走4角2番手以内の出走予定馬】
・アドマイヤルプス
・オーロラテソーロ
・コパノマーキュリー
・ヘリオス
◆武蔵野S組、チャンピオンズC組が優勢
最後のデータは前走レース別成績だ。勝ち馬が出ているレースは武蔵野S、カペラS、チャンピオンズC、ギャラクシーS、兵庫GT、マイルCSの6つのレースだ。中でも武蔵野S組が【3-1-1-6】、チャンピオンズCが【2-1-3-8】となっていてともに複勝率は40%を超える。武蔵野S組であれば5着以内、チャンピオンズCであれば一桁着順がホットゾーンとなっている。
今回の出走予定馬にチャンピオンズCで一桁着順から臨戦の馬はいないので、武蔵野Sで好走した2頭に注目だ。
ルメール騎手に乗り替わりとなるテイエムサウスダン(JBCスプリント)、先週11騎乗機会で10連対と異次元の成績を残した川田騎手騎乗予定のバトルクライ(すばるS)あたりも人気になりそうだが、ローテーションでは割引が必要だろう。
【前走武蔵野Sで5着以内の出走予定馬】
・ギルデッドミラー(1着)
・レモンポップ(2着)
前走不利データ:武蔵野Sのレモンポップ
レモンポップは武蔵野S2着からの臨戦。武蔵野Sの前10年では関東馬が【2-0-0-38】で単勝回収率17%、複勝回収率7%となっており全くと言っていいほど走っていなかった。勝った2頭の馬は12年イジゲンと15年ノンコノユメで、いずれも3歳馬という共通点があった。古馬の関東馬に限れば【0-0-0-32】という成績になり1頭も好走馬がいないということになる。
レモンポップは武蔵野S時4歳で、この好走歴のないデータに当てはまっていたが2着と好走した。むしろ当日1.7倍の断然の人気だったことを考えれば、マイナス要素もあって2着までしかこれなかったと見るべきかもしれない。今回は得意の東京ダート1400mに距離短縮となる。この舞台は【4-0-0-0】で負けなしの成績だ。普段は先行の競馬をするが、根岸Sはスプリンターも出走するためおそらく前走と同じかそれより後ろのポジションでの競馬が予想される。
血統解説:ギルデッドミラー、レモンポップ
・ギルデッドミラー
日本での牝祖は母タイタンクイーン。タイタンクイーンは競走馬としては実績をあげることはできなかったが繁殖としては非常に優秀だ。初仔のレネーズタイタンはサンタイネスS(GⅡ・ダート6.5F)を勝利。その他にもFashion AlertがスカイラヴィルS(GⅢ・ダート6F)、ストロングタイタンが鳴尾記念を勝利している。6代母Lady Be Goodを根幹としてファミリーは広がっていてグッバイヘイローとキングヘイローの親子なども同じ一族だ。
北米や南米が主戦場でパワーがある馬が多いのが特徴。タイタンクイーンの産駒もスピードよりパワータイプに出ることが多い、そこにオルフェーヴルだから本馬がダート替わりで本格化したのも納得で、1400mの距離になると逆転される可能性はあるが、少なくとも前走はレモンポップより強かったという評価を与えたい。
・レモンポップ
外国産馬で母Unreachableは現役時未勝利。祖母Harpiaは現役時シャーリージョーンズH(GⅢ・ダート7F)勝利の他、トップフライトH(GⅡ・ダート8F)2着など米ダート牝馬路線で活躍した。またデインヒルの全妹という血統でレモンポップの迫力のあるトモはこのあたりの影響が強そうだ。
父Lemon Drop Kidはダート中長距離を主戦場とする産駒を多く出していてレモンポップも距離延長となった武蔵野Sでも2着と好走した。マイルが長いとは一切思わないが、ギルデッドミラーが距離短縮で少しでもパフォーマンスを落とすのであれば前走からの逆転も可能だろう。
Cアナライズでは武蔵野S組の2頭を推奨
今回のコンプレックスアナライズでは武蔵野S上位のギルデッドミラーとレモンポップの2頭を週初め段階の推奨馬としてピックアップする。昨年の武蔵野Sは勝ち時計こそ遅かったが、5着のハヤブサナンデクンが先週の東海Sで3着に好走したことやペースが遅かったことを考えれば、レースレベルが低かったということはないだろう。ギルデッドミラーも展開勝ちではなく実力で勝った内容だったため十分評価できる。
しかし東京ダート1400mの舞台となるとレモンポップが逆転する目も出てくるため、中間の動きや枠順で良い方を最終的な本命としたい。ほかの組からはこの舞台【2-2-1-0】で鋭い末脚を持つタガノビューティーが面白そうだ。
【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。現在はWEBサイト『サラブレッド研究所』でも執筆を行い、競馬予想のほか一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統も独自の切り口から分析している。
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