【シルクロードS】真冬の電撃戦は好勝負の予感大! マッドクールは実績馬たちを超えられるか

勝木淳

シルクロードインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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コース傾向も波乱少なめ

高松宮記念と同じ舞台、かつ本番までほどよいレース間隔だからなのか、今年のシルクロードSはこの春の飛躍を誓う有力馬が多数出走を予定している。京阪杯を勝ったトウシンマカオ、サマーチャンピオンのナムラクレア、スプリンターズS2着ウインマーベル、そして4連勝で重賞に挑むマッドクールなど寒さを吹き飛ばすにぎやかな顔ぶれだ。ロードカナロア、ファインニードル、ダノンスマッシュなどその後スプリントチャンピオンに輝いた馬たちもここを勝って弾みをつけた。今年もそういった馬が現れるのか、注目の一戦だ。データは2013年以降、中京芝1200m、古馬オープン以上28レースを使用する。

過去10年同条件人気別成績,ⒸSPAIA


まずは人気傾向から。1番人気【9-4-2-13】勝率32.1%、複勝率53.6%、2番人気【6-6-4-12】勝率21.4%、複勝率57.1%、3番人気【5-4-6-13】勝率17.9%、複勝率53.6%、4番人気【4-0-4-20】勝率14.3%、複勝率28.6%と人気順に推移する。5番人気は【1-3-0-24】勝率3.6%、複勝率14.3%なので、ここに段差がある。穴は7番人気【0-3-2-23】複勝率17.9%、8番人気【1-2-2-23】勝率3.6%、複勝率17.9%、9番人気【2-1-1-24】勝率7.1%、複勝率14.3%、10番人気以下【0-3-7-208】複勝率4.6%といった感じで、複勝圏内には穴馬も配置しよう。

過去10年同条件騎手別成績,ⒸSPAIA


対象レースの騎手別成績を出すと、福永祐一騎手が【6-1-1-7】勝率40.0%、複勝率53.3%で抜けている。今年の2月でステッキを置く福永騎手にとって中京の重賞は今週と来週きさらぎ賞で最後。特に1200mの成績は抜群で、期間中騎乗機会15回で馬券圏内8回、それも6勝をあげた。中京を得意とする騎手だが、この勝ちきる傾向は味方につけたいところだ。2位岩田康誠騎手と続く。こういった騎手傾向も参考にしよう。


穴はテイエムスパーダ

多頭数で波乱の多いイメージもあるが、実際は人気順に比較的上位は堅実であり、今年も実績上位馬である程度堅く収まりそうだが、さてどうだろうか。ここからは前走距離を中心に好走馬を探っていく。

過去10年同条件前走距離別成績,ⒸSPAIA


まず頭数は少ないが、前走1200m超の短縮【13-14-9-138】勝率7.5%、複勝率20.7%に注目しよう。距離内訳は1400m【10-12-7-98】勝率7.9%、複勝率22.8%、1600m【3-2-2-39】勝率6.5%、複勝率15.2%。3コーナーまで距離が短く、前半600mが速くならず、最後に急坂があるコースで他場より短縮が効く舞台だ。

過去10年同条件前走芝1200m組競馬場別成績,ⒸSPAIA


一方、前走が同じ1200mだと【15-14-18-235】勝率5.3%、複勝率16.7%。今年も上位人気候補含め大半はここ。ダート1200m【0-1-0-9】を除く前走芝1200m出走馬の競馬場別成績を出す。開催のつながりも影響しているが、中山【2-5-8-82】勝率2.1%、複勝率15.5%はスプリンターズS組のウインマーベル、ナムラクレアが該当するので気になる。シルクロードSの過去傾向では前走スプリンターズSは過去10年で【3-2-0-12】勝率17.6%、複勝率29.4%、中京だった昨年もメイケイエールがこのローテで勝利しており、過剰に反応しなくていい。

過去10年同条件前走阪神芝1200m組着順別成績,ⒸSPAIA


注目は前走阪神芝1200m【3-1-3-27】勝率8.8%、複勝率20.6%。京阪杯、タンザナイトS組など多く該当する。その前走着順はトウシンマカオやグルーヴィットの1着【1-0-2-3】勝率16.7%、複勝率50.0%、テイエムスパーダらの6~9着【1-1-1-9】勝率8.3%、複勝率25.0%が好成績。1着は同級【0-0-1-1】、下級【1-0-1-2】なので、そのまま当てはめられないが、テイエムスパーダは要注意。ビアンフェがいた京阪杯より展開利が見込まれる。

過去10年同条件前走中京芝1200m組着順別成績,ⒸSPAIA


最後にマッドクールの前走中京芝1200m【1-2-3-28】勝率2.9%、複勝率17.6%について。前走1着【0-0-0-2】はいずれも同級での成績で、下級1着は出走ゼロ。マッドクールの知立Sは前後半600m33.4-33.8で1.07.2。負けたエイシンスポッターは次走ファイナルS1着、7着テイエムトッキュウはダートの初春S1着。なによりマッドクールは前半も後半も速い競馬を好位から上がり33.3で2着エイシンスポッターに1馬身半差をつけた。これで中京芝1200mは2戦2勝、勝ち時計は1:07.7、1:07.2で重賞級であることは証明済みだ。ナムラクレア、トウシンマカオ、ウインマーベル、テイエムスパーダら重賞勝ち馬を相手にどこまでやれるか、注目だ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。


シルクロードSインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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