【日経新春杯】ヴェルトライゼンデ、ヤマニンゼストの重賞実績馬が有力候補 カギは前走中日新聞杯にあり

勝木淳

日経新春杯インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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コース傾向から大波乱は少ないが

今年の舞台も過去2年と同じ中京芝2200m。京都、阪神で2200ないし2400mだった中距離重賞を中京に振り替える場合、コース設定の都合上2200mで行われるため、ここ2年、中京芝2200mの重賞が増えた。基本的にこのコースの重賞は代替以外なく、今春、京都がグランドオープンするので重賞はこれを最後に当面なくなる。

念のためコースを紹介すると、スタート地点は4コーナー出口付近。先行争いは正面スタンド前直線を目一杯使う。タフなコースなので激しくなることは少ないが、ポジション争いは急坂で行われる。少しでもここで無理をすれば2度目の急坂で脚が止まる。逃げ、先行馬が外枠に入り、内の馬を制するような競馬になるなら、差し馬の台頭も頭に入れておきたいコースだ。ここでは2012年以降、中京芝2200m、古馬3勝クラス以上の14レースのコースデータから傾向を探っていく。


2012年以降同条件人気別成績,ⒸSPAIA


まずは人気別成績から。1番人気は【4-2-2-6】勝率28.6%、複勝率57.1%。同範囲の芝2000mが勝率25.5%、複勝率56.4%なので、さほど変わらず。2200mだから疑ってかかることはない。一方で、2番人気は【1-3-0-10】勝率7.1%、複勝率28.6%とやや頼りなく、4番人気【3-2-2-7】勝率21.4%、複勝率50.0%などちょっと人気的に一枚落ちるところまでは狙える。さすがに8番人気以下は確率が落ちるので、大きな波乱はそんなにない。とはいえ、21年日経新春杯は格下の7番人気ショウリュウイクゾが勝ち、2着は13番人気ミスマンマミーア、3着4番人気クラージュゲリエで3連単96万円オーバー。やはり真冬のハンデ戦は油断ならない。


2012年以降同条件上がり3ハロン順位別成績,ⒸSPAIA


急坂を2度駆ける2200mはタフなイメージも強いが、それでも直線の長い中京では決め手は武器になる。上がり3ハロン1位は【9-4-2-3】勝率50.0%、複勝率83.3%で抜けている。日経新春杯では21年2着、22年1着。急坂があるコースで鋭い決め手を発揮できる馬を重視すべきだろう。


ジャパンC3着ヴェルトライゼンデはコース傾向に合致

さらに具体的に好走候補を絞るべく、ここからは前走距離に注目し、その傾向をあぶり出していくことにする。


2012年以降同条件前走距離別成績,ⒸSPAIA


距離延長にあたる前走2200m未満【6-6-7-71】勝率6.7%、複勝率21.1%、同距離2200m【3-3-4-21】勝率9.7%、複勝率32.3%、2200m超の短縮【5-4-3-42】勝率9.3%、複勝率22.2%。タフなコースらしく直近で2200m以上を経験した馬の勝率がいい。ただ、延長組は出走数が多く、確率が低く出ている点には注意したい。日経新春杯3着以内は21年延長、同距離、延長、22年短縮、短縮、延長という組み合わせだった。


2012年以降同条件前走2400m組脚質別成績,ⒸSPAIA


短縮で好成績は前走2400m【5-2-2-20】勝率17.2%、複勝率24.1%。昨年勝ち馬ヨーホーレイクが該当する。今年もジャパンC3着ヴェルトライゼンデがいる。その前走位置取り傾向は逃げ【0-0-0-5】、先行【1-1-0-2】勝率25.0%、複勝率50.0%、中団【3-1-1-7】勝率25.0%、複勝率41.7%、後方【1-0-0-6】勝率、複勝率14.3%。極端な競馬ではなく、ある程度流れに乗ったことが大事。ヴェルトライゼンデはこれをクリア。中京芝2200mは神戸新聞杯でコントレイルの2着、また中京芝2000mの鳴尾記念で1年5カ月ぶりに勝利をあげるなど中京は好相性だ。


2012年以降同条件前走距離別成績,ⒸSPAIA


中日新聞杯組が該当する前走2000mは【6-3-5-50】勝率9.4%、複勝率21.9%で延長組のなかでは頼りになる。その位置取りは2400mより先行と中団に差があるのが特徴。先行【2-1-2-9】勝率14.3%、複勝率35.7%、中団【3-2-2-27】勝率8.8%、複勝率20.6%。先行の分がいい。なんなら後方【1-0-1-9】勝率9.1%、複勝率18.2%でもいい。また、上がり最速【1-1-1-8】勝率9.1%、複勝率27.3%より上がり3位【1-1-2-2】勝率16.7%、複勝率66.7%、上がり4、5位【2-1-1-7】勝率18.2%、複勝率36.4%が上位。前走2000m出走馬は決め手より先行してある程度の上がりで踏ん張れる馬が理想。

プリマヴィスタ、ハヤヤッコより後方から末脚にかけたダンディズムや先行したイクスプロージョンがイメージに近い。もっとも上がり記録ではイクスプロージョンは物足りず、プリマヴィスタ、ハヤヤッコがデータに近く、取捨が難しい。なお前走中京芝2000mは【4-1-1-14】勝率20.0%、複勝率30.0%。21年1着ショウリュウイクゾは中日新聞杯ではないが、ここに当てはまる。

ほかには菊花賞6、7着ヤマニンゼスト、プラダリアが面白い。菊花賞経由は21年2頭出走で7、15着だが、これらは菊花賞12、16着。同舞台の神戸新聞杯2着ヤマニンゼストや青葉賞Vプラダリアは通用する力を十分もっている。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。


日経新春杯インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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